18.5最後の戦いに向けて
先発隊を出して様子を探らせる。彼らが敵の集まっている場所を調べて戻って来た。
4つの部隊全ての存在を確認できなかったが、元神官だった男の言う通り行く先は二つの部隊に別れていたそうだ。全ての敵が1か所に集まっていたら戦力で負けていたかもしれないが、別れているならばこちらの勝率があがる。
僕らはその一つに向かうことにした。もう一つは後から増援で来る部隊が向かう。こちらは相手の1部隊に全力で挑む。こちらが魔法が使える槍や剣を所有していても、全員ではないのだ。敵1体に数名で対応しなければ勝てないような敵だ。油断せずに全力で挑んだ。
1度目の戦いが行われた。こちらの戦力が10倍以上あるにも関わらず苦戦を強いられた。だが、この戦いで魔物の特性を得る事ができた。
魔物達は力は強いが、部隊長以上になると属性を持つ。それはメリットでもあるがデメリットでもある。魔法剣の種類を変えればこちらが優先に進められる。
一般兵にあたる魔物達にも弱点があった。物理防御力の高い物は魔法防御率が低い。力の強い者は素早さが無い。など魔物の種類によって似た傾向があった。
情報を共有し、2、3度の目の攻めで好転し始めた。
別の見方部隊とも情報を共有し2部隊を全滅させるのに擦れ程の日数は必要なかった。
その後、もう一つの部隊と合流し城の前にいる部隊を倒した。
僕とおじいさま、それに僕の直属の部下にしていた優秀な騎士5人と魔導士5人を連れて城へと侵入した。
城の広間では4体の高位魔物が待ち構えていたが、騎士と魔導士達に任せ、僕とおじいさまだけが城の上へ向かった。
広間から謁見の間までは障害も無くスムーズに上がる事が出来た。
そして、ついにイザラークと対面したのだ。
「おとうさま、僕はこの戦いが終わればアースアシュリー・ランバートの記憶は消えると思います。今日、ここで母上の仇を撃ちましょう」
「ああ、ついにこの日が来たか。アース、いやクリス。そなたは思う存分に戦いなさい。
ワシがあの副官を相手にしよう。お主はイザラークを頼む」
「さて、イザラーク。魔王となっても人の言葉はしゃべれるのだろう。なぜ人を魔物に変えてまで支配しようとする。お前の望む世界は、人ではなく魔物が過ごす地だったのか。
答えろ」
「ふん、私もお前と同じ転生者だ。前世の記憶は酷い世界だった。騙し、騙され、殺し、殺される。そんな世の中だった」
「ならばこそ、なぜこの世界の平和を乱す」
「ふん、この世界の甘さには反吐が出そうだ。争いこそが人を進化させる、それに混沌は必要だ。我が神メフェイスト様がこの地の神になるためにも」
「聞いたことも無い神の名。結局それが狙いか。ウルカヌス神の領地を奪いメフィストと入れ替える。その為にお前がこの地に生まれたのか」
「私は復讐する。この世のすべてに。神は偉大なり。我は魔王。魔王イザラーク。我、神徒を打ち倒す者なり」
会話がかみ合わなくなった。まあ期待もしていなかったけど。
まずは、イザラークの横に居た者が動き出した。それをおじいさまが受け戦いが始まった。
僕も剣を抜きイザラークに向かった。