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3.連れ去られる

放課後。剣道部の練習が終わり、昨日と同じように帰宅していた。

―――ふと昨日のことを思い出す。本当はあんな事は無かったんじゃないかと思いたいが、実はまだあの時の血の赤黒い色が俺の頭から離れない。朝はこのことなんてどうでもいいと感じていたはずなのに、昨日と同じ時間にまた同じ道を歩くとどうしてもあの時の光景がよみがえってしまう。


「今からでも剛志を呼ぼうかな。あいつの仕事が終わるまではどこかの喫茶店にでも入って待ってればいいし。…いや、立場的にすげー狙われやすいけど、通常なら自分で何とかできるし。大丈夫なはず…。でも昨日は自分で解決できる感じではなかったんだよなぁ。」

「…失礼だが、そこの君。ちょっと聞きたいことがあるんだ。少しいいか?」


そっそれは、見るからに怪しい奴が言うセリフだぞぅ…!

―――まぁ、俺は人質としてよく狙われるのだけど。だから両親の仕事の邪魔にならないように特殊な訓練はそれなりに受けさせられた。朝、彩菜に話した武術も特殊訓練の一つだ。

…突然凄く遠い後ろの方から声をかけてきたやつは長身で顔の整った男だった。燃えるように赤い髪の毛、スーツをキッチリと着こなし、長い前髪からは冷たい印象を与える青い独眼が覗く、もう片方の目は黒い眼帯に覆われていた。…おい、眼帯とか如何にも怪しいだろ。中二病かよ。

―――俺は男が後悔しないように注意勧告を兼ねてわざと男の会話から避ける。


「あぁー、すみませんねぇ~!急いでいますので、他の方にお聞き下さい!そういえば、今日の夕飯はハンバーグだって剛志が言ってたなぁーー!すっっっっごく楽しみーーーー!それでは、失礼しま…」

「君は千日紅勇翔だろう?」


男はためらいもなく俺にどんどん近づいてきた。

―――俺は感が働かなくて、わざと出した殺気とオーラすら感じ取れない奴が一番嫌いだ。弱いやつに限ってそういう人が多いのは俺の経験上わかっているから。


「…はぁ。話を聞かない奴は嫌われますよ。―――俺は遠まわしに見逃してやるって言ったんです。…ああ、お金が欲しいなら会社を襲うことをお勧めします。俺がお金を持っているわけではないので。まぁ、結局会社を襲ってもすぐに捕まっちゃうと思いますけど。会社のセキュリティは万全ですから。捕まるのが嫌なら早く諦めて下さい。今ならまだ…」

「殺気ならバリバリ感じているぞ、オーラもな。…何で一般人のお前がそんな殺気とオーラが出せるのか、すごい気になるが…。とりあえず、何故か俺を怪しい奴と勘違いしているが、俺はお前を迎えに来ただけだ。安心してくれ。」


男は俺の近くに来ると歩みを止めた。そしてその整った顔で綺麗に微笑む。

…こいつ何言ってんだ?殺気とオーラは感じていたのに何でわざわざ近寄ってくる?普通は近寄らないぞ。俺だって自分よりも強いと感じたら近寄らない。危ないからな。もしかして俺よりも?…っていうか迎えってなんだよ!迎えに来る奴なんて剛志ぐらいしかいねーぞ。お世話係、剛志しか雇ってないからなっ!


「は、はい?迎えなんて待ってないんですけどー…?」

「…俺のことをあいつから聞いていないのか!?」


男は驚き、その後ため息を吐いた。あいつって誰のこと言ってるのでしょうね?俯きながら男は呟く。


「何であいつはいつも肝心なことを言っていない?これじゃあ本当に俺が不審者ってことになるじゃないか。…もしかして、説明できなくてそのまま俺に丸投げしたのか?はぁ…もう、何なんだあいつは!だから昨日、俺も一緒に行くって言ったのに!―――…すまなかった。千日紅勇翔。紹介されていなかったようだが改めて自己紹介をさせてくれ。俺の名は茨木千子いばらぎせんじ。昨日お前が会った、多分相当迷惑を掛けた女の使いだ。よろしく頼む。」


そう言って男は俺に握手を求めてきた。そういえば昨日、最後に使いを出すとか何とか聞こえてきたっけ。心の中でお断りした気がするんだけどなぁ。やめてって。やっぱり声に出して言った方がよかったのかなぁ。本当に来ちゃった。


「昨日の女って…え!?もしかしてゴスロリ着てたあの女の子ですか?彼女は何も悪くないと思うんですけど。というかあれ本当のことだったんですか?」


じゃあ、どうやってあれを隠ぺいしたんだ?昨日のことが本当ならば、俺はあの時、許されない罪を犯したというのか?


「そのゴスロリのやつが全ての原因なんだ。全くお前には理解出来ないと思うが。詳しくは違う場所で話そうと思う。あいつにはお前に謝る責任があるからな、絶対に謝ってもらう。…昨日に引き続きお前にとっては最高に迷惑だと思うが、さっそくお前を誘拐する。説得の時間は逆に勿体ない。」

「は?説明してほしいんですけど!説明時間が一番大事だからね!それに、誘拐なんてそんなことさせるつもりはな…っ!」


次の瞬間、男は人とは思えない速さで俺の後ろに回り込み、俺の首元を叩く。その瞬間、俺の意識は遠のいていく。


「すまないが連れてこいと言われてきたからな。本当は誘拐する気など全く無かったんだが、あまりにも状況を知らないものだから。…たまには誘拐される経験もいいとおもうぞ。」


いいわけあるかぁーっ!剛志ママの特製ハンバーグ食わせろォォォー!!




千子さんは中二病じゃないですよ。

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