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「け、けんじゃ?…賢者っ!?」

「西京様っ!、私も今まで少なからず色んな職業の方達と出会って来ましたが、賢者の職業を持ち合わせた方なんて初めてです!?」

「そうみたいだね。」


受付嬢もマリアも非常に驚いた様子だが、俺には当然の結果だったので軽い返事しかできない。

キャラクリエイトでの最後の質問、「賢者とは?」で、製作者の俺の名『西京』を打ち込むと賢者になれる。文字数やカナ英数の違いで剣士や戦士、魔法使いなどに割り当てられるのだが、賢者にはそれ以外最初からなる方法はない。ストーリーの終盤でイベントが発生し、選択次第でプレイヤーは皆賢者になれはするのだが、そのころにはレベルも高くスキルも充分あるので、賢者特有の高位魔法やレベルアップ時のステータス上昇補正等はさほど恩恵にあずかれない。それをこの裏コード(俺のデバック作業をやりやすくするために作ったやつ)で強くてニューゲームをやろうって訳だ。


「まさか賢者でいらしたとは…、伝説の話じゃなかったんですね。そ、それよりステータスのチェックをやってみましょう!伝説の職業がどれほどのものか俄然興味がでてきました。」

「西京様、私も一緒によろしいですか?」

()()。減るもんじゃないからいいよ。」


二人とも賢者に対しての好奇心を隠しきれず、そわそわしてかわいらしい。


「そのままその水晶に手をかざしながら、ステータスオープンと唱えてみて下さい。水晶の魔法が発動して、この紙にステータスが印字されます。」

「わかった。ステータスオープンッ!」


 ステータス

 名前:西京 司

 Lv.1

 職業:賢者

 能力:HP56

    MP186(↑↑↑)

    功力12

    防力2

    敏捷40

    理力337(↑↑↑)

    運気89(↑↑)

 特技:【真眼】正体を看破

    【瞑想】MP補正大、MP自動回復大

    【悟り】理力補正大、魔法ラーニング、敵魔法威力低下

スキル:ビッグバン、エレメンタルフォース


MAXステータスは全て999なので、賢者の魔法特化具合がよくわかる(職業によって関係パラメータに上昇補正が矢印で表示されている)。それにチート特技もふんだんだ。…にしても、防力2って低すぎじゃね?いくらランダムで決まるからといっても、この世界で生き抜くのにこの紙装甲はヤバイわ。


「にゃ、にゃにこれぇ…。」

「・・・。」


俺の横で二人が呆然として、仕事の顔を崩さなかった受付嬢も、今やただのおにゃのこに崩壊しかかっている。防力に気をとられていたが、そういえば理力値とかはレベル1じゃ考えられないような代物だったな。えぇと、普通がどれくらいだったかこの二人を見ておくか。

賢者の「真眼」は他人のステータスを隠すことなく見れる技能でもあるので、立ち尽くして隙だらけの彼女らに心の中でステータスオープンを唱える。


 ステータス

 名前:バーバラ・モンターニュ

 Lv.5

 職業:魔法使い

 能力:HP48

    MP72(↑↑)

    功力14

    防力13

    敏捷18

    理力95(↑↑)

    運気33

 特技:【魔法の心得】理力補正小

スキル:ファイア、ウォーター、ウィンド、ロック、サンダー


ふむふむ、五大属性の魔法を満遍なく覚えてるなんてなかなか優秀な受付嬢なんだな、バーバラちゃんは!

しかし、レベルアップ時に補正なしが+1~3、補正ありが+5~10、各ステータスが上昇すると考えると…、やっぱり俺のほうが防力低いんじゃね?女の子よりか弱いなんて、ショック…。




 ステータス

 名前:マリア・パラゾワ

 Lv.12

 職業:巫女(聖女)

 能力:HP111

    MP138(↑↑)

    功力34

    防力66(↑)

    敏捷43

    理力107(↑)

    運気89(↑)

 特技:【加護】防力補正小、運気補正小

    【癒しの力】回復魔法効果上昇

スキル:ヒール、オールヒール、キュア、リバイタル、ウォール、浄化


防力ぃぃいいい!めっちゃ固いし、そういやそんな特性つけてたっけ。だって皆回復役すぐ死ぬの嫌じゃん?俺は優しいクリエーターだから救済するじゃん?今、傷つくじゃん!?…もう、気にしないことにしよう。食らわなきゃいいんだよ攻撃なんて、(けんじゃ)ならできる!やってやろうじゃん。

内なる闘志に火をつけた所で、受付嬢バーバラちゃんに話しかけられた。


「・・・っと、すみませんボーっとしてしまって。それにしても伝説の名に恥じないステータスですね、賢者とは。レベルが上がるとどれほどまでになってしまうのか、恐ろしい限りです。」

「まぁ、上には上がいるからね、このステータスには甘えないよ。」

「確かに、王国一の魔法師ヱヴリン様などは理力値が500を超えているなどと風の噂で聞いたこともありますが、彼女はレベル50です。レベル1でこのような強さなど前代未聞です。」

「ははは、ありがとうマリア。」

「西京様、ステータスを写したこの紙は、この後ランクの割り当て資料となりますので、当ギルドにて厳重に保管させて頂きます。もしご希望であれば、パーティーへの紹介状に使用しますがいかがなさいますか?初回以後、ギルドでのステータスチェックは有料となります。それなりの値段となりますので、鑑定持ちの占い師や巫女などを仲間にされる、もしくは仲間に入るのも一つの手です。西京様の場合、もしかしたら今後習得されるかもしれませんが、なにぶん賢者のスキルが何かというのはあまり分かっていないもので…、」


実はもう出来るとは言えないな、こっそり見ちゃったし。彼女達には真眼という特技があるのはわかっても、その効果まではわからない。説明文は対応する特技を持っていなければ浮かび上がらないのだ。


「パーティーについては誘いたい人がいるから、紹介はいいや。」

「かしこまりました。ではランク割り当ての手続きに入りますので、ホールにてお待ち下さい。」





ホールへ移動し、待合席に座ってしばらくしたタイミングで、マリアが口を開く。


「西京様はお強いのですね。私なんか・・・、このままじゃダメなのに。」


さっきとはうってかわって、暗い表情になり、どこか悔しそうに下唇をかむ彼女。


「・・・西京様、私とパーティーを組んでくださいませんか!」

()()、よろこんで!」

「え!?」


アリアはすぐ返事が返ってくるとは思ってなかったのか、非常に驚いている。


「さっき、誘いたい人がいるって話しただろ?俺もマリアとパーティーを組みたいと思ってたんだ。」

「そ、そうだったのですね///。」


顔を赤らめ、さっきとは違った意味でまた下を俯く。くぅ~、かわいらしい。でも良かった、ちょっとは顔に表情が戻ったみたいだ。

マリアは家族を全員魔物に殺された過去を持つ。それから魔物を倒すべく、拾われた教会で修行しながら、強い冒険者も探していた。彼女を仲間にするには出会ってからのイベントをこなした後、ステータスチェックした際に彼女の能力を一つでも上回っていればいいのだが、攻力の高い剣士や戦士、武闘家以外はほぼ仲間に加えられない。賢者はその点理力値で確実にクリアできるので、ここまで引き連れてくれば確実だ(防力が低くてもな!)。


「よろしくな、マリア!」

「はい!よろしくお願いします西京様!」


二人で固い握手を交わし、微笑みあう。あぁ~やわらかい手だ、小学校以来女の子の手を握るなんてなかったからな。ついでにハグもしちゃだめかな?

不穏な誘惑に駆られる寸前、受付にバーバラちゃんが戻ってきて俺達を呼んだ。ちぇっ。


「お待たせいたしました。ギルドマスターも賢者の入会者は初めてだったようで、だいぶお悩みになられていましたが、慣例を廃して特別に今回の処置とさせていただきました。ギルドカードをどうぞ。」

「ありがとう!期待にそえるよう頑張るよ。」


渡されたカードはブロンズの…、ではなくゴールドに「A」とかかれていた。







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