5.10子爵家の息子として生まれる
「敵兵後方部、魔法を無力化している部隊がいます」
黒い鎧を身にまとい、馬にまたがっている騎士達が10名ほど。その周りの兵士達も全員馬に乗っている。茶色の皮鎧を着て武器はショートソード。全部で100騎ぐらいだろう。
その騎兵が倒れた兵士を踏みつけながらこちらに向かって来た。死んではいない、気絶して倒れているだけの味方の兵士を躊躇なく踏みつけながら走りこんでくる。
「矢を撃て、魔法兵も防御魔法中止、魔法を撃て、狙いは馬だ」
こちら側が先行して攻撃を仕掛ける。やはり前回同様、兵士の動きがおかしい。
「兵を前に進めろ。平民達も聞け、短刀を持っているだろう、倒れている兵士は殺せ。
やつらは危険だ。動けないうちにとどめをさせ、そしてなるべく最速で駆け抜けろ」
「アクア。無抵抗な兵を殺すのですか」
「そうです。あれらは、おかしい。操られているのです。
こちらが降伏してもあれらは僕らを殺しに来ます。殺すか殺されるか、異常な兵士だ」
「なぜ、そう言い切れる」
「前回の兵士と一緒だからです。アースの母を殺した兵もあのように頭に輪を付けていた。今日の兵の多くが兜をかぶっていないから見える。ほとんどの兵士に輪が付いている。
きっと、あれが狂兵にしている原因です」
「これですか」
母上が、目の前で殺され倒れていた兵士の輪を抜こうとしたがやはり抜けないようだ。
「あなたの言うように、おかしいですね。これは、抜けません。防具では無いし、ですが奇妙な魔力の波動は感じるわ」
一部で雷による影響が終わり、起き上がる兵が出て来た。全員が駆け抜けていないのに兵士の復活。残念ながら戦いは乱戦となってきた。
「前方が空いているんだ。皆、進め」
僕らは兵士と共に最後尾について、撤退の足を進める。
皆が防戦一方で戦っている間に再び戦略級の炎攻撃魔法の詠唱が完了した。
一番敵兵の多い所に魔法を撃ち込む。それで敵兵を一掃した。
動ける敵兵はだいぶ減った。こちらの兵士も400弱に減っている。
拮抗した状況だが、撤退の道が見え、ゆっくりと下がった。
先頭はかなり前に進んだ。荷車に乗っている子女達も安全圏に進んだのではないだろうか。
僕は、魔法回復薬を飲み、魔力の回復を待つ。母上が僕らに防御魔法を使い、父上は風の魔法を使って遠距離攻撃をしている。
徐々に敵兵が減り、勝利が目前となって来た。もうしばらく滞留すれば逃げる事ができるだろう。
先が見えた事で少しだけ安堵した。




