8.3シスコとゴン
「ある程度は聞いたが、今日は何があったんだ、クリス。お前から説明を聞かせてくれ」
「最初に、ゴンがシスコ達に囲まれていじめられていました。
それを見逃せなかったので助けようと声をかけました。
僕が同級生でもなく無関係だから関わるなと反論してきたので、成り行きで、ゴンを護衛にすると任命し、関係者だからいじめをやめろと言い返しました。
ですが、急に自分の父親が本当は長になるはずだったと言いがかりを付けてきて、最後に僕に魔法を撃ってこようとしました。
それで、とっさにゴンに口を封じさせて魔法の発動を防止しました。
後は、母上から聞いた通りです」
「その処分が自分の護衛か。あの一家の問題性は前から指摘があった。
子供が起こした事は事実だが元を辿れば父親の不満を聞いて育ったせいだろう。
こうなると、子供の処分は良いとして、父親にも何らかの処罰は必要だろうな」
「子供の言った事ですよ。親が酒に酔って言った一言を信じていたとも言えるでしょう。
反乱を起こすつもりがあるなら、子供に不満を聞かせたりはしないのでは。
秘密裏に計画を練り、一気に事を起こします。
叔父上の性格で、それはありません。
それよりも、助けたのだと恩を売り、忠誠を誓わせましょう。
それに、シスコが8歳で魔法を使えるのは確かにすごいのでしょう。
力のあるゴンを護衛にしますが、魔法の使えるシスコも手元に置きたい。
これはちょうど良い機会なのです。僕の将来にとって」
「ふーむ、3歳のそなたがこれほどの知恵が回るとはな。
正直思ってもみなかった。
わかった。
この件はお前の言うとおりにしておこう。明日、正式に沙汰を言い渡そう。アン、お前からも何かあるか」
「いえ、とりあえず命のやり取りに発展する事態にならず、ホッとしました。
身内で争うなど避けたかったので」
「母上、僕は誰よりも命を大切にしようと思っています。
信じてください。それと、ゴンの事を教えてください。
成り行きで護衛にしましたが、実は彼の事をあまり知らないのです。
体格の割に大人しい性格だというぐらいしか」
「わかったわ、後で教えましょう。
シスコの件は処分に変化がないでしょうが、父親の処分はこれから話し合うことになるわ。
もう遅いからあなたは早く寝なさい」
そうして、先に眠り後日ゴンの事を教えて貰った。
どうやら、彼の父親は先の子爵領を取られた戦争で亡くなったそうだ。僕のおじいちゃんもその戦いで亡くなったので、父上が騎士爵を受け継いだその戦いだ。
残された母親は、父親が亡くなりすぐに家を出たそうだ。現在は父方のじいちゃんとばあちゃんが育てているらしい。ゴンが生まれた時期を考えると父親はギリギリ亡くなった人のはずだが、微妙な関係だ。それでも、じいちゃんとばあちゃんは疑う事なく、いや疑っても意味がないのだろう。とてもゴンを愛しているようだ。
ゴンは、とても優しい性格だが小さい頃から不器用で子供教室ではいつも浮いていたそうだ。去年の冬は僕が2歳で彼が7歳。同世代の中では体が一回り大きく、友達と遊ぶよりも母親衆から言われ、水くみを手伝ったり、雑巾がけをしたり手伝いをしていた事が多かったような気がする。
そういえば、絵札取りにはあまり参加してなかったなあ。
得意そうには見せないが、勉強もさせた方が良い。文字が読めないと護衛として困る時がある。率先して覚えさせよう。苦手でも時間をかければ読めるようになるはずだ。




