希望は狂気と共に揺れる
初のオリジナル小説です。よろしくお願いします。
カイリが村に着いた頃にはもう、雲が薄暗く染まり、真っ赤な火花がチリチリと雪のように散っていた。雪は溶け、家屋は燃え、空気はよどんでいた。目の前には家族だった肉塊がブニブニと動いている。絶望のしていたが、何も考えれずに家だった場所に立っていた。家族はもういなくなっていた。温かい日々も、平穏な日常も、一瞬でなくなった。空を見上げると、巨大で恐ろしい魔力を秘めた"ナニか"がそこにいた。どす黒い闇に心を委ね奴を殺してやりたいと望んだ。しかし、"ナニか"の前にカイリは無力だった。何かが吹っ切れたように目から滝のように涙が溢れ出した。ただ悲しみを嘆くことしかできなかった。しばらくすると体力が尽き、焼け焦げた地面にうずくまるように気を失っていた。
リアクターは魔具で武装された大きな手でカイリの小さな弱々しい背中をさすった。
「話してくださりありがとうございます。よく頑張りました。ヤツはどこに飛び去ったか覚えていますか?」
首を横に振り否定する。覚えているわけがなかろう。齢12にして、自分の肉眼で両親の焼けた肉塊を見たのだから。
「これからどうするんです?どこか行く当てはあるのですか?」
「特ない。俺は狩人の一族だ。森の中でひっそりと暮らすよ。」
そんなやるせない言葉を吐いた。だが、カイリの目には復讐心が燃えたぎっていた。そして、それをリアクターは見逃さなかった。
「ヤツを倒せる力と技術を授けると言ったらどうします?」
カイリの目が大きく開いた。心が大きく揺れた。
「もし、あなたがよければですが…私の弟子になりませんか?」
「本当に倒せるのか?ヤツを。」
「えぇ、確実に倒せます。君のほんの少しの才能と努力が必要ですがね。」
彼の心の中はマグマのような復讐心で煮え滾っていた。憎しみと怒りが飛び跳ねていた。
「俺あんたの弟子になるよ。あんたの下で修行してヤツを絶対倒す。」
絶望に冷え切っていた心の火山が噴火した。
「いい意気込みです。今、この瞬間からあなたは私の弟子です。あなたの師匠は魔導十三師の一人【幻滅の魔術師】リアクターです。自信を持って誇りなさい。」
「はい、お師匠。」
これ瞬間から少年の運命が大きく変わった。先程までは単なる復讐心しか湧いていなかった。しかし、今は魔術への興味と探究心が加わり狂気的なものへと変貌した。
「あなたはいずれ私を超える最高の魔術師になれます。憎しみに囚われないように…」
ボソッとカイリには聞こえないほどの声が溢れた。雪のように重く、炎のように温かい声だった。
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