厄災はベーコンと共に焼ける
初のオリジナル小説です。よろしくお願いします。
目を開けると知らない天井があった。フカフカのベッドに横たわっている。ここはリアクターの寝蔵である。石造りの廊下を渡った先には黄緑色の炎が明かりとして灯っている部屋にでた。
「おはようございます、カイリ君。良い夢は見れましたか?今日から修行が始まります。しかし腹が減ってはなんとやらと言います。まずは、朝ご飯を食べましょう。今日は合成鳥獣のタマゴスープと焼ベーコンです。温かい内に食べてください。」
大きな長いテーブルの端には、スライムのようにプルプルした卵の入っている幸せな匂いのするスープと、油が宝石のように輝いているカリッカリに焼かれたベーコンが置いてある。椅子に座ると同時にバケットが2本前に置かれた。
「お師匠、おはよう。朝食いただきます。」
バケットをちぎりスープに浸して食べる。めちゃくちゃ美味い。焼き立てのパン特有の小麦の甘みと、タマゴスープの優しい旨味が体中に染み渡る。ベーコンも舌で旨味が弾けるように美味い。
「食べてる途中で申し訳ないのですが、あなたにヤツのことを話しておきましょう。」
口の中に溜め込んでいるパンを流し込み、目を見開いた。
「あなたの村を襲ったヤツの名は『厄災』。天災級の化物です。厄災は神話の時代に生まれ、天の守護者でありながら空の支配者として崇められていました。時に恵みの雨を与え、時に怒りの嵐を与えて人間界の均衡を守っていました。」
「じゃ、じゃあ厄災は良い魔獣じゃないですか!!なんで村を滅ぼしたんです?!」
「少し落ち着いて下さい。確かに厄災は善性の魔獣です。ですが、300年前に事件は起こりました。当時、風魔法の有用性が世間に知れ渡り人々は空を飛べるようになりました。それからしばらくして、魔具による魔力未保持者でも飛行が可能になりました。しかし、それがいけなかった。誰でも空を飛べるようになった。つまり、誰でも厄災の領域を侵せるようになったのです。」
人類の進化は他種族より遥かに早い。早すぎたのだ。誰しも行き過ぎた力を持つと、自分は強大な存在だと勘違いし、自分より大きな存在に立ち向かう。
「それじゃあ、悪いのは人間じゃねぇか!!」
(じゃあなんで今さら…んでだよ!!今さらなんで村滅ぼしたんだよ。俺らが何したって言うんだよ…)
心の中の復讐心がモヤモヤしたナニかに変わる。
「話はこれで終わりです。食事を終えたら中庭に来てください。修行を始めましょう。」
なんとも歯切れの悪い、喉の奥で留まっている様な気持ちになりながらタマゴスープを飲み干した。世の中がどうあれ、今日から魔術の修行が始まる。
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