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後日

ピピピピピ・・・と何度目になるかわからないアラームが携帯から鳴る。

それを布団にくるまった私が手を伸ばして携帯を掴み、アラームの停止操作をする。

やっと止まったアラームにまた私の瞼は二度寝をしようとするが、

「早く起きなさーい。遅刻するわよ」

という母の声が邪魔して二度寝はできなかった。

しかたなくもぞもぞと布団から起きだした。

眠気的な意味じゃなくて別の意味で瞼が重かった。

洗面台に立てば案の定目が腫れてた。

げっと思う裏でまた泣いたのかと呆れる自分がいた。

別れたあの日、遅く帰ってきた私に母は、何も言わなかった。

元々いい顔はしてなかったから喜びの言葉の一つや二つ言うんじゃないかと思ったけど、予想は斜め上に裏切られて、私とは言えばそれを少しほっとした気持ちでとらえていた。

次の日学校で私は開き直った気持ちで別れましたーと友達に伝えた。

友達は皆口を揃えてなんで?と聞いてきた。

それに私は当たり障りなく対応していく。

学校を行って結局感じたことは、私が彼と別れようが別れまいが時間は進んでいくんだと逆に悲しくなった。

私の学校はテストが終われば成績が足りてれば学校にいかなくていい。

そうすれば私にとやかく聞いてくる煩い野次馬とおさらば。

今日だけ、我慢できればなんで別れたの?なんて煩わしい声は聞かなくていいと考えるだけで少し足が軽くなる。

着替えて私は鞄を持って玄関まで行く。

途中のリビングの母にいってきますと声をかけるといつものように眠そうな母が、

「いってらっしゃい」

らしい言葉をあくびをしながら言った。

それを聞いて私は玄関を飛び出す。

夏の朝日は朝日のくせに暑くて、私の肌はじっとりと汗ばんでた。


冷房のよく効いた教室にチャイムが鳴る。

テストは回収され、号令をかけられて先生は退出。

最後の教科ということもあり、教室はざわめき始める。

私は教室の外に出した荷物を取りに行く。

鞄と出した教科書類を持ち上げると、ぽんと肩に手を置かれる。

振り向けば、私の友人である木崎みかが私にぐったりを体現しながら私の肩に手を置いていた。

「どうしたん?」

と聞けば木崎は浮かなく笑い、

「さっきの生物、できた?」

と聞いてきた。

ちなみに生物は私の得意教科だ。

なので私は自信満々で、

「できた。そっちは?」

と聞けば木崎は悶絶しながら、

「うちはできんかったよぉぉおお・・・・」

落ち込み始める。

今回のテストは三年の1学期期末ということもあり、簡単だったはずなんだけど?

しかも、私より勉強してたよね?木崎。

「しかも、問7の二番やったのにできんかったし・・・」

「あれ、不完全優性、でしょ?」

「マジで!?最初に書いたけど間違ってると思って消した・・・・」

更に落ち込み始める木崎を見る。

相も変わらずわかりやすくて見てて飽きないやつだなって思いながら、いらない教科書をロッカーに放り込む。

木崎はため息をついて、

「補習だったらともくんにお仕置きされるわ・・・」

と惚気にも似たことを言う。

ちなみにともくん、もとい、智弘くんは木崎の彼氏だ。

私はにやにやと

「いいんじゃない?されるのうれしいんでしょ?」

と言えば木崎は決まって、

「う、うれしくないっ!」

と慌てて言うので、

「照れ隠しはいいよ、き、さ、き。」

からかうのはいつものことだ。

木崎はからかいやすく、木崎をからかうのは私の生きがいだと思う。

ひとしきりからかいまくって、そろそろかわいそうになってきたころに、

「まぁ、それはどうでいいけど、今日ご飯いかん?テスト終わったし」

と誘ってみた。

そういえば、テスト中だからと遊んだりするのは控えていたような気がする。

木崎は目を輝かして、行く!と一つ返事だった。


お決まりのファミリーレストランにお決まりのランチを注文して向かいあう私たち。

口火を切ったのは木崎だった。

「最近どう?」

「なにが?」

「別れたやん、たっつんと」

たっつんとは彼のことだ。

私は目を伏せ言った。

「悩んだし、未練はあるけど、あんな状態であれ以上いることに私が耐えられなかったから・・・」

木崎はふーんと相槌を打った。

「後悔は、してないんだ」

「まぁ、心がついてかないだけで理性的には別れた方がいいっておもってたしね」

「そうなんだ。よかったやん、やっと踏み切れたんでしょ?」

と言われて、私はまぁねと答えた。

すると、頼んだものが来た。

いただきますといってお互い頼んだものに手を付ける。

すると、木崎が突然私に聞く。

「そういえば、夏休みとかどうすんの?」

「え?」

私は突然の問いに考える。

そういえば夏休みの予定は彼と過ごすというものだったから、別れた今となっては予定はがら空きだった。

「予定とかは?」

「ないわ。彼とはわかれたしねー」

私は頼んだパスタを一口、口に入れる。

木崎はあり得ないという顔をして、

「かわいそうに!」

といった。

「聞いただけかい」

とつっこめば、悪いかという風なドヤ顔でこっちをみてくる。

私は、深く追求しないけど、腫物を扱うような扱いをしないこの友人とすごすこの時間をかけがえのないものだと密かに感じていた。


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