12.2 魔物襲撃
夜が明けると共におじさんたちは出発した。少し遅れて近隣の町と関係のある親戚関係者が次々に出発する。
それから二日後に一番近い村の子供達が母親と共にやって来た。まずは食料もほとんど持たずに慌てて移動してきたようだ。
それから徐々に人が集まる人は荷馬車や荷車で食料を持ち込んでいる。
開拓していた新しい家も解放し、足りない分はまだ使われていない畑に上に簡易のテントを組み、生活ができるように皆で整え始めた。
僕らは防御力強化の為に塀の高さを上げた。僕は人に見つからないように裏を、皆は表側を頑張ってもらった。元々2mほどだった高さを3mまで上昇させ、塀の上は1m程の通路になっているが、部分的に見張り棟を作った。
これで簡単に乗り越えてくる魔物はいないだろう。
その後、罠を作る事にした。塀の外に、もう一つ塀を作るのだ。そこはわざと低い塀で囲み、成長の早い作物も植え広場を作る。もし、魔物が寄ってきたら、少しの苦労で入れるようにしてあるのだ。つまりここに誘導して戦うつもりだ。
こちらの本当の塀の前には落とし穴もあるし、塀の中から弓を使えるようになっている。
そんな準備を整えている間に、隣町で怪我をして動けなかった人達もも無事に辿り着いた。シスコの両親も無事だった。重傷者は神官様が上級の回復魔法をかけた事にして、僕が治療を行った。
だが、この間にも一つ村が狙われた。幸い、逃げる準備ができていたので防衛をしながら撤退し、死者も重傷者は出なかった。
残りの3つは無事にこの街まで避難が完了した。
避難してきた人々の情報によると、魔物はゴブリンとオーク。人型の魔物で総数は数百体以上らしい。それだけの数の魔物が移動しているので、それらを統率する上位の魔物が存在することは確定しているようだ。
領都側で討伐隊を作っているが、そちらが千数百の規模らしいので、この集団は、そこから分離した集団だろうと言う事だった。
見張りが言うには、恐らく次はここに来るだろうと言う事だった。
そうして、迎撃態勢を整えているとついに魔物達が現れた。
やはり3mの塀、さらにその上に木の柵を作ったので、4m程になっている塀を超えようとする者はいないようだ。結局、罠に誘い込まれる。
罠の中に半数以上の魔物が入った。
そして戦闘が始まった。罠として作った広場には、魔法部隊が初級、中級の魔法、そして矢を撃ち込む。
僕は、罠に入らず手前に陣取った魔物達に、戦略級の攻撃魔法を撃ち込む。油断していたからか、後方の魔物の大半がそれで吹き飛んだ。
その後も一方的な攻撃魔法の嵐によって、魔物は大敗した。
だが、魔物だからなのか、一般的な戦略では説明のできない行動をしてくる。普通ならば大きく戦力を減らすと逃亡するのだが、そうはならない。
どうやら統率者は、オーガ。それもかなり上位個体が1体いる。その周りにもそれなりのオーガが5体。それと巨大な猪が10体。
広場に転がっている魔物の死体を無視し、それらを踏みつぶしながら猪が突撃してくる。体高が2m近くもある巨大猪。
巨大猪が塀に次々に衝突する。3mの塀と言えど、崩れ始める。
衝突のダメージなのか、猪は動かない。後方のオーガ達はゆっくりと広場に入ってくる。
オーガ、巨大猪。これらには中級魔法ではダメージが出ない。
猪が目覚めたのか、再び突進するために下がり始めた。ダメージを与えているのは矢だけ、だが矢は何本刺さっても猪を倒せそうにない。表皮に刺さっているが、毒も塗ってあるのに効く気配がない。
戦略級の魔法は範囲が広いが1体への攻撃力はそこまで強くない。しょうがないので、単体に最もダメージを与える単発の上級火炎魔法を使う。
1頭づつ倒すしかなかった。その為、時間がかかったせいで、最後に塀が一部崩れてしまった。




