4[堕ちた夢]
めるたちはどうなるのか?
次の日学校。
キーンコーンカーンコーン
「昨日愛琉が凄かったんだぜ。」
三月がいきなり語りだした。
「後半引き分けで、PKかと思った瞬間に、シュート決めてそれで試合終了、愛琉次も頼むぞ♪」
「お前が点決めろし。」
心ではそう思ったが、言わなかった。
試合当日。二回戦、対FCブレイド。
「前回と同じフォーメーションで行く。」
「はい。」
この試合も勝つ。
「絶対勝つぞ。」
「おー。」
相手ボールからのキックオフ。
ピーッ
「前から行け!」
龍矢がボールをカットし、一気にゴール前。
「打て、龍矢!」
龍矢のシュートはゴールに吸い込まれた。
ピーッ
簡単に入った・・・。
その後も、立て続けにゴールを決め、4-0でハーフタイム。
「なんか、相手弱くね?」
と、朋樹が言った。
「分からねーぞ、ここから巻き返してくる可能性も。」
と、三月言った。
ピーッ
後半も状況が変わらず、左サイドバックの泰樹さえも点を決めた。
ピッピッピーッ
10-0。
なんだこの試合は、こんな試合もあるのだなと思った。
帰りの電車。
「なんかつまらなかったっていうか楽しかったっていうか?」
と泰樹が言った。
「息抜きにはなったんじゃね。」
俺が言った。
準決勝当日。対練馬ヶ丘FC。
太陽のチームだ。
「絶対お勝つぞ!」
「おー!」
今回もスタメンは変わらず。
ピーッ
相手ボールからのスタート、やはり格が違うのか、ボールが奪えない。三月が太陽にかわされ、ミドルシュート打たれたが俺の主シュートブロック。
セカンドボールを拾われたが、源一がクリアした。
「危なかった。」
俺がそういうと、太陽が寄ってきて言った。
「お前らの力はまだまだそんなもんじゃないだろ。」
くそっ。
相手のスローイン、ボールが取れず猛攻撃を受けた。
左サイドを突破され、泰樹がディフェンスに行った。その瞬間。
「うわぁぁ。」
泰樹の叫び声がグラウンドに響き渡った。
「泰樹!」
ピッ
相手の選手にイエローカードが出た。
相手とせった時に足首を踏まれたらしい。
「泰樹、大丈夫か⁉」
泰樹は担架に乗せられ救急車で運ばれた。
「大地、行くぞ。」
監督が言った。
大地が後退した直後、前半が終了した。
「くそっ、強すぎる。」
三月苦しそうな表情をして言った。
ピーッ
後半開始。
やはり相手のレベルは高く、全く隙を見せなかった。
そのまま、終了も際。相手にフリーキックを与えてしまった。
相手のシュートはゴール隅に、これを、神崎がファインセーブ。自分の前にボールが転がってきて、これしかないと思った。
「行くぞー!」
俺は思いきりボールを前に飛ばした。
そこには、龍矢が待っていた。相手が最後のチャンスにディフェンスラインを上げていたため、うまく裏を取れた。
「龍矢行けー!」
龍矢が独走し、シュートを放った。
「くらえっ。」
ボールはゴールに一直線、キーパーが反応できないままゴールに突き刺さった。
「よっしゃー!」
勝った次は決勝。太陽が近づいてきた。
「負けたよ、優勝しろよ。」
「おう。」
嬉しさを抑えきれないまま、俺達はグラウンドを後にした。
次の日学校。
泰樹はどうやら骨折だったようだ。
「大地、俺の分頼むぞ。」
「次は、決勝泰樹のためにももう勝つしかないっしょ。」
決勝。対泉鬼SC
泰樹が怪我のため、左サイドは大地が先発だった。
「絶対勝つぞ。」
「おー。」
マイボールからキックオフ。
ピーッ
一回下げ、右サイドの相川に振った。相川が右サイドを突破し、中にボールを送った。
中がボールを取れず、逆サイドに流れたところを朋樹がダイレクトでシュートを打った。キーパー正面で、キャッチされた。
「切り替え!」
俺が叫んだ。早めにとることを重視しラインを前めに保っていたことで裏を取られてしまった。やばいと思ったが、あの時と同じように足が軽やかに動いていた。あっという間に相手に追いつき、ボールを奪った。
「行くぞ。」
前にボールを送った。三月がトラップし強硬突破を図るが、ことごとく止められてしまった。
朋樹の素早いカバーでボールを奪い、龍矢にパス。
「くっ。」
ボールがカットされまたカウンター。源一のクリアで前半終了。
「点が取れない、ディフェンス陣が強い。」
後半開始、ディフェンスラインを上げてカウンターをン狙った。
やはり相手に取られ、それをしのぐのがやっとである。
「これ以上持たない。」
ピッピッピーッ
「PK⁉」
誰かが叫んだ。
「嘘だろ。」
朋樹が言った。これが現実だとわかっていながら。
「PKは、源一・朋樹・三月・愛琉・龍矢・大地・神崎、この順番だ。」
「はいっ。」
[富士見台SC ○○○
FC泉鬼 ○○○]
と来て、自分の順番。これを決め相手が外したら優勝。
よし‼
「はぁ!」
放ったボールはゴールの右上の隅に、しかし入ったと思われたそのボールはバーに当たって跳ね返ってきた。
目の前が歪んで見えた。神崎に任せるしかない。
「すまない。」
皆の所へ戻り謝った。
「しょうがない、次決めてやる。」
源一がそう言ってくれて少し気持ちが軽くなったような気がした。
頼む神崎、心の中で祈り続けた。
「うりゃ。」
相手の放ったボールは右側に、神崎は左に飛び完全に逆を取られたが、うまく体を切り返した。
「止める‼」
しかしボールには手が届かず。更に勢いよく飛びすぎ、頭をポストにぶつけてしまい神崎は気を失った。
ピーポーピーポー
次の日監督が言った。
「神崎はかなりの重傷だということだ、そして、チームを抜けると言っていた。」
俺のせいだ、俺のせいで、神崎はあんなことに、俺があそこで決めていれば
「くそぉぉぉー!」
俺は監督に神崎が入院している病院を聞きダッシュで向かった。神崎は面会拒否だと言い、顔を合わせることすらできなかった。
心に大きな鎖を巻きつけたまま、俺は小学校を卒業した。卒業式に神崎は来なかった。
第二期に期待してください。