9.5生活向上と金稼ぎ
「父上、来年から開拓する土地ですが、相談があります」
「なんだ、クリス。まあ話は聞くが開拓地の土地は昔からこの辺りと決まっているぞ。男爵家の農地担当者から指導があったからな」
「ええ、それは知っています。僕はそこにあらかじめ水路を通し、この辺りに溜池を作ってはどうかと。それで、高低差を考えると、水路がこのように。だから開拓地の家を増設するならこの辺りに。あと、この辺りも水路を通すので農地にできます」
父上の部屋の壁に貼ってある地図を見ながら、説明をした。
「うむ、水路か。お前の言いたい事は解る。秋の収穫が終わった者達を集めて作業するにしても、費用が必要になるぞ。リバーシの売り上げから使うつもりか」
「まあ、多少は使いますが、どちらかと言うと魔法の練習にしようと思ってます」
「お前がリバーシを錬金魔法で作っていた事は知っている。魔力もかなり多いのだろう。
だが、水路に溜池をシスコと二人で魔法の練習で作るのはさすがに無理じゃないか」
「できるところから手を付けますし、僕が村人の前で堂々と魔法を使うのは避けたい。だから目立つところは人出を借りようと思ってます。あとは、すべてをすぐに完成させるわけではありません。全体の完成は3年後でも良いと思いまってます」
「まあそうだな。街の子供や孤児院の子供が大きくなり新たな農地を分けるのはだいぶ先だ。わかった、お前が好きに水路をひきなさい」
「では、将来像はこんな感じになると、大人たちの会合で話しておいてください。
この辺りの水路は、皆で作ると」
「ああ、ではその辺りは任せておけ。ところで最近のシスコはどうだ。
春はぎこちなかったが、夏の終わりごろから妙におとなしいと報告があったが」
「錬金魔法を使わせた事で、僕との差が理解できたのではないですか。でも、落ち込んでいるように見えるんですか。そうかな。
でも、だいぶ伸びましたよ。すでに工房を持っている大人と変わらないぐらいに」
「そうか、お前に鍛えられればそうなるのか。
それでは、他の者達も一緒にやらないか。
魔法が使え者を集めるから、クリスが鍛えるか? どうだ」
「そうですね。僕が魔法を使う隠れ蓑にもなってもらいたいので、他の人達と一緒に行動すればごまかせるか。でもそれなりに魔力量の多い人じゃないと訓練についていけませんよ」
「ああ、かまんぞ、この街でも年に2,3人は魔法の才能がありそうな者がいるんだ」
「では、成人前で10歳以上の魔法を使える人から選びます。水路の他に土壁も作りたいし」
「わかった10歳以上を全員集めよう」
よし、計画に向けてスタートだ。