朝がきた
ここからは、本編の流れでは起こらない話になります。
もしもあの日、世界が終わらなかったらどうなっていたのか。
それが気になる方はどうぞ!
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朝だ。眩しい。
目を覚ましたらそこは床だった。
どうやらリビングの床で眠ってしまったようだ。身体が痛い。
呻きながらもぞもぞと身体を動かそうとしたけれど、腕の中に何かがある。とても大きくて温かい何かが。
邪魔な筈なのに、何故か心が暖かくなって抱きしめた。
仄かにいい匂いがする。
それの天辺に顎を乗せて、息を吸い込む。
ああ、やっぱりいい匂いだ
ぎゅっと抱きしめたまま何度も呼吸を繰り返していると、それがもぞもぞと動いた。抜け出そうとしているようだ。
なんとなく嫌で、腕の力を強めた。
これは俺のだ
そんな気がして。
両腕でしっかり抱きしめる。
しばらくもがいてから諦めたように動きを止めたそれに気をよくして、もう一度しっかり抱え直した。
ああ、やっぱり落ちつく…
ほっとしてそれに頬をすり寄せながら、再び眠りに落ちた。
◇ ◇ ◇
身体をぎゅっと拘束される感触に目が覚めた。
驚きに身体が強張るけれど、聞こえてくるのはゆったりとした呼吸。
くつろいでいるような、穏やかな呼吸。
うっかり安心してもう一度寝そうになったけれど、そもそもどういう状況なのかと目を開けた。
目の前には、白いシャツ。
ゆっくりと上下する胸。
身体が痛い。
上に見えるのは、リビングの天井。
昨夜のことを思い出した。
昨日は結局、あのまま夫に抱きしめられて、私までリビングで眠ってしまったのか…。
下が硬いのは、フローリングに絨毯を敷いてあるだけだから仕方がない。
…なんだか夫に、匂いを嗅がれている気がする。
まさかとは思いつつも、恥ずかしくて身をよじると、腕の力が強まった。
もう少しもがいてみたけれど、拘束はキツくなる一方なので諦めて力を抜いた。
すると夫は安心したように息を吐いて、腕の力が弱まったかと思ったら改めて抱え直された。
痛くはないけれど、しっかり抱えられていて抜け出せる気がしない。
おまけに夫の寝息はどんどん深くなっていく。
起きたい…のだけれど…
全然身体の自由はきかないし、夫の寝息は気持ちよさそうだし。夫が起きるつもりがないのなら、朝ごはんの準備はもう少し後でいいし。
…それに…少し落ちつくし…
もう少し眠っていてもいいかな…。
そう結論づけて目を閉じた。




