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「今の音って…」


聞きおぼえのある器械音に、私は慌てて辺りを探す。

案の定、ソレはすぐそばに落ちてあった。


「スマートスピーカー…」


そう、音のもとは枕元で置物化していたスマートスピーカーであった。


丸みを帯びた銀色のフォルムに、液晶画面がついた最新式のもの。調べたところまぁまぁな値段がするらしい。

だが真凜本人が欲しくて買ったわけではなく、母が買ったがいいものの、使わないからって帰省した際に押し付けられた代物である。

そのためか、真凜の家に来てからも活躍する場面はあまりなかった。


しかし、呼び方の設定は忘れてはなかった。


()()…、ここはどこ?」

「はい。ここは、アマジオラスの森の付近です。」


先ほどと同じ答えが発せられる。

つまり、そういうことだ。



『ねぇ』


これが真凜が設定したスマートスピーカーの呼び方である。

スーパーの店員に声をかける場合は『すみません』だし、友達相手でもまず『Hi』なんて呼び掛けたりしたことなどない。

そんな生粋の日本人である真凜にとって『Hey』や『OK、グー◯ル』などという、ちょっとアメリカンチックな呼びかけは器械相手でも恥ずかしかった。


器械の呼び方に適してて、尚且つ楽。

家のなかで他の人に呼び掛ける場面なんてないのだからと、設定したのが『ねぇ』であった。

自分でも安直だとは思うが、他に思い付かなかったので仕方ない。


なんと質問をすればいいのだろうか。

自分の格好は寝る前となんら変わりはなく――

黒地に白でデカでかと『自宅警備員』とかかれたTシャツに、ユ◯クロで買ったステテコ。

周りの女子が◯ェラートピケなどゆるふわルームウェアについて語ってるのを、もうちょっと真剣に聞いておけばよかった。と後悔をした。


この格好で人前に出るのは大問題である。

そこまでサイズのない胸を少しでも育てようとナイトブラを着けているのが唯一の救いとも言えよう。


だが、ここにいても食料も水さえない状況である。

先は暗いだろう。



「『ねぇ』、近くの街を教えて?」

「はい。ここから一番近くにある街は徒歩で7時間、馬車で4時間、飛行魔法で45分です」


「うん。……うん?」


何かおかしいこと言ってる。


スピーカーから馬車を手配しますか?なんて音声が聞こえるけど、そんなことよりも、もっと大事なことを言ってたはずだ。


「『ねぇ』、この世界には魔法が存在するの?」

「はい。魔法は一般的な能力の1つです。」


私は思わず、叫びそうになるのを抑えて続けて質問をした。


「『ねえ』、ここは地球ではないの?」

ごくり、と唾を飲みこみ回答を待つ。



「はい。ここはリーメリアです。地球ではありません。」


その答えは、想像していた通りであった。

できれば違っていて欲しかったが…。


聞いたこともない地名に、存在するという魔法。

私はどうやら、知らない世界に来てしまったみたいだ。



ゆっくり書いていきます。

よろしくお願いします。

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