未来は溝と共に見える
初のオリジナル小説です。よろしくお願いします。
狂気熊から逃げ切り、遂に予見眼の会得に向けて、カイリは歩きながらリアクターの話を聞いていた。
「予見眼の発祥の地はカイリ君の地域です。あの地域は広範囲で年中雪が降り、視界が遮られることも多々ありました。しかし、先人達は魔力の発見により魔法を会得しました。眼に特定の一定数の魔力を流すことにより豪雪の中でもハッキリと視界を確保していました。それが幸を成したのか、カイリ君は非常に眼がいい。ですので、予見眼も比較的簡単に会得できるでしょう。」
「簡単にって言われてもなぁ。」
今向かっているのは中庭の中でも、魔物が多い場所である。弱い魔物がゴロゴロいるので実戦には持って来いだという。狂気熊と出会った場所からかなり進んだ所には、赤い岩で造られた大きな溝があった。
「着きましたよ。ここで次の魔術を会得してもらいます。」
「でっか…」
底をよく見てみるとポツポツと緑の人影が見える。下位子鬼の群だ。魔物は魔力の濃い場所で出現する自然現象の様な分類に位置する。対して、魔物は動物が何らかの原因で魔力を浴びる事により突然変異する。
「予見眼は目に魔力を流し、少し先に起こるとされる不確定な未来を数種類を予見ることができます。知能の高い魔物だと苦戦すると思うので、下級子鬼で慣らしましょう。」
下位子鬼は人間のように知能を持ち、集団での戦闘を得意とする。しかし、人間と違い高度の知能を持ち合わせていない。そのため、思考が単純であり行動が読みやすい。
「相手、武器持ってるんですけど…」
「大丈夫です。魔力弾で牽制し、平面移動で回避できれば死ぬことはありません。さぁ、降りますよ。」
足が地面が離れ、体が宙にフワッと浮く。少し驚き手足をバタつかせたが、リアクターの魔術だとわかり落ち着いた。少し気温が高いのかじんわり汗が出てくる。底につくと、かなりの数が洞穴から出てくる。背丈はカイリより若干高いぐらいだ。肌は濁った緑色をしている。木の棒に削った石を縄で括り付けた槍や、斧を装備していて、大事な部分を毛皮で覆っている。
「ガキキァ!」
言葉なのか、ただの雄叫びなのか分からない威嚇をしてきた。数十体いる内の3体が飛びかかってくる。
「装填、三発!」
迫りくる槍をギリギリで躱し、魔力弾を発動した。
「魔力弾!」
突き出してきた槍を突き破った。一つは左胸に、もう2つは両足に当たる。しかし、撃破には至らず少し後退させる程度だった。
「もう少し、出力を上げて見ましょう。彼らの皮膚は魔力に対して耐性があります。目に、魔力を流すこともお忘れなく。」
リアクターのアドバイスを聞き、魔力をもう一度練り直す。自分は、魔術で戦っていることを実感を強く感じている。これから大きな壁が待ち構えているのだ。こんなところで負けてしまっては体も心も保たないだろう。
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