表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

テンプレ異世界トリップ?

作者: THE料理人

僕の両親は幼いころに別れてしまい、長男の僕は剣術の道場を開いている祖父の下で育った。

祖父はいつもは優しいが修行の時は厳しい人で、1日に素振りを五千回とか山の上にある道場までの石階段を百往復などといった地獄の修行をさせられた。

そんな修行に耐え続けた結果、数年前からは負けなしになっていた。

そんなある日、数年ぶりに別れた妹に会えることになった。

妹は生まれた時から僕が過保護と言われるほどかわいがっていて、別れが決まったときの妹の悲しそうな顔は今でも目に焼き付いている。


「元気にしてたかな、千代は。」


と独り言を呟いていると声をかけられた。


「あんたまた妹のこと考えてるの?」こいつの名前は桜子、祖父の道場に女ながら通っている変わり者で僕の幼馴染みだ。なんでも家は結構な名家で、こいつのじいちゃんとうちの祖父は親友だったらしい。ちなみに怒ると死ぬほど怖く、その時だけは僕も祖父も敵わない。


「お前には関係ないだろう」


「なっ、関係ないってどういうことよ!?」


「落ち着け、周りに地がばれるぞ?」


「っ」


急に周りをそわそわ見回し始める。


「いい加減猫被るのやめたら?」


「うるさいっ、大体あんたの前意外でこんな風にしゃべらないわよ。」


と真っ赤にして怒鳴り散らされた。昔から僕の前だけ言葉使いや態度が乱暴だった。


(黙ってれば美人なんだけどがなー)


「それより、妹があんたんとこにくるの今日なの?」

「そうだけど、誰に聞いたの?」


「あんたを見てればわかるわよ、ここ最近浮わついてたけど今日は特にひどかったしね。」


確かに最近はいつもより稽古に真剣に取り組めなかった気がする。


「よくみてるね。」


「なっ、誰がよっ、きゃっ」


慌てた様子で石階段を降りようとしたとき桜子が足を踏み外してしまった。そのままでは長い石階段を転げ落ちてしまうだろう。


「桜子っ」


急いで手を引っ張り体を入れ替える。そこで気づいた

(これは、不味いな・・・)


この高さから落ちたらまず助かるまい。時間がゆっくりと流れ過去の出来事が走馬灯のようにながれだす。


「始っ!」


桜子の悲鳴が聞こえる、無事なようで何よりだ


(ごめんな千代、もう一度会いたかったよ)


心の中で妹に謝罪をする。きっと散々泣き散らすだろう。


そして、意識が途切れた






気がつくと、僕は森の中にいた。


(僕は生きてるのか・・・?)


起きて体を調べる、どこにもけがはしていないようだ。


(あれは夢か?てかここはどこだ?)


見慣れない風景だ、よくみれば草木の種類も全く知らないものだし・・・と考えながら森を抜けると突然悲鳴が聞こえた。

急いでそちらを見ると人ほどもある大きさの犬のような化け物数匹に馬車が襲われていた。

馬や御者が事切れていて残すはおかしな髪をした少女一人だった。




(助けないと)


そう考えたときには体がうごいていた。

辺りに転がっている石を拾い、化け犬に向け投げつける。

当たりはしなかったがこちらに気を向けてくれた。

そのまま駆け寄り、御者のもっていた刀をひろい化け犬に斬りかかった。







(なんとかなったか・・・)

使い慣れない刀や見たこともない獣相手だったがなんとかなったようだ。

化け犬も二匹目を倒した後には敵わないと思ったのか逃げていった。


息を整えて少女の方をむく泣きながら飛び込んできた。

「もう大丈夫だよ」


そういって頭を撫でてあげる、すると顔をあげてこちらを見た。


(かわいい、けどどうなっているんだ?)


少女の髪や格好はみたこともないものだ、話しかけているのだが言葉が通じない。

もう一度周りを見渡す。死んだ御者も少女と同じく奇抜な格好をしているし、馬だと思っていたものも多少形立ちが違う。使っていた刀もまるで見たことがない。


(なにがどうなっているんだ・・・)




こうして、僕はこの世界へとやってきた。










「面白い作り話だな」










隣に座る同僚の騎士のザールが笑って話しかける。


「だから言ったんだ、どうせ信じないって、、、」


「そんなこと言わずに本当のこと教えろよ、明日にはニホン?だかにかえっちまうんだろ?」


僕はどうやら異世界などではなく西欧の一つの国に飛ばされたらしかった。

こちらでは馬は多少形が違うし刀はサーベル?とかいうものらしい。犬も様々な種類がいるようだ。


「だから本当だ、こっちにきた時は異世界にでも飛ばされたかとおもったぞ。南蛮の人間なんて見たこともないし日本とは違いすぎる。」


「どうしてこんなホラ吹きを姫様は・・・」










そういえばあの少女は姫様だったらしく日本に帰るための旅費や旅の商人を紹介してくれて中国まで連れていってくれるそうだ。


「ずっとこっちにいたらどうだ?いまやお前はこの国で最強の騎士だ。姫様も喜ぶぞ。」


日本に帰れるとわかるまではしばらくは騎士として働いていた。何度か戦争に参加したし騎士達の武闘会では優勝を果たすことができた。


「妹が待っているだろうからな。世話になった。」


そう言って酒場を後にする。日本に帰ったら妹や祖父、幼馴染みにどういわれるだろうか。本当のことを言っても信じてもらえないだろう。いっそ帰ることの出来ない異世界にでも飛ばされたほうが良かったか・・・

まあ日本までは長い旅になるしその間に言い訳を考えるとしよう。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ