いつもは雪と共に溶ける
初のオリジナル小説です。よろしくお願いします。
昇りだした太陽の光は、星々を呑み込み温かく空を照らしていく。降っていく月の闇は、昨夜見た悪夢を追い払っていく。温かい匂いに鼻腔がくすぐられ、美味しい音に鼓膜が踊る。朝が来た。いつもの朝だ。
「おはよう、カイリ。朝ごはんが温かいうちに食べなさい。」
いつもの穏やかな母の声。トマトのいい匂いがする。今日のスープはきっと、コンソメの効いたトマトスープだろう。
「おはよう、カイリ!今日は街に行くから帰りにお土産を買ってくる!楽しみにしてろよ〜。」
いつもの豪快な父の声。父が買ってくるオモチャやお菓子はいつもの面白いものばかりだ。母はガラクタばっかりだと言っているが、そんなことはない。
「そういえば、今日は狩りに出るんだろう?最近ここらで"ナニか"が出るらしいから、気おつけるんだぞ」
「大丈夫だよ。それに、僕の目が良いことは知ってるでしょ?」
軽く返事をしてスープをかき込む。
「心配いらないよ。夕飯までには帰ってくる。それじゃ、行ってきます!!」
まだまだ狩人としては半人前だ。しかし、生まれてきてから12年間ずっと狩人としての経験を積んできたつもりだ。だから、この辺の森の地形や、生態系は熟知している。全く、親というものは心配性が過ぎる。
雪の上を飛ぶようにして駆ける。かき分けた空気が刃物のように痛い。冬の森はやはり静かだ。熊やリス、蛇などはもう長い眠りについてあるだろう。いつもは聞こえる鳥のさえずりが聞こえない。鳥も冬眠しているのだろうか。確かに、今は冬眠の時期だ。しかし、鳥が冬眠するなんて聞いたことがない。
「やけに静かだな。それに、いつもより空気が揺らいでる。」
白く染まった息を吐く。森の空気はいつも決まった流れをしている。北風に乗ってやってくる微かな匂い。
(焦げ臭い…?)
背筋に悪寒が走った。この悪寒は、冬の突き刺さるようなものじゃない。もっと冷たく、もっと鋭いものだ。今、感じている違和感をまとめよう。
違和感1.いつも聴こえてくるはずの鳥のさえずりがない。それに今日、森に入ってから一匹も動物を見ていない。
違和感2.いつもよりも空気が揺らいでる。通常、冬の森の乾燥した空気は南から北に向かって勢いよく吹いてくる。しかし、今の空気は重々しく若干遅い気がする。それに焦げ臭い匂いが混じってる
違和感3.尋常ではない程の悪寒…
「まさか、いや…」
カイリは冷たく重い雪をかき分けて村へと急いだ。
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