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 PM4:46

 静岡県 伊豆の国市

 伊豆長岡温泉

 

 伊豆半島北部にある伊豆の国市。

 江戸時代に作られた日本唯一の実用反射炉である韮山反射炉があるのが、この街である。

 その山間部にあるのが伊豆長岡温泉。

 明治時代から続き、高度経済成長期には歓楽街的温泉街として栄えた。

 現在も30数件のホテル、旅館が立ち並び、春には周辺でイチゴ狩りが盛んにおこなわれる。

 現場は葛城山頂上にあるパノラマパークとふもとを結ぶロープウェイ駅の駐車場。

 愛車のオープンカーの傍で刺殺されているのが発見された。

 遺体の傍には、やはり仏具とミニカー。

 3人が現場に到着すると、遺体は収容され、その場所はマーキングされていた。

 近くの地面には血が飛び散っている。

 現場を指揮する、静岡県警の市川茶太郎いちかわちゃたろう警部が現れ、あやめに挨拶する。 

 「君が姉ケ崎君、亜門君にエリス君だね?

  話は深津から聞いている」

 「じゃあ、警部は」

 「深津の元上司だよ」

 「そうだったんですか。

  それで、状況は?」

 あやめは白い手袋をはめながら聞く。

 「腹部を3か所刺されていて、出血多量。

  現場からは、凶器とみられるナイフが2本発見されている」

 「となると、犯人は複数?」

 「だがなぁ、たかが1人に複数で行くかね」

 エリスが、言う。

 「彼に恨みを持つ人物の犯行では?

  熱狂的なファンやフーリガンのような人物が、サッカー選手である彼を狙って犯行に及んだ」

 「それは無いな。

  彼が所属しているチームを調べたが、国木田が所属してから現在まで、試合によりトラブルは確認できない。

  個人的な恨みの可能性も捨てきれない。

  現在、鋭意捜査中だ」

 「第一発見者は?」

 「倉田悠生(くらたゆうき)、21歳。

  湯煙国際観光ホールディングス社長の一人息子だよ」

 「そんなに大きな会社なんですか?」

 エリスは聞く

 「伊豆の観光業の3分の1を牛耳っている。

  ホテル、バス、タクシー、レストラン、ゴルフ場、レジャー施設と手広く商売をしているし、各方面に多額の寄付をしている。

  社長の倉田真利(くらたまさよし)は観光推進委員会もしていて、新しいレジャー施設の建設とアニメによる観光促進プロジェクトにゴーサインを出したのも彼だ」

 「つまり、町の名士の子息が、殺人事件に巻き込まれた、と?」と大介。

 「倉田真利は、政界にも顔が利く。

  面倒なこったぁ」

 市川は頭を掻く。

 「エリス」

 不意にあやめが、彼女の名前を呼ぶ。

 あやめは国木田の愛車の側にしゃがんでいる。

 「どうしたの?」

 「これ」

 指差しした場所には、車体に付着した泥。

 真新しい。

 「凄い妖気を感じるわ」

 「どうして、ここだけ?

  まさか、妖怪でも跳ねたのかしら?」

 「車に損壊部分が無いわ。

  それに、ピカピカに磨かれた車体。

  泥はココ、被害者が倒れていた近くのみにしかないから、走行中に付いたとは考えにくい」

 「だとすれば、これは、被害者を殺害した犯人の?」

 「でしょうね。

  泥が関係するラッシュって・・・」

 その時、2人は同時に、ある結論にたどり着いた。

 「まさか?」

 「有り得るわよ、エリス。

  だってアレは、まだ行方不明のままよ」

 「悪用されたとなると・・・」

 「兎に角、早く捕まえないとね。

  アレが使えるということは、高い能力を持っていることを意味するわ。

  明日は戦争ね」 

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