4.彼女たちの目的
おはようございます!皆様!
さーて、俺の意識が戻った時にはすでに手と足と腰の辺りを、ロープで椅子にしっかりと括り付けられていたのです。…おいおい、ガチ誘拐じゃん。
「やっと目覚めたかのう?勇翔。」
「…君は昨日の!?」
俺の目の前に立っていたのは昨日の少女だった。今日の格好も相変わらずゴスロリのようだ。少女の隣には俺を誘拐した男が立っている。何で少女が俺の名前を知っているのかわからないが、とりあえず彼女たちの目的を知りたい。大企業の社長の息子の名前くらい、調べれば出ると思うし。つくづくそんな立場にいる自分が嫌になるが。
「俺を連れ去った目的はなんですか。さっきの態度からしてお金目的ではなさそうですけど…。」
「もちろん、お金などいらぬぞ!お金は千子がどうにかしているから大丈夫じゃ。わしはおぬし自身を欲しているのだぞ。」
「エリカ。俺の苦労をどうにかしているという言葉だけで片付けないで欲しい。どれだけ大変だと思ってるんだ…。」
…どうやら、誘拐男さんは苦労人らしい。幼女に使われる成人男性ってかわいそう以外の何物でもないじゃん。俺と剛志も昔からそんな感じに見えたのかな。お仕事だからしょうがないんだけどね!…帰ったらちゃんとねぎらってやろう。
エリカと呼ばれた少女がにやにやとしながら面白そうに話す。
「ククク…おぬしの苦労など、ワシにつく前からわかっていたいたことであろう?馬鹿者。…まぁ、今回の事は悪かったと思っている。いくら苦手だと言っても逃げるべきではなかった。では、これから詳しく説明しようぞ。…千子がの。」
「結局俺なのか!?まぁ、これ以上焦らす訳にはいかないからな。―――千日紅勇翔。完結に言っておこう。お前に頼みたい事はただ一つ。戦闘能力の高い更正力を持つ更生者として、お前にはこれから俺たちのところで働いてもらいたい。何でも屋の活動部隊の一員として。」
「…え?働く?」
俺、よくわかんない人たちにスカウトされたってこと?誘拐してまで俺を勧誘したいのか?
―――いやいやいや、どう考えてもありえないって!何で俺!?…っていうか、わからない単語連発してるんだけど!
「よし、まずは…」
その後、誘拐おと…千子さんは事情を説明しだした。まず更生者、更正力とは何なのかを。
「更正者とは特殊能力所持者のことだ。更正力とは、その特殊能力の総称であって、人によって持ってる能力はさまざま。俺は能力を持ってはいないが、彼女…エリカは持っている。ちなみに世界のバランスを保つために存在するものと言われているから、『更正』と能力を呼んでいるらしい。簡単に言えば、能力そのものを更生力。その力を持っている者が更生者ということだ。」
「…更正者のことはわかりましたけど、その人たちが俺にどう関係してるんです?勘違いしてるみたいですけど、俺は更正力なんて持ってないですよ。それとも俺の立場を使って更正者を集めようってことですか?」
そんな特別な人たちと俺が一緒にされるのは何だか申し訳ないし、現実的な感じがしないからそう簡単に受け止められない。
本当にあるんだな、特殊能力なんて。アニメやゲームの世界でしかないと思ってた。っていうか、千子さん更正力持ってないのになんであんなに力強かったんだろ。動きも素早かったし。
「違う。エリカも言っただろう?欲しているのはお前自身なんだと。知らないようだが、お前はすでに更正力を日常的に使っているんだ。無意識にな。」
「はぁ、無意識に?…俺が?」
いつそんな特別なことをしただろうか。日常的ということは、今日も使った可能性があるということになる。あれ、いつも通りに学校生活を送ったのだが。本当に思い当たることなんてない。力を使わなくてはいけない位のことがあるなら自分でも心当たりがあるはずだし。
「では、問おう。お前が自分自身のことで人とは違うと思った部分はあるか?」
「…俺自身で特に突出してるところなんて無いけど…。―――一つ、俺自身のことで人とは違うことは、勉強も運動も別に頑張らなくても感でできちゃうところかな。」
「―――それだ。お前は更生力を勉強や運動の時だけ、無意識に使っていたんだ。」
説明長くてすみません。次も説明回になります。早く進みたいのですが設定はしっかりとしておきたいですからね。もうちょっとお付き合い下さい。