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死ぬ気でやろうと思います。



「あの平民どもを我に逆らった貴族どものように殺せぇえ!」


おっと、やっぱり貴族が変死する事件はこいつの仕業だったのか。

にしても、流石にこれはやばすぎる。チョートッキューや悪魔とは全然雰囲気が違う。

「こいつは、骨が折れそうだな。ミケ、お前は最高位の魔法も扱える魔法使いなんだろう?いつまでもメソメソしてないで、戦闘態勢に入れ!生きてみんなで帰るためにな!」

「当然っス!今まで助けてもらったんスから、私もやるっスよ!」


狼狽えている俺を他所に2人は戦闘態勢に入った。

仕方ない、俺は丈夫な体を持っているはずなんだ。きっと、大丈夫だ。…多分!


「俺を見ても臆することなく向かってこようとする姿勢、面白い!叩き潰してやる!それによく見れば人間のわりに美しい顔をしておる。貴様らを倒し、俺の妾としてやろう!ブファファファファ!!!」


類は友を呼ぶ。昔の人はなんて的を得た言葉を作るんだ。この貴族にこの魔物ありって感じだな。まったく、やになっちゃうよ。


「行くぞ!インフェルノー!!!」

「喰らうっス!メテオ!!!」

「おらおら、凍れ!ブリザード!!!」


コーギーの灼熱の炎、ミケの巨大な岩石を隕石のように降らせる魔法、俺の初期魔法がミノタウロスを襲った。


「ぐわぁぁああ。え?何、こんな強いの?油断してたらすごいダメージ喰らったんだけど。俺が魔王軍幹部じゃなかったら今ので消し飛んでたよ?危ないじゃないか!」


いや、知るか。お前が魔王軍幹部だからこうして攻撃したんじゃないか。俺は相変わらずめっちゃ痛いけど。てか、こいつあれか?アホなのか?


「もう怒ったぞ!貴様らの攻撃では俺を倒せなかった。消し飛ばしてくれる!ブルスイング!!!」

「危ないっ!コーヘイ、ミケ、伏せろ!」


ミノタウロスの放ったスキルは棍棒を思い切り振り回すという単純かつ強力なものでかった。

コーギーは俺たちを庇ってミノタウロスのスキルをまともに喰らってしまった。

「コーギー!おい、しっかりしろ!」

「大丈夫だ。少しふらつくがどうということはない。」


「よし、いいぞ!ミノタウロス!そのままぶち殺してしまえ!吾輩に逆らうとどうなるか教えてくれる!」

状況は最悪だな、こりゃ。あー、もうダメかもしんない。何かないか?俺の魔法じゃあの化け物は倒せない。唯一全力で使えるのはミラーだけって、なんとも悲しい魔法使い見習いだな、おい。

ん?いや、待てよ?あれができればまだ勝てるかもしれない。まあ、やらないよりかはやるほうがーー

俺がそんなこと考えているとき、ミケの悲鳴が聞こえた。

「コーヘイ!危ないっス!」

「へ?」

俺は目の前に迫ってきていたミノタウロスに気づかなかったのだ。そして次の瞬間、ミノタウロスの振り抜いた棍棒をまともに喰らった俺は吹き飛ばされ、地面に倒れて動けなくなった。

「コーヘイ!」

「おい、コーヘイ!しっかりしろ!」

やばい。やらかしちまった。体に力が入らない。


「ワハハハハ!ミノタウロス、よくやってくれた。吾輩に楯突き、奴隷を助けるために立場を忘れた平民が地に伏しておるのを見るのは実に滑稽じゃ。」


あー、ダメだこれは。悔しいけど勝てる気しないもん。俺の体はどうなっているんだろう。真っ二つ?ぐちゃぐちゃ?あー、見るのが怖い。

てか、最後に聞くのがあのくそ貴族の声とか絶対やだわー。


「コーヘイ、コーギー。ごめんなさいっス。私のせいでこんな目にあわせてしまって、どう謝ればいいのかわかんないっス。何のために私は生まれてきたんスかね。こんなに大切な人を傷つけるくらいなら、私なんて生まれてこなければよかったっス。」

震えた声でミケはそう呟いた。

ちっ!今日だけで何回イライラすれば気が済むんだよ、俺は!

「貴様らネッコーカが生まれた意味など、吾輩たちに尽くすために決まっておるのじゃ。」


俺はマタタビ3世の言葉を聞いたあと、体がどう動いたのかわからなかった。ただ、ミケの胸ぐらをつかんでいたのだ。

「おい、ミケ!今の言葉、次言ったら俺がお前を殺してやる。生まれてこなければよかった?ふざけたこと抜かすんじゃねぇ!お前は俺たちとの暮らしが楽しくなかったのか?仲良くなった人との出会いが良いものじゃなかったのか?お前はあんなやつに言われた言葉で自分や人の人生を侮辱するつもりか!それに、生まれた理由なんて誰もわからない。死ぬ直前になって初めて、この世界で自分が生まれた意味を理解するもんだ。まだそんな瞬間じゃないだろ!これからその意味を見つけていけばいい!」

俺の言葉を聞き、ミケは大粒の涙をこぼした。ずっと辛かったのだろう。

「でも、コーヘイやコーギーが傷ついて…」

「アホか!こんなもん、どうってことないよ。死ぬこと以外はかすり傷と同じだ。時間と共に何れ癒えたり、方法が見つかるもんだ。気にするな!」

「その通りだ。命があればそれだけで可能性が広がる。アイツらに見せてやろう。私たちの可能性を!」

「それと、、、おい、マタタビ!」

「な、なんじゃ!」

「お前がミケの生きる意味をきめるんじゃねぇ!」

俺はそう言い終えると、コーギー、ミケに思いついていた作戦を話した。

まずはあのミノタウロスをどうにかしなければならない。


俺の作戦を聞いたコーギーとミケは頷き、了承してくれた。

「それじゃあ、早くあの化け物とクソ野郎を倒して、家に帰ってゆっくりするか!」

「ああ、久しぶりに戦ったせいか中々疲れたからな。そろそろ決着をつけよう。」

「はいっス。」


よし、てことで俺は今から死ぬ気でやろうと思います。


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