13.2領都へ行く
まず、領都行は、母上の兄様が呼んでくれたことがきっかけだ。
この3国の中に一人しかいない魔法の天才賢者様がわざわざ田舎領地に来るからだ。
もちろんこんな超田舎の街に来るはずがなく、僕らが子爵家の領都まで向かう事になったのだ。
王子時代を含めて賢者の存在は知っていたが会った事は無かった。賢者はもちろん普通の人間なのだが、魔法の神髄を極めた者らしく、その秘術によって先代から知恵を継承していると言われている。なんと普通の人よりも寿命が長く今の賢者は100歳を超えていたはずだ。もしかしたらそろそろ代替わりをしているのかもしれないが。
さて、この旅に誰が付いて行くか、かなり揉めた。
シスコとゴンは17歳になった、この二人は当然だとして。他の人選だ。
魔法を使う部下の最年長はクロードで22歳。
クロードは、未だ独身だ。ナルシストの彼は、結婚せずにふらふらと遊んでいる。遊び過ぎてこの街では彼を相手にする女性が居なくなった。領都行を強硬に主張しているがそれが理由なのでいまいちだ。ただリーダーシップは健在で彼が居るとチームのまとまりは良い。連れて行くかとても悩む。
最悪、行ってから母上の兄に任せるのも良いだろう。
コルネオは念願のサーシャと結婚した。二人は参加だ。全体的に丸かったコルネオは僕の強制訓練で少し細くなり、丸顔だった幼い印象のサーシャは成人した事でちゃんとした大人の女性になった。元気さは変わらずなので、話をするとやっぱり子供ポイ感じがする。ごく普通の女性だ。母上から礼儀作法を一通り教えられているので、僕の侍女としての役割も担ってくれる。
キシリカはラールと結婚したが現在妊娠中なので、お留守番。ラールだけが領都に行くことになった。
あとはカール、シスコ、リーシャの17歳組。それとシスコと結婚したコリンナ。その後、魔法組に追加された16歳のロック、リンカ、15歳のミーリン。
後は、成人していないので、置いて行く事にした。僕の幼馴染二人の女の子も魔法組に入っていたが、お留守番だ。お土産を買って来るように、強くお願いされた。
そして、剣術を行う護衛はゴンを筆頭に10人が選ばれた、もちろん全員成人している。
正直、護衛人数としては過剰に多いのだが、父上も母上も20人規模の隊で移動するように希望したので、人数がとても多くなってしまったのだ。
なので、母上の兄さまの家には泊まりきれない。
僕とゴン、後は夫婦組のコルネオとサーシャ、シスコとコリンナ。それに女性のリーシャ、リンカ、ミーリンが予約されている宿屋に泊まり、他は兄さんが用意してくれた領主様の兵士棟に泊まる事になった。
なにやら、とても人気の宿屋で領主様のごり押しで予約して貰ったらしい。それでも4部屋が限界だというのだから、かなりの人気宿屋なのだろう。料理もとてもおいしいらしいので楽しみだ。