露の季節1
ざぁぁぁ~~~~
季節は六月に入りこの村にも露が訪れ、雨の日が続いていた。
農作業ができないため休日となり、琳子は居間で縫い物をし、イッシャは縁側で足をぶら下げ、雨雲を見上げ雨を楽しそうに眺めていた。
………………
「暇だ~~~~~!」
「どうしたの陸君?!」
ここ数日間休日が続きあまりの退屈さに居間でただ座っていた僕は、思わず絶叫してしまう。
その叫び声を聞いた琳子が驚いて近寄ってくる。
「驚かせてごめん、いや~普段なら学校に行っていたからこう休日が続くと暇でね」
「学校?」
「うん、みんなで集まって色んなことを学んだりする場所だよ」
「へぇ~、面白そう~」
琳子が僕の隣に座り、興味深そうに話を聞く。
「陸お兄ちゃん暇ならイッシャと遊んで!」
イッシャが縁側から駆け寄ってきて僕の前にちょこんと座る。
「うん、いいよイッシャ」
期待のまなざしで、尻尾を振って見上げるイッシャの頼みを断る理由もなく僕は承諾をする。
「それじゃこっち~!」
イッシャが僕の手を引っ張り家の入り口である土間へと向かう。
二人で土間にしゃがみこみ、イッシャが指で土をほじくり地面に窪みを作る。
そして二十個近い青色や色模様や不透明のおはじきを地面へとばらまく。
「へ~、これがおはじきか、どうやって遊ぶの?」
「うん! 今作った窪みにね交互におはじきを指ではじいていれるの!」
「青色のが五点! 色模様のが十点! 白や銀色のが二十点でうまく窪みに入ったらその人の点数になるの!」
「へぇ~、よ~し、負けないぞ!」
「それじゃイッシャからいくよ~、えいっ♪」
――昼食を終え正午過ぎ、今だ雨は止まず降り続いていた。
「それじゃ陸君、今度は私と遊ぼうよ♪」
「うん、いいよ」
そう言い琳子が押入れから将棋盤を取り出し、居間の畳の上へと置く。
「へぇ~将棋か、よしこれなら負けないぞ!」
少しかやった事があり、負けるまいとやる気を出す。ちなみにさっきのおはじきはイッシャにボロ負けしたのである。
「それじゃ私から行くよっ」
――そして、0勝10敗……。
「降参です……」
「陸お兄ちゃんよわ~い」
「ふふ、また勝っちゃった♪」
「琳子は将棋が得意なんだね」
「うん、ずっとやっているからね」
「それに私よりイッシャの方が強いんだよ」
「へ~、イッシャはどの遊びも得意なのか」
「うん!」
「それじゃそろそろ夕飯の支度しようか♪」
「うん!」
「は~い!」
今だ降りしきる雨の中、夕飯の支度にかかるため僕たちは土間へと向かう。こうしてこの村での露の一日は過ぎて行った――――。