13.1領都へ行く
今までは必ず10歳で大きな試練があったが、今回はそれが8歳で魔物の襲撃を受けた。10歳になるとどれだけの大事が起きるのかと構え、魔法部隊を鍛え、父上に騎士達を鍛えて貰った。
周りの町も全て塀で囲み、安全を確保した。そして水。水路を作り溜池を作る。もちろん僕だけがやったわけでは無い。皆でやったのだ。
だが、なぜか事件らしい事件は起きなかった。そしてなんと今は11歳の春だ。夏には12歳となる。
魔法は、攻撃や防御中心をすぐに止め、魔力の多くを生活向上の為に多く使うようになった。
周りにも、そもそも神が授けた魔法はこうして皆の生活を向上させることが目的だったと説いていった。神官様も、生活向上の為に魔法を使うことを進めてくれ、攻撃や防御が使えない魔法使いも尊重するようになってきた。
そして、他の町からも魔法を使える者が僕らの仲間になり学ぶようになった。
こうして、工房で働く者達も徐々に増え、おもちゃだけでなく靴や服も生産できるようなった。
その大きな原動力となったのが、水車と風車だ。
オリジナルの物は僕が魔法で作ったが、これで人が補助するとどんどん布が出来るようになった。それを使った製品も。
靴は、木から彫った木靴から、底は木のままだが、周りを布で覆い、紐で結ぶことでかなり履きやすくなった。
水車、風車が量産されていないので、産業革命とまでは行かないが、多少の生活の向上には繋がった。
最近は、孤児院の卒業生も出てきた。この街で鍛えた兵士、役人が育ち、周りの町へも配属した。こうして、僕らの街が中心となった体制ができつつあった。
こういう取り組みをしなければ、他の街との差別化か測れない。まずは父様を準男爵に上げるべく地道な改善を続けていたのだ。
こういう、取り組みはすぐに功績を評価されるわけでは無い。10年以上、下手をすると一生と言う時間をかけて評価され、次代の爵位継承時に昇格するような感じなのだ。
ただ、この地の発展は目覚ましく、今の感じならばあと数年で爵位が上がるのではと噂されている。そんな感じで過ごしていた12歳夏。
僕は、なんと領都に行くことになったので、準備に大わらわだ。




