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17.2名誉男爵クリス・ボードナー

 初日、もちろん僕らはランバート家に挨拶に行くわけだ。

 アリスの宿屋は明日から泊まると連絡を入れて、今回は、全員ランバート家にお世話になった。ランバート家での夕食会は、家族が揃ったので和やかな会話がされた。


 その後、当主夫妻とおじい様、父様と母様が話し合っていた。僕も当事者として参加しているが、話題の中心は父上が領地を離れて名誉男爵となる僕を支えるのかどうかと言う話だった。

 土地持ちの士爵、それも準男爵となりえそうな地の領主である父上が1代限り名誉男爵の為に当主を辞めるのはどうなんだろうと思ったが、目的が領地奪還であり魔道具によって実現性が高いのならそこに向けて全力で補佐するべきでは無いかと言うのがランバート家の言い分だった。元々おじいさまが治め、母上もそこで育っていたのだ。ランバート家の言い分は十分に解るが、父上がそれを受けれるとは思えなかった。


 ところが、話し合いの中心はいつ父上が来るかと言う話ではなかった。どうやらすでに補佐する事は父上を含めて決定事項となっていた。

「父上、本当に良いのですが。ランバート家にとっては悲願であることは間違いないのでしょうが、父上が先祖から受け継いだ土地を手放すのは本意ですか」

「ああ、その事か。クリスは優しいな。その事は問題ない。アンシェリーと結婚する時にももしも土地を取り戻す戦いがある時は力になると誓っている」

「そうですか、父上に覚悟があるのなら良いのです。僕が魔道具を作れるようになったばかりに無理を押し付けてしまったのではないかと」

「いや、そなたこそ。魔道具を沢山作らせねばならぬことの方が申し訳ない。我々の悲願の為に、子供のそなたに負担をかけて。だが、4年。この4年で体制を整え攻める望みが出来たのだ、そなたには悪いが力を貸してもらうぞ」


 話し合いの前に、僕だけが状況を理解できていない事があるようなので情報の整理を含めてなぜ魔道具を作るだけで攻める事が決まったのか教えて貰った。


 今まで取られた領地の状況は密偵が調査をしており、状況は常に把握していた。その情報によると、どうやら、あの地を守る兵士達の方が性能の良い武器や防具を持っているらしい。それに隷属の輪の存在。彼らは死を恐れず攻めてくる。在留している兵士は当時の半分以下になってはいるが、死を恐れず攻める兵士への恐怖からこちらから攻める事を諦め守りに徹し現状維持だったようだ。


 だが、魔法の武器があるなら形成が変わる可能性がある。高い防御力の防具を付けていても一撃で倒せる武器があれば。敵の攻撃を防ぐ防具があるならば。

 さらにアクアオルギュスが亡くなる時に隷属の輪を付けている者が大量に死亡した。敵国の隷属の輪は少なくなっているらしい。

 だから、領主を含め皆がやる気になっている。

 ただ一人、僕だけは魔法具を作る事も敵国に攻め込む事もテンションは低いままだ。



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