計画はご利用的にだお!
カタンカタン カタンカタン カタンカタンコトンカタン
一同は山麓庵と百徒神温泉に別れを告げ、外線に乗って21区を帰路へついた。
「爆裂☆眠いでござるぅーー」
「気を取り直してアニメの話で盛り上がろう! とか言ってた自分が一番が一番先に寝たくせに」
「街が遠ざかっていくでゲス~ さようならでゲス~!」
「いい温泉でしたね~」
「毎年やるのも、いいかもね」
「そうだね。ライブの打ち上げとかで来ようか」
「カルデラステージの出場で宿をとる日が来るといいでゲスな!」
「それゆっくり出来なさそうだお~」
・・・・・・
見慣れた部室でまたも円陣を組む5人。
「外線で考えてたんだけど、クリスマスにだけ回廊が開く二つの世界に、引き裂かれた二人の男女の話、どうだろ」
「いいですね、ロマンチックです!」
「喧嘩が絶えない二つの種族を見かねた神様が世界を二つに分けたんだけど、もしも引き裂かれた家族や恋人があれば、会えるように一日だけ門を開くんだ」
「異世界モノなりかぁ……でも異世界ならクリスマスって概念あるのかお?」
「うーん。たしかに。ただ信心深いヒトには申し訳ないけど…この国では季節行事として根付いてるし」
「似たような行事が冬にある世界、というだけでもいいかもね。歌にすればクリスマスに重なってお客に響くかもね」
「そうしよう! リアム、僕は予定通り印刷屋さんの発注をするよ。ネームは3日以内に切って、皆のGOが出たら原稿へ」
「了解です。文人さんはネームから作詞を。出来しだい九十九スタジオに曲つけの発注をお願いします」
「了解かもね」
「姫子さんは原稿と印刷所への入稿補助を。クラフさんは文絵さんの指示でデザイン素材をお願いします」
「OKでゲス」
「本はどんな仕様がいいかなぁ」
「うーん。クリスマスですからねぇ…」
「洋書風がいい、かもね。エンボスの生地の表紙で、おとぎ話を思わせるデザイン」
「おしゃれです!」
「いいでゲスね! 絵本のようにするのはどうでゲス?」
「うんうん。マンガのコマに比べて感情の描写が入りきらないけど、時間を考えるとそれがいい」
「マンガと絵本では違うでしょうが、大丈夫そうですか?」
「イラストレーター志望のかっちゃんがいることを考えればアドバイスも貰えるし共同で作業もできる。大丈夫さ」
「1ページ毎にカレンダーみたいにして飾って置けるのもいいかも知れないお!」
「こりゃあ忙しくなるぞ」
「文絵さんとクラフさんは、女性化訓練も待ち構えてますからね~~!?」
「あああ。忘れてたよ……」
「一番忘れちゃダメなところですよー?」
「時間あるでゲスかね……」
「作るしかありません! 会場予約は済みましたし、後戻りはしないほうがいいと考えましょう。私は女性化訓練のレシピ作りに、モモッターでの広報活動。予算の取りまとめと、皆さんの進行管理、作品イメージが出来たら女性化訓練。曲が出来た頃にマダムのもとで全員トレーニング。それに衣……装……あっ!!」
「そうだ衣装だ!! どうする??」
「サンタ服かもね。妥当なのは。」
「女性モノのサンタ服って興奮するお!」
「姫子さん破廉恥です!!」
「時期的に在庫が怪しいぞ?! 文人くん!!!」
「もうやってるかもね!」
文人は物凄い速さでショッピングサイト・モモゾンの在庫をチェックする。皆でパソコンモニターを覗き込みながら、いいものが無いかを探してゆくが……そのさなか…。
「ああ、目の前でドンドン売り切れていくでゲスぅうう!!」
商品の、開くページ、開くページ、開くページが、“○名がカゴに入れています” というリアルタイム表示とともに売り切れていく。ついに、モモゾンのなかでサンタ服というサンタ服の在庫はゼロになった。
「……他のアイドルがサンタ服を買ってったんだろう…」
「まだ諦めてはいけません!」
「……そうだね。考えられる可能性を探そう!」
「男性モノのサンタ服を買って、女性モノにリサイズするのはどうでゲス?」
「アイドルには男性もいるかもね…。状況は一緒でこちらも在庫ゼロかもね」
「次だ次! 僕はコスプレ衣装のショップを当たるよ! 文人くんは引き続き他のサイトで情報収集を!」
「了解かもね」
「私は衣装系のサークルを当たります! 姫子さんはマダムに連絡して在庫がないかチェックを!」
「了解だお!」
「俺はバックヤードの衣装屋さんを当たるでゲス!!」
「もしもしマダムかお! ……あ、ごめん和幸にかけちった」
『マダムって誰!! どんなヒトと付き合いがあるんだキミは!』