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71エピローグ

 三保半島での戦いの後

 PM9:18

 修善寺郊外 中伊豆ロイヤルシャトー


 夜のブドウ畑をデロリアンが突っ走る。運転するのは渡部だ。

 ホテル駐車場に着くと、ワイナリー前に立っていた、小学生くらいの小さい女の子が乗ってきた。

 ドアを開けると、座席にちょこんと座った。

 「車を間違えるなよ。ママの元に帰りな」

 「だって、とってもカッコ良かったんだもん」

 「違いない。閉めてくれ」

 最後の一言の後、女の子は車のガルウィング・ドアを下ろすと豹変した。

 「仲間にできなかったみたいね」

 「申し訳ありません」

 「まあ、いいわ。計算の内だから。

  それで、その魔導書の効果は如何かしら?」

 「なかなかのもので。これならば“学長”の期待に添えるかと」

 「先程、連絡が入ったわ。オコナーが自爆したそうよ」

 渡部は下を向く。

 「恩師を失った気持ちは察するわ」

 そう言って、一枚の紙を渡す。

 「少し早い、クリスマスプレゼントよ。“学長”からの“出張命令”」

 渡部はそれを見ると、笑みを浮かべる。

 「成程、私の頭脳が必要だと・・・こいつは面白い」

 「オマケに、ワインが飲み放題」

 「違いない。この国じゃあ、ロクなワインが飲めやしないから」

 「仕方ないわ。不味いボジョレーを毎年馬鹿みたいに浴びまくる人種よ。日本人なんて。

  でも意外だわ、てっきり焼酎の口かと思ったけど」

 「俺には辛すぎる」

 「出発は明日午後4時、成田発の中華桃源航空342便で仁川まで飛んで、トランジットよ。

  そこから先は、空港に待機している仲間に聞いて」

 女の子は航空券を渡すと、デロリアンを降りた。

 「それから、カオス・プリンセス。アンタの目には、どう映った?」

 「魅力的・・・ですかね。その立ち振る舞いも、能力も。

  “理事長”は、4人のうちの1人の家族手にかけたって、本当ですか?」

 「もう昔の話よ。忘れたわ。

  他には?」

 「あの大介が匂いますわ。5人目の脅威にならなければいいが」

 「そう・・・今度こそ任務を」

 「分かってますって、では」

 女の子は扉を閉めると、デロリアンを見送りホテルへ戻った。

 部屋に入りベッドに寝転ぶと、何かを思い出したのか、声を殺して笑い始めた。

 「また、気持ちいいことしようね。エリス」

 笑みを浮かべた口元から、鋭く尖った犬歯を見せながら。


 

   to be continue

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