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6.5.忠実なる彼

今回は意外と大切なこと言ったりするので番外編ではないです。

家に入ると、さっそく机に向かい合わせに座り、俺と剛志だけの家族会議が始まった。


「…剛志。まずはお前が更生者だったってことだけど、ホントに更生者なんだよね?」

「ええ、私は更生者であるということもあったのですが、その他にもいろいろ諸事情があって旦那様に雇われることになったのです。本当は旦那様のボディーガードを勤める予定だったのですが、色々ありまして…契約を改正して、今は貴方のボディーガードを勤めているのです。」

「…それは言っても大丈夫の範囲なの?間違って極秘事項話しちゃったりしちゃってない?」

「極秘事項は貴方のボディーガードの任務についての詳しい内容のことですから。」


剛志は話しながら、堪忍したようにどんどん小さくなっていった。…そんなに責任感じなくてもいいのに。

俺は多分極秘事項に当たらないであろう更生力について聞くことにした。


「剛志の更生力っていつごろから使えたの?…いや俺と同じぐらいに使えるって気づいて訓練したのかなって思ってさ。それとなんて能力名なの?」

「私は物心ついたころから更生力操作の訓練させられていました。…言っていなかったと思いますが、私は犯罪組織の生まれでして…そこそこ純度が高い更生力を父親が持っていたので受け継がれることがほぼ確実だったのです。それで、まぁ、私はいい兵器になると思われたのでしょう。」


ええええええーーー!!!知らなかったーーー!!はぁ!?剛志まさかの犯罪組織出身だったのかーい!それを知らずに今まで一緒にいたこともすごいけどね!俺!!っていうかそれでよく父の護衛なんて就職できたな!


「マフィアの幹部という人生に疲れてしまった時に旦那様が私を拾ってくださったのです。あの時、旦那様が心の中で苦しんでいた私に気づいてくれなかったら、とっくの昔に私はわざと撃たれるかして死んでいたでしょう。まぁ、旦那様が単に更生者が欲しかったということもあると思うのですけどね。―――それでも、旦那様には恩があるのです。」


剛志は亡き俺の父を思い出しているのか、懐かしそうに目を細めて微笑んでいた。

…父さんってそんなことしてたんだな。生まれとか身分とかにうるさい人だって俺が勝手に決めつけて勘違いしていたみたいだ。―――もしかしたら剛志の方が父のことについては詳しいんじゃないかな。何か複雑な気がしないでもない。

…そういえば能力名については何も聞いてないぞ。


「ねぇ、…能力名は?」

「へ?…ああ!すみません、話が逸れてしまっていましたね。私の更生力の名は『超硬化』。名の通りそのままの更生力です。自らの身体と手で触れた物を最大10倍の硬さに強化することができます。私がどうやって勇翔さんの更生力を抑えていたのかといいますと、貴方の更生力そのものをあなたに触れた時に硬く凝縮することで、更生力が溢れるのを抑えていたというわけです。それも貴方が成長するにつれて抑えることに限界を感じていたのですがね。」


硬化か、ボディーガードっぽくてかっこいいなぁ。

…そういえば子供の頃、剛志が来てまだそんなに経っていなかった時に一回俺が拳銃で撃たれそうになったのを剛志が自分の身を呈してかばったんだよな。その時俺は他のボディーガードにすぐに安全な場所に避難させられて、剛志がどうなっていたのかわからなかったけど、更生力の硬化能力で銃弾弾いてたのかもしれないな。だって傷一つなくすぐに俺の所に帰ってきた記憶あるもん。その時は『こいつ、人間じゃない!』って言っちゃった記憶があるな、だって普通に怖かったもん。いや、誰もが怖いと感じるかはわからないけど、ビックリぐらいはするよね。うん。


「そういえば、俺の更生力の能力名聞いてないな。剛志は俺の更生力について何かわかることとかあるの?」

「実はどんな更生力を持っているのかは覚醒してみないとわからないのですよ。覚醒とは、能力を自らの意思でしっかりと使っている状態のことを指します。旦那様の更生力はあまりにも純度が低かった為に覚醒まではできませんでした。ですが勇翔さんは、身体能力と頭脳の働きが人よりも高くなっている事が更生力の能力の一つと考えてもいいと思いますよ。間違いなくそれは更生力から来ていますからね。旦那様と同じような感じがしますし。ちなみに、能力名は能力が覚醒すると同時に自然と心に浮かんでくるのです。何でそのような仕組みがあるのかはわかりませんが、更生者たちの中ではこれが常識ですよ。」

「ほう、そうなのか…。」


結局、能力のことはまだ完全にはわからないってことなのか…俺の能力、しょぼくないといいけど。

とりあえず、明日はしっかり話を聞いてこれからの生活スタイルも考えていかなきゃいけない。不安だがやるしかない、それに周りには支えてくれる人がたくさんいるのだから何とかやっていけるだろう。


「とりあえず明日は学校だからもう寝る支度するね。剛志も今日は色々あったし早く寝るんだよ、おやすみ。」

「ええ、お休みなさいませ勇翔さん。」


でも、剛志には、剛志だけには、なるべく迷惑かけたくないな。

俺のボディーガードなんだけどね。


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勇翔さんが寝室に行くのを見守り、私は今日のことについて少し考えていました。


「…ふふふ、勇翔さんは本当にいい子に成長しましたね。使用人と何ら変わらない私を心配してくださるなんて。あの方が私を少しは特別に思ってくださっているということなのでしょうか。私は貴方を子供のように感じているくらいですから、貴方も私を親代わりくらいには感じてくださっているのでしょうね。」


―――でも、まぁ、私が今日のことくらいで疲れているわけがないでしょう?勇翔さん?


そもそも、私に疲れという概念は存在しないのです。疲れなど、感じることさえ許してくれないようなところで私は育ったのですから。多分、感覚が麻痺しているのでしょう。

そういえば、私が疲れを初めて感じたのは勇翔さんのお世話係も兼任することになった時でしたかね。小さい頃は本当に本当に悪ガキで…。でも、その疲れは私にとっては最高に幸せを感じるものだったように思います。穏やかで、とても平和な。平和なんて縁が無かったものですから。

―――勇翔さんは旦那様のご意思によってそれは本当に大切に、大切に育てれられたお方。絶対に、何があっても私が守らなくてはならないのです。急に割り込んできた彼らには悪いですが好きにはさせません。旦那様に勇翔さんのすべてを任されたのは私なのだから。

だから―――


「―――だから勇翔さん。どうか、この私の裏にある禍々しいモノに気づかないでください。そしてその澄んだ瞳でそれを見ることのないように。―――これは貴方を守るためにはどうしても必要なものなのです。」


まず最初は、好きに泳がせてあげましょうかね?

突然途中で剛志サイド入れました。急に入れてすみません。

次は物語進めます。

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