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 PM1:16

 名神高速 草津JCT


 シングルランプを屋根にのせ、路肩の緊急者通行帯を飛ばし、何とかここまで到達した。

 ここから新名神へと入る。

 比較的真っ直ぐに敷かれた、新しい高速道路。

 車の少ないこの道を、さらに飛ばす。

 あやめの運転はとても上手く、後部に座っている大介は感心していた。

 新しい情報が入り、堀井の三島の仕事を終え、現在は名古屋市にいるとのこと。

 そして、JRは、列車を品川へ移動させず、大宮で引き続き留めておくことを決めた。

 3人は名古屋へ向かうことを決めた。

 

 PM2:46

 愛知県名古屋市 JR名古屋駅前


 中部地区の中心都市 名古屋。

 世界一高層な駅ビルであるセントラルタワーが、ターミナル駅のシンボルだ。

 その足元で、3人は堀井初を待った。

 しばらくすると、茶髪の女性が近づいてきた。

 「あなたが、姉ケ崎さん?」

 「そうですが。

  堀井初さんですね?」

 彼女は頷いた。

 話を聞くため、駅近くの喫茶店に場所を移した。

 彼女は、里菜が脅迫されていることを知らなかった。

 「それだけではありません。

  明日のイベントも狙われているんです」

 「そんなっ!」

 「警察は、全力で犯人を探しています」

 「どうして・・・。

  里菜はどうして、その事を黙っていたのかしら?」

 「それを調べています。

  堀井さん、以前あなたは、雲雀塾の塾生時代に、里菜さんとトラブルがあったと聞きましたが」

 あやめが聞くと、堀井は答えた。

 「確かに、一度だけトラブルはありました。

  でも、それは過去のコト。

  今は、気にしていません。

  現に、こうやって一緒にお仕事をさせてもらってますし」

 「着付け、それも左前に着物を合わせた事が原因と聞きましたが」

 「その通りです。

  恥ずかしいんですが、それまで、着物の左前とか全く無知だったんです。

  だから、驚いたんです。

  突然頬をはたかれて、口論になって・・・勿論、後で謝りに来ましたが」

 「その時、何か言っていませんでしたか?

  なぜ、そうしてしまったか」

 堀井はコーヒーを一口含み、答えた。

 「私も、正直分からないの。

  どうしてか聞いたら、話せないって。

  その代わり、こう言ってたわ。

  “私は、生きた人間を葬ってしまった。

   その罪は、消えることはない”って」

 「生きた人間を葬る?」

 「まさか、彼女が殺人を犯したとも考えましたが、そういう感じではありませんでした。

  他の機会に聞こうとも思ったんですが、どうも忍びなくて・・・。

  もしかして、それが理由ですか」

 3人は答えられなかった。

 その時、あやめのケータイが鳴る。

 隼からだった。

 「失礼」

 あやめは席を立ち、電話に出る。

 「もしもし」

 ―――今、名古屋か?

 「そうよ」

 ―――よく聞くんだ。

    また犠牲者が出た。

 「何ですって?」

 ―――場所は伊豆の国市の伊豆長岡温泉。

    殺されたのは国木田隆くにきだ たかし

    Jリーグのサッカー選手だ。

 「しかし、どうして?」

 ―――彼も、踊子高校の出身だ。

    どうやら、この事件に関わっている卒業生たちと小さな同窓会を開いていたらしい。

    すぐに向かってくれ。

 「と、言われても、ここからじゃ2時間はかかりますよ」

 ―――そう言うだろうと思ったよ。

    県営名古屋空港に“れいせん”を送った。

    明日のイベントでは上空からの警護に充てられる。

    生憎、“ささごい”はオーバホール中だからな。

    それなら、1時間で到着できるだろう。

 「了解、助かったわ」

 ―――それと、明日のイベントの警備に君たちも就いてもらうことになった。

    列車に同乗し、彼女を警護してくれ。

 あやめは通話を終えると、状況を大介とエリスに話した。

 堀江と別れ、3人は車で県営名古屋空港へ。

 サイレンを鳴らして飛ばし、20分で到着。

 もう、それは待機していた。

 2つのプロペラを持ち、銀色の機体に青のストライプ。

 トクハンが所有する2つ目のヘリコプター。

 大型汎用輸送ヘリ CH-47T改 “れいせん”。

 後部ハッチから車ごとキャビンへ乗りこむと、ヘリは離陸。

 操縦するのは、トクハン所属のエンジンクルー。

 乗り心地はまずまずだが、1時間の我慢だ。

 あっという間だった。

 ヘリは1時間弱で静岡県伊豆の国市にある韮山にらやま運動公園グラウンドに着陸。

 Z33を降ろすと、ヘリは東京方面へと飛び立った。

 飛び去るヘリを見送り、3人は車へ。

 その時

 「!!」

 エリスが気配に気付き振り返った。

 が、誰もいない。

 「どうした、エリス?」

 「・・・いいえ、なんでもないわ」

 そう言うと、エリスは車に乗り込み、出発した。

 田園地帯を、走り去る。

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