王は弟子と共に名乗る
初のオリジナル小説です。よろしくお願いします。
「私が着いた時にはもう村は滅んでいました。被害は31軒壊滅、78名死亡、1名生存。そして、村周辺にしばらく中位骸骨兵と中位屍人兵が湧くと予想されます。」
リアクターは王国へと戻ってきた。勿論、カイリも連れてきている。豪華絢爛で白く輝いている大理石の床や、今でも動き出しそうな、目に宝石の埋まっている龍の装飾が施された柱に衝撃を受けていた。
「受けた被害は、それほどでもないがヤツのことだ。また何かしらしてくるだろう。対策をしてくれ。」
承りましたと最敬礼をし、後ろへ一歩下がる。
「それで後ろに控えてる彼は生き残りか?控え室で待たせれば良いものを…」
「いえ、彼はここにいる権利がありますよ。そういえば、申し上げておりませんでした。この者を弟子に取りました。」
周りにいる者がざわつき始めコソコソと小言を話し出す。
「幻滅様が弟子を?!」
「これは…」
「あの子も不幸な」
「皆のもの、静まれ。ここで発言してもよいのは、許可された者だそ。すまないな、幻滅。話を続けてくれ」
国王が皆を制し場の雰囲気を落ち着かせる。しかし、この状況は彼も想像してなかった。あの幻滅が弟子を取ったのだ。
「そういえば彼の紹介がまだでしたね。彼に発言させてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。そなた名を申せ。」
不安気な目で交互に師と国王の顔をみる。
「大丈夫です、安心してください。落ち着いて言えば大丈夫ですよ。」
コクンと軽く頷き、極度の緊張を感じながら口を開く。
「コオル村の狩人の一族、カイリと申します。下賤なものゆえに、姓は持ち合わせていません。」
王国に着く前にリアクターが彼に教えた言葉遣いだ。本当はもう少し丁寧に教えたかったが、テンプレート通りの回答はできるようにしておいた。これでもかなり上達した方だ。最初の頃なんて「俺」や「〇〇だ。」などの汚い言葉遣いだった。しかし、飲み込みはかなり速かった。2回ほど練習すればある程度の敬語を使えるようになった。
(案外、礼儀正しいな。知っていると思うが一応、私も名乗っておくか…)
「丁寧な名乗り感謝する。我は魔導国家プラズラーの国王スチクロである。我はそなたを歓迎する。王国に忠義を尽くし、国益を齎したまえ!」
彼のガラスの様な透き通った声が、部屋中に響き渡った。その迫力は飛龍や竜なんかの比ではなかった。もっと大きく、強く、どっしりとしたものだった。
「教えた甲斐がありました。なかなか良い名乗りでしたよ。」
国王への報告を済ませ、宮殿の廊下を二人で歩いていた。照れくさそうに「ありがとうございます」と口から溢れた。
「さて、報告も終えたことですし明日から修行を始めましょう。今日はゆっくり休んでください。」
明日から修行が始まる。自分の好奇心を満たすため、ヤツの身を滅ぼすため。ここから魔術師達の運命が大きく変わっていく。
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