10.4 魔法教育
クロードは顔に似合わず土魔法が得意だった。
本人はかっこよい火や光、あるいは氷魔法を使いたかったらしいが、水魔法と土魔法が得意だった。組み合わせると泥だ。泥の槍、泥の土盾、そして落とし穴。
適性が解った後は、井戸掘りばかりを繰り返し、レベルを上げた。本人の意思とは無関係に泥にまみれる魔法使い。彼のレベルは予想以上に上がった。
「美しくない。私にふさわしくないのに、なぜだ」
「あなたの心を反映させているのよ。泥沼の貴公子クロードで良いじゃない。
私は情熱のキシリカと呼ばれたかったのに、氷の女王キシリカよ。
最悪だわ、これじゃあ結婚できないじゃない」
彼らは、いつの間にか二つ名を作り、呼び合っていた。
得意分野がはっきりとし、その成果が表れたのは年長のクロードとキシリカ、2人だけだ。他は使える魔法が全て同じような効率で上昇している。
シスコは火と土が使えるが『爆炎の覇王』と呼ばれたいと言っていた。
どこからそんな二つ名の文化が入って来たのだろうか。めちゃくちゃ恥ずかしい気がするのだが、逆にそんな風に呼ばれたいとは、皆が中二病にかかっている。感染源は何だろう。
調べてみたら二つ名は教会の孤児達から流行りだしたことがわかった。ある子供が亡くなったが冒険者の父親の事を話し、それが広まった事が原因だった。
まあ、一度流行った文化は消し難く、僕が呼ばれない限りは影響ないだろう。『慈愛の女神』と呼ばれる母上は恥ずかしがってはいるが受け入れているし、今の所へんな二つ名を付けられて人がいないので、放置することにしよう。
最近の僕は開拓の方へと集中していた。身代わり要員の魔法使い10人がやった事にしてどんどん開拓を始めた。木をきり、土を掘り返し。最後に深い掘りに高い壁を作る。
さすがにやり過ぎたかと思うが、開拓地を見に来る人はいないので、今のうちにこっそりと作業を終わらせた。残りは、今の土地の方だ。そこに壁を作ると僕がやったことがばれる。残りは10人に頑張って貰わないといけない。だが、魔力的には無理な気がする。
父上に相談し、半分は彼らが作り、残りの街道からの入り口は街の公共事業としてやってもらう事にして貰った。さすがに、街道の入り口はかっこより壁でなければならない。魔法で作った壁は魔物除けなので、見栄えが良くないのだ。
そうして、皆がそちら側で作業をやっている間に、開拓地側に魔法で家を作った。水の確保量から考え、住める人員数を計算し、それに合わせた集合住宅だ。
結局新しく作った農地と住宅は現在集めた100人の孤児以上のキャパシティーがある。もう少し人を集めても大丈夫なのだ。
街は順調に大きくなり、資金も集まった。




