4.1伯爵家の息子として生まれる
今回、記憶がはっきりしたのは4歳の時だ。洗礼式は既に終わり、僕の名前はアースアシュリーだった。前世がアースヴェルギウスなので幼名はアースで一緒だったようだ。
伯爵家の長男で二つ下に弟がいる。記憶を思い出した理由は父親との剣の練習中に頭に一撃を貰ったせいだ。そこで脳震盪を起こし目覚めたら記憶を思い出していた。
4歳の子供にそれほど苛烈な教育を施す程この家は武に偏った家だ。
父親は国一番の剣豪で、南のアッサンブルク王国にありカウイルを信仰する国に隣接した領地だ。そのため、仕えている貴族全員が戦闘を得意とする者達だ。
3歳の洗礼式を終え、すぐに剣の練習が始まったほどに強烈な父親だが、どうやら今回はとても両親に愛されて育っているようだ。
伯爵家と言う高位貴族にもかかわらず母親は乳母に育てさせるのではなく、自ら育てている。父親も折を見てふれあいの時間を作り遊んでもくれる。
この生まれ変わりの人生で最も充実している時間だったのではないだろうか。
だが、記憶を思い出してしまってからは使命感のような物もあるし、なによりも力を付け生きていく必要性を感じていた。転生を繰り返していたが、そろそろ終わりと言うのがなんとなく解ったからだ。
とりあえず今の生活は武に寄りすぎている。前世の知識によるとあまり小さいうちに体を酷使すると成長が阻害されると言われていたような気がする。でもきっと父親も同じように育ったのだろうが身長は170を超えて部下と比べても低い方では無い。
言っても聞いてくれなさそうな気がする。
アウロスが言っていたな、貴族を制するには貴族をもってと。とりあえず母親に頼んでみよう。
「母上、どうも父上の指導は熱が入りすぎる気がするのです。
剣技は剣技が強い父上ではなく同じような年代の子供を教えた経験のある師範に教えて貰いたいです。
それと剣だけでは強くなれません。魔法も覚えたいし勉強もしたいのです」
「そうよね、頭を強くうったと聞きわたくしもそうしようと思っていたのです。
強くなるのはもう少し大きくなってからで良いのです。
母が交渉しましょう。
あなたはもうしばらく眠りなさい」
…
母上からの説得で僕の生活は体力面では少し楽になった。だが勉強の時間が一気に増えたので少し大変だ。母上は勉学重視だったらしい。
国の状況を先生に質問したところ、レオンヴァッカロー様はこの国に3年間滞在し新しい農業を伝えて国に戻られたそうだ。
レオンヴァッカロー様の教えを聞き実践している者がこの領地にもいるというので面会の依頼を出し話をさせて貰う事にした。




