18.1最後の戦いに向けて
神の力はどんな影響を出せるのかいくつか試していた。
アリスが兵士達の訓練中に歌を歌ったり、魔法の訓練は休憩中には踊り付きの歌を歌ったり。
兵士の基礎力があがり強くなる者も出たり、魔法の回復速度が上がったりと効果は人によって変わった。
一番の影響は怪我をした人の回復力。魔法で治癒をさせるのとは違う。魔法では疲れをいやすことはできないが、疲れの回復が早くなり怪我も早く治る。
母上の出産前においては生む前に逆子が治り危険な出産とならなかった。
そして、アレルギーの様な症状の者を治したり長年足の具合が悪かった人を治したりもしていた。回復魔法では治せないと言われていた事ができるようだった。
あとは、綺麗な薔薇を作り出したりなにやら品種改良にも手を出しているようだ。香水を作るために匂いの強い薔薇を作り出したそうだがついでに見た目も頑張ったと言っていた。
アリスの方はこんな感じだった。
僕の方は、身体強化を最大にして訓練をしていた様子を見切る事ができた一部の者が、僕に陶酔するようになってしまった。その人達の能力向上がすごい。同じぐらいの腕前だった者を圧倒できるようになっていた。そしてますます僕を拝む。完全に僕を信仰の対象としているような気がする。これも神の力の一端なのだろうか良くわからないが現状は戦力が欲しかったので神頼みではあるがこれを享受し、最終的に5人の戦士が才能を伸ばした。彼らには最高の魔法剣を与えた。
結局、この数年間神の力の使い方をいろいろと検証しようとした。そしてアースアシュリーが最後に使った物はなんとなく解った。
体を全て癒し魔力を急激に回復させるさらに通常よりも高い身体能力を出す。生命力を力に変えたから使った後に死んだのだと思っていた。
だが、検証の結果、神の力を意識的に魔力に変換することでこれを成すことができるようだ。どうやら僕とアリスの体の中には魔力とは別に神力が溜まっているようだ。
その神力を使へば神力を魔力に変換できるし、体を癒すこともできる。魔力のように体にまとえばいつもよりもはるかに高い身体強化の能力を得られるのだ。
どうやらアリスと比較すると僕の方が魔力が膨大に多い代わりに神力は少ないようだ。どうも僕は普段から神力の大半を魔力に変換してため込んでいるようだ。常人ではありえない魔力量を持っている理由らしい。
今度死んで神様に会ったら聞いてみようと思うが恐らくもう2度と神様に会う事はないから真実が解る事は無い。
だがアクアオルギュスが最後に使った攻撃の謎を解明することはできなかった。ただ何となくだが色々と試す中で自分の中の何かを犠牲にする、つまり失う代償に効果を増やせるのではないかと考えた。
直感でしかないのだが、犠牲にするものは自分の中の何かである必要がありそうだ。そう考えれば、アクアオルギュスはその後の人生の全て、神徒としての力を全て犠牲にしたはずだ。本来ならあれで消えるはずだった。なぜかもう一度転生しているが。
今の僕は、ほんのわずかに残った欠片から復活でもしたのだろうか。これらは本番でいきなり試すしか無いのだろう。犠牲に出せるものはそれほど多くないのだから。
そんな検証結果の元、アリスは歌を歌って神力を少しづつ使い、僕の魔力を回復させることができるようになった。それも距離はあまり関係ないようだ。さすが神の力。物理的な制約を受けないとは。