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18.3最後の戦いに向けて

 戦いの日は急に訪れた。準備はしていたので素実早くなったところで問題は無いのだが。

 見張りからの連絡を聞いた時には皆が驚き動揺した。


 大勢の民が土地を捨て出奔してきたのだ。夏の収穫期を前に農民が急に土地を離れるなど何が起きたのか。尋常ではない何かが起きたのは間違いない。


 農民達が言うには急に魔物が大量に発生し逃げて来たのだと。

 魔物の発生に驚かされたがあの地にも兵士は居るはずだ。そもそもその兵士を倒すために準備を進めてきたのだから。だが、兵士が魔物を討伐する様子は無いそうだ。

 次々に到着する農民達の情報でようやくその羨望が見えて来た。

 どうやら、都市部に居る魔力を持つ貴族や兵士が魔物に変ったのだと。魔物に変化しなかった兵士達は魔物と戦いすでに倒されている。


「人が魔物に変るのか。そんな事があり得るのか?」

「魔王が生まれたならば」

 そう答えたのは戦いに来てくれた賢者様だ。

「初代の賢者様が集めてくださった書物の中に魔王が誕生した場合の影響が書かれた物がありました。1000年ほど前にこの地域の反対側になる南西地区、トラロック神を信仰する地で起きた事件です。その時に魔王の誕生と共に人が魔物に変ったと。それも変化した魔物はすべて上位種」

「それは、どうやって収まったのですか? 魔物に変った物は人に戻れたのですか」

「魔王を倒さなければ終わりません。そして魔王が倒れても魔物から人には戻れないのです。すべてを倒さなければ。ただ、魔王が倒れると魔物の力は減ります」

「では、倒すしかないな。よし機を逃すわけにはいくまい、生き残っている民もいるはずだ」

 僕はおじいさまに続いて立ち上がり

「そうですねお父様、行きましょう。母上の仇を今こそ」

「そこに元凶があると言うことかアース」

「はい、あります。僕の中にいるアースアシュリーがそう告げている」

「わかった、ワシとそなたを魔王の元に導け。皆もそれに全力で尽くせ」

 がたっと皆が立ち上がり出兵が始まった。


 部隊は、僕とおじいさまが率いる精鋭の騎士と魔法使い100名の部隊。それに、父上が率いる1000名部隊とランバート男爵が率いる1000名部隊、それに最後にクラリス子爵が自ら率いる5000名が所属する部隊の4つだ。

 それに各領地から2000名の部隊が次々に到着しつつあった。本来の出発は1週間後だったので、ほとんどの部隊が途中に居る。伝令を出して行き先を直接向かうように変更する。

 もともと現地集合部隊もあるし、ぎりぎりに到着する予定でも無かっただろうから数日遅れで合流するはずだ。

 集められた兵士やその周りの人達を入れた総数は2万人を超える。それに王都からの補給の専門隊が出ている。

「じゃあ、アリス行って来るよ」

「必ず帰って来てね、毎日お祈りをしてますから」

「あまり祈りに集中しすぎて倒れないようにね」

「クリス様、一人で戦っているわけでは無い事を覚えておいてください。離れていてもわたくしはいつも共に」

「ああ、解ってる。君がいるから僕が戦える。たぶん、僕らが2人になったことは神の導きだ。今度の生こそは老衰を目指すつもりだ、アリスと共にね」

「ええ、素敵なおばあさんになるから、クリスも素敵なおじいさんになるまで死んじゃだめよ」

 僕は、皆に手を振って出立した。



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