表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

魔法を是非使ってみたいと思います。

「どうして元騎士団長様がこんなボロボロの布切れ1枚みたいな服装なんですか?」


俺の質問にコーギーは聞かれたことが嬉しかったのか、嬉々として答えてくれた。

いや、嬉しそうに話すことでもないんだけどね?


コーギーが言うには、なんでも普通に生活しているだけなのにどんどん貧乏になっていったそうだ。原因がわからないのと、どんどん貧乏になっていくのとで、次第に生活費を工面するために道具などを売っていたところ、雇い主に嫌な顔をされ、追い出されてしまったらしい。

そこからはその日を必死に凌ぐ日々が始まり、今日はこの宿屋に泊めてもらおうとお願いしにきたらしい。


ふむ、どんどん貧乏になっていくのか。俺も関われば貧乏になるのかな?この使い切れないくらいの金でも…。いや、やらないよ?そんなことして損はしたくないし?


俺にどうにかできることならなんとかしようと画策もしたが、原因不明だしどうしようもないじゃん?

でも、騎士か…。いいこと思いついたかも。

俺はそのいいことを騎士に質問しながら確かなものにしようとした。


「コーギーさんは、魔法とかは扱えるのですか?」


その質問にコーギーは当然であろうと言わんばかりの表情を浮かべている。

うん、これはわりと腹立つな。

そしてコーギーにあるお願いをしてみた。


「あの、良ければ私に魔法を教えてくれませんか?授業料として1時間1エメマンでどうでしょう?」


俺の願出にコーギーは顔をパァっと明るくさせ、快く承諾してくれた。

これはあれだな、金目当て以外のなにものでもないな。と俺は心の中で思うのであった。


そこから俺は魔法の練習に明け暮れた。

と、言いたい人生だった。できないのかよっ!

思わず俺は自分にツッコミを入れていた。

くそー、俺には莫大な魔力があるのにどうしてこうも上手くいかないんだよーー。


俺は愚痴をこぼした。

そりゃね?もと教員でも愚痴くらい言いますよ?なんなら職員室はわりと…おっとこれ以上は語るまい。


コーギーの話では、なんでも魔法を使うにはまず冒険者ギルドで登録する必要があるそうであった。

そこで何らかの職業に就くことで冒険者カードが発行され、そこでスキルを手に入れることで初めて魔法が扱えるようになるらしかった。さらに冒険者カードは通行証にもなるので、どこかへ出かける時なども必須のものらしい。コーギーから話を聞き終えた俺は早速ギルドへ向かうことにした…かったのだが、コーギーの服が服なためまずは服屋に行くことにした。

そして俺はコーギーの服を買い揃えた。

流石にボロボロの布切れ1枚の姿で一緒に歩くのは忍びない。

てか、俺が周りから変な目で見られるのは絶対に避けたい。


だから仕方なく俺はコーギーの服を買い揃えた。

まあ、お金に関しては全く問題はない。それよりも俺がこの先も滞在しようと思っているこの街での評判を落とすわけにはいかない。


コーギーを連れ服屋に入り、好きなものを選んでもらった。

コーギーは少しだけ申し訳なさそうにしながら服を選んでいた。

赤いフリルのついたワンピース、淡い水色のシャツに綿のパンツ。それ以外にも多数試着したがどれもこれもやはり似合う。うん、可愛いは正義だな。


結局コーギーは動きやすいからと淡い水色のシャツに綿のパンツを選択していた。

それにしても普通に買い物をしたが変わった様子はない。どうしてコーギーはあれほどまでに貧乏になってしまったのだろうか。

まあ、今はどうでもよい。目の前で久しぶりのオシャレを楽しむコーギーはそんなことを忘れさせるほど可愛らしかった。

くそ、性格はアレなのに可愛いからつい見とれてしまうじゃないか。


服を購入した俺たちは冒険者ギルドの前まで来ていた。

冒険者ギルド、他の建物より一際大きく威風堂々とそこに建っている。

冒険者ギルド「ビール」

ふっ。俺は鼻で笑った。

いや、これはもうね、予想できたよ?だって冒険者ギルドだよ?学校でいうと不良達が集まりそうな場所じゃん?てことは、こんな名前だろうと思ったよ。

俺はギルドの名前に驚きもせず中に入り受付の前にいた。

「あら?コーギーさん!と、そちらの方は?」

受付には茶髪の長い髪を括り、ポニーテールにしている愛想の良い女性が居た。そして初めて見る俺に対して疑問を投げかけてきた。

「はじめまして。私の名前は児島公平。コーヘイとお呼びください。」


俺が丁寧に挨拶をすると、受付のお姉さんはニコッと笑って対応してくれた。

「はじめまして。私はタイルと申します。本日はどのようなご要件でしょうか?」

俺は思わず吹き出しそうになるのをぐっと堪えて要件を伝えた。タイルって、お風呂とかの床に使われてるあれでしょ?いやいや、まさか過ぎだろ。不意を付かれるとすぐに笑いそうになるのは頑張って堪えられるようにしておかないと…。


冒険者に登録するためにはお金が必要だったみたいだが、俺はそれをすぐに支払い、登録する手順を踏んでいた。

例によって冒険者ギルドへの登録は水晶に手を翳し特性を見極めるといったものであった。

子どもの頃に読んだ漫画でこんなのあったなー、懐かしい。

まあ、異世界から来た人はとんでもない力を秘めているのが王道。そして俺も例外ではない。ここに来てやっと神の祝福、最後の1つ。莫大な魔力が役に立つってもんだ。見てろよ、ギルドの面々よ。俺のとんでもない魔力にビビって腰抜かせ。

そしてあなたこそ勇者だ、的な言葉をかけてこい。

しかーし、俺は冒険には行かないけどね?この街で悠々自適に暮らし、たまにふらーっと外を見に行くために通行証代わりの冒険者カードを手に入れるだけだ。


さあさあ、ではでは皆さん。とくとご覧あれ。俺の莫大な魔力を!!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ