15:溢す仮面
*フィクションです
『知ったかぶりは罪だ。』と、それだけ。
あまりの短さに、流石に少し思案した。
「もっと、食いついた方がいいのかもしれませんね」
「食いつく?」
そうやって次は、火流の弟のアカウントを開いてコメントを打った。
『編集下手すぎない?めっちゃ素人ww』
二人はまた数分、待機する。
『色んな価値観がある世の中で、貴方のような意見もしっかり受け止めようと思うぞ。感謝する。』
『返信してくれるとは思ってなくて、すいませんでした。じぶんも動画投稿してるんで、ついそう思っちゃったんです』
『謝罪しなくてよい。始めてどれくらい経つのだ』
「今回は、すごく、いっぱい喋ってくれるね」
火流は画面を見ながら、目を白黒させて言った。
「えぇ。……ここまでフレンドリーだとは」
「いいこと、だよね?」
「言うまでもないです」
また林枯は返信をし始めた。
『二年っす。釣りの動画。興味ありますか?』
『我は釣りに興味はない。だが、動画が伸びていないのなら可哀想だ』
(可哀想……か)
簡単に言えば、上から目線。
しかしその単語の中に、ほんのりとした慈しみがあるように感じられた。
『もしかして、ベテランだったりするんすか?』
『五年以上になる。応援している(俺はゲーム系です。応援してます)』
____ゲーム系。
林枯は口を半開きのまま、瞼を上げては下げてをゆっくりと繰り返した。
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その後試行錯誤していると、捜専のオフィスを出発してから計二時間ほど経った。
「なーにしてんです」と電話で瀬古から急かされると、状況は中途半端なまま、二人は切り上げることにした。
「でも、ここからどうする気?」
林枯は少し考え込み、「あとは、どうにかします」と目を瞑って俯いたまま答えた。
「……。そっか」
酒蔵に例のお土産の饅頭を渡すと、反応は良かった。
「ありがと〜」と酒蔵は手を伸ばしてきて、林枯は避けられずに丸っこい頭を存分に撫でられてしまった。




