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俺と、親友と、その妹がとんでもない!  作者: 神空うたう


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6/6

オマケ・その後、俺の婚約者がひたすら可愛い件

 こちらは『俺と、親友と、その妹がとんでもない!』本編後のオマケの話です。


 このお話だけでも読めますが、ここに至るまでの本編を読んでからだとよりニヤニヤできますよ。

 ……そして、オマケ後に本編を読み直してみるのもまた一興では?



「ロウトウェルー!我が義弟ー!もうロウトウェルしか頼れないんだ、助けてよ!」


「正式に『義弟』にはなってない!……なんだ、アレイゼン」


 俺は『婚約者』ゼレミレアの兄、かつ、幼い頃からの親友であるアレイゼンを見た。


「……アレイゼンで、いいんだよな?」


 以前、とんでもない事になって以来、俺は警戒している。ただ、あの時のような事になったとしても、ゼレミレアがこのように俺に飛びついてくる事はない。

 ……あっても俺は別にかまわないが。


「僕以外に誰がいるっていうのさ、唯一無二な、君の親友かつお義兄ちゃまだよ」

「やめろ、調子に乗るな。……可愛い顔をしても駄目だ。お前、髭生えているぞ」

「嘘!?とうとう僕も、ダンディ路線に変更か……」


 図太い奴だ。髭が映えるようになっても、アレイゼンは一生可愛い系だろう。


「で?俺は何をどう助ければいい?」

「流石ロウトウェル!話がわかる!」

「聞き入れるまで、ごね続けるからだろうが」


 長年の付き合いで、そこはもう諦めている。『まあついて来てよ』と言われ、アレイゼンに続いてアレイゼンの屋敷を歩く。案内してもらわなくても、我が家並によく見知った屋敷なのに。

 ――が、向かう先に見当がつき、俺は落ち着かなくなる。



「ゼレミレアに、何かあったのか?」

「そう、大変なんだよ」



 魔術でまた何かやらかしたのか。気をつけるように言っておいたのに。

 いったいアイツは、誰の忠告なら聞き入れるのか。




「ぜひ見てやってよ、では、どうぞ!」


 ……アレイゼンからの何やらおかしな案内ののち、ゼレミレアの部屋こと『研究室』の扉が開かれた。そこにいたのは……



 にゃーん。



 そんな効果音が、空耳で聞こえた。


 せっかくの広い部屋は、古文書や乾燥させた薬草などが所狭しと置かれている。独特の薬くさい匂いが漂っていた。あいかわらず、貴族の令嬢の部屋とは思えない。


 その部屋の中心にはゼレミレア。


 何があったのか。問うまでもなかった。その頭には――最初は大きなリボンでもつけているのかと思ったが、インクのような深みのある闇色の髪と同じ、黒い毛並みの『ネコミミ』があった。


「……」

「なん……どう……どうした、これは」


 言葉に詰まる。

 基本的にはゼレミレアそのまま。『ネコミミ』と――どうもドレスの重い布に隠れているが、時折布がポコポコ動くので、尻尾も生えていそうだ。俺を見つめる瞳は、猫の目のように細められた瞳孔をしている。


「しゃべ……喋る事は、できるか?なんでこんな事になっている」


 部分部分がまるで猫のようだった。本来の耳がどうなっているのか、髪の下が気にはなるが――意思疎通ができない場合、大変困る。

 まして知能が猫並みとなると。……意思疎通ができないだけで、猫の知能がどの程度かはわからないが。なんにせよ、魔術なんて使えるのはゼレミレアだけなのだ。


「おい、ゼレミレア――」

「……いかがでしょうか」

「いかが、とは?」


 ゼレミレアは、瞳孔を大きくしたり細めたりと、少し落ち着きない。


「……殿方は、こういうのが好きと聞きましたから」


 は?


 意味がわからない、と言おうとしたら、入り口で俺の反応を見ていたらしいアレイゼンが、一足飛びに駆け込んできた。



「ねっ!?うちのミィが、可愛すぎて大変でしょう!?」



「お前か。アレイゼン、お前の入れ知恵か」


 そこに見える、魔法薬でも作る大鍋で、お前を煮込んでやろうか?


「……ロウトウェル様?」


 耳をぴるぴるさせながら、ゼレミレアが、俺の様子を窺っている。もっと喜ぶと思っていたのだろうか。


「そういうのを好む男もいるだろうが……俺は別に」

「えっ」

「こんなに可愛いのに!?ネコミミだよ、ネコミミ!しかも、ミィの!」


 ……『こういうのを好む男』が、こんな身近にいたのか。ともかく、俺はアレイゼンとは違う。


「でも、ロウトウェル様は猫が好きだと……」


 たしかに。おば様の愛猫、マシュマロちゃんが生んだ仔猫達の成長の様子については、足しげく通い、見守ってきた。マシュマロちゃんベイビー3号にいたっては、『おはぎ』と命名され、我が屋敷で俺達家族からの愛を受け、すくすく育っている。


「俺は、『可愛いもの』が好きなだけだ。もちろん猫も好きだ。……だが、『ネコミミ』に関してのこだわりはない」

「ああ……『可愛いもの』が……だから、お兄様の事も……」

「そうか、可愛いものねえ、僕はとりわけだもんなあ」

「アレイゼン、図々しいぞ、お前」


 ゼレミレアも、『だからお兄様の事も』ではない。……まあ、アレイゼンは悔しいけど可愛いが。


「そうでしたか……」


 ネコミミが、へにょっと力なく垂れてしまっている。せっかくの試みが空振りに終わってしょげているようだ。

 表情に落胆の色が若干みられるが、わかりづらい。対して、ネコミミの動きはわかりやすい。ネコミミの良さは俺にはわからないが、ゼレミレアの感情判断のためには、あると便利かもしれない。

 まあ、俺の『可愛さ』の範囲にネコミミはかすっていないが――

 俺は、少しゼレミレアに近寄り、耳元に口を寄せた。ネコミミだと、ちょうどいい高さだ。



「……俺のために、色々努力してくれたゼレミレアは、『可愛い』と思う」



「――!?」

「……アレイゼンに気づかれると面倒だ。できれば、騒がないでほしい」

「べ、別に騒ぐも何も……!」


 そうは言うが、ネコミミはピンと立ち上がり、瞳孔は大きく見開かれている。……わかりやすい。

 『ネコミミフェチ』という事にして、ずっとネコミミ姿でいてもらう方向にした方が、よかったかもしれない。


 ――まあ、いいか。

 俺がこうして観察を続けていけば、長年のわだかまりも解け――その……婚約者として、双方いい関係を築けるはずだ。そしてまあ……ゆくゆくは、いい夫婦にも。

 ……コホン。

 気恥ずかしくなり、空咳をする。




 その間に、ゼレミレアとアレイゼンは、ばあやに指示をして、お茶会の準備を始めている。……『研究室』で開かなくてもいいのではと思うが。紅茶などは別にかまわないのだが――

 茶菓子として、ゼレミレアが奥からさらに持った焼き菓子を出してきた。

 やけに素朴な感じの。


「べ、別に、この魔術成果はオマケです。今日の本題はこちらです」


 ネコミミ作戦が不発になってもいいように、二案、三案は練ってあったらしい。

 しかし……


「あれは、幼い子どもの不勉強が招いた、愚かな過ちでした。練習もしているので、大丈夫です」

「うん。僕も食べたから」


 そう言われても。

 俺は幼い頃、ゼレミレアの寄越した――実際は手作りであったという菓子を食べて、『毒を盛られた』と勘違いするほどの苦い思い出があるんだ。

 ゼレミレアに関する誤解は解けている。ゼレミレアが俺を害する事はないと理解もしている。それでも、手を伸ばすのは――


「大丈夫ですよ……?」

「わ、わかっている」


 見た目は普通。色はおかしくない。触った感じも、食品の感触だ。

 ちらとゼレミレアを見る。ネコミミが少し垂れていた。


 ――婚約者の作った焼き菓子ぐらい食べてやらずにどうする!

 ――さくり。


「食べられる……!」

「失礼では?」

「いや、違う、間違えた。うまい。美味しい」


 甘すぎないし。形は少しおぼつかないが、それもそのはず。口に入れるとほろりと崩れるようで、口当たりもいい。


「俺は、こういうものの方が、好みだ」


 正直、うちの母やおば様が出してくる菓子は甘すぎるのだ。見た目重視で変に硬いし。


「そうだろー?そこは僕のアドバイスが効いて――」

「うるさい。アレイゼン、お前はいい」


 そもそも、俺達に遠慮して、さっさと退室してほしいぐらいだ。ただの男女ならともかく、今の俺とゼレミレアは婚約者同士なのだし。二人でいてもおかしくない。むしろ、気をきかせて二人きりにするところだろうが。

 俺がアレイゼンを厄介な目で見ていると、ゼレミレアが『あっ』と、小さく声をあげた。


「どうした、ゼレミレア。お前もアレイゼンは邪魔か」

「ミィ!?お前までお兄ちゃまを!?」

「いえ、邪魔は邪魔ですが、そうではありません」


 ひどぉい、とアレイゼンの声が響いたが、ゼレミレアにはどうでもいい事らしい。


「おまじないを忘れていました」

「……おまじない?」


 嫌な予感がする。


「せっかく美味しいんだ。余計な事はしなくても」

「おまじないで、もっと美味しくできるのです」


 ろくな事になる気がしない。

 俺が食べる分以外におまじないなり魔術なりかけてくれ。しかし、無理のようだった。

 ……先にアレイゼンに食わせて、様子を見よう。悪意はなくても、泡を吹く可能性は捨てきれない。

 アレイゼンも何も聞かされていないようだ。何をするのかと、俺と一緒に見守っている。


 するとゼレミレアは両手を焼き菓子が盛られた皿の前にかざした。何やら指先を丸めて印でも結ぶようにあわせる。……異国のまじないだろうか。いったいどんな――



「……『もえ、もえ――きゅん!』……さあ、ロウトウェル様、これで――ロウトウェル様?」



 俺は、テーブルに顔を突っ伏していた。


「萌え死にか……ロウトウェルも本望だと思うよ……」

「えっ、ロウトウェル様!?」


 慣れてきた……

 慣れてきたと思っていたのに……ネコミミには全然ときめかなかったのに。

 ……駄目だ。可愛すぎる……!



 俺の婚約者、可愛すぎ……!




 もちろん、焼き菓子は食べた。全部食べた。

 アレイゼンに毒見させる必要なんて、あるわけがない。

 焼き菓子はさらに美味しくなっていたが――それは、ゼレミレアの主張する、『おまじないの効果』によるものではなかったと思う。




 『俺と、親友と、その妹がとんでもない!』のお話はこちらで以上となります。

 アレイゼンさんと共に、ほっこり生暖かく見守りたいようなロウトウェルさんとゼレミレアさんになりましたでしょうか。『読んだぜ!』と、最後の記念に一言や評価などいただければ嬉しいです!


 また、小説家になろう内で、『綺羅の琥珀』も連載中です。こちらもちょっと癖のある恋愛要素あり。2005年12月30日現在、物語は大きな山場を迎えつつあります。今からなら終盤一緒に盛り上がっていただけます。『綺羅の琥珀』 https://ncode.syosetu.com/n0090ln/ もぜひ、よろしくお願いします。


※ 完結まで執筆済!毎日更新できました! あなたを一人、孤独にはしませんでしたよね!?



 感想・評価・ブックマーク、あとなんかもう色々、お待ちしています!


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