5.5子爵家の息子として生まれる
庶民用の家だが、レンガを大量に作るのは却下。レンガを作る設備が無い。
元の家を解体し、それに付け加えていく形で家を作ろうと思っている。理想的には頑丈な家にしたいが、寒い冬を乗り切るにはある程度集団で生活した方が効率が良い。
合掌造りの家を見学した時も核家族ではなく親戚一同が集まった大きな家族で生活をしていた。前のアース時代の農民たちも同じような規模で生活をしていた。だが記憶にあるあの家族は少人数だった。食料を奪われないように世帯を小さくしたのかもしれない。
外側は各家族単位の小さな空間、中央部に大きな集団の部屋。そして暖炉と煙突。
円形の集合住宅、壁は木を活用して組みあげ、珪藻土を盛って厚みを増す。
練習として選んだ土地に家を建てる。平屋なので単純な家は簡単にできる。できるだけ煙突を効率よく配置し、空気を綺麗に流さなければならない。
照明の魔法があるので、冬の間は窓を使わない。夏になると大きく窓が開くようにする。
食事用のかまど、トイレ、暖房器具。それらを上手に配置して微調整を繰り返す。
最後に床暖房のテスト。集団部屋を効率よく温める為に床暖房を作ってみた。
ガラス管を錬金魔法で作り、中にオイルを封入し、暖房機で温める。
鉄の入手が難しいが、ガラスは石灰石や石英が集まったので、ガラスの色や硬度にこだわらなければ、魔法で簡単に錬成できる。
石英はこちらの世界でも宝石には分類されていない、どちらかと言うと屑石と言われていた。現地の方が大量に入手できるそうなので、現地で工業品にガラスを入れても良いかもしれない。
隙間風がびゅうびゅうの今までの家に比べると非常に効率的な家になったはずだ。
完成した建屋には兵士たちに駐在してもらい改善を繰り返した。
王都内では動ける状況のうちに必要な工具を買い揃え、運搬車や様々な行動具を準備した。
そうして、春になり移動が開始された。
けっこうな人数での大移動が開始された。
僕ら親族と、魔法が使える者達、兵士、神官たちと家族を含めて300名。それに借り受ける技師や工夫達を入れて移動する人数は総勢で1000人近い。それだけの人数の移動になると軍隊の移動となんら変わらない。普通に移動すると食料が足りない。なので、このうちの200人程は食料の移動を頻繁に繰り返す輸送隊でもある。
僕ら馬車組は2週間ほどで移動できたが、荷車を押してきた人達は1月程の期間をかけて移動してきた。
アウロスとアロイスは、さらに先に移動し、僕らの受け入れ態勢を作っておいてくれた。到着して後、テント生活ではなく仮の家が準備されていた。
アウロスが建屋の準備をしてアロイスは、先に畑の準備を始めていた。
そうして、誰も逃げる事なくいや、当初よりも人数は増えて大移動が完了した。
途中の街を通過するたびに、領主が食料と共に工夫を貸してくれた。作業が終わったら返さないといけないので、管理人を指名してグループ単位で行動してもらう事にした。
人や食力の助力は、王妃様からの応援要請があったからだそうだ。快く工夫を貸してくれたのでとても助かった。
