敵…?その手があったか!
…異世界ってつまんないんだなぁ。
そう思ったのは僕「ジェームズ・マスト」が、とある国の「上流貴族マスト家」として転生して15年経った時である。そういえばジェームズってアメリカ名だよね。
確かに、前世日本で憧れたような環境ではある。「魔法」、「貴族制度」とかね。
でも「憧れは遠いなぁ」と思わざるを得ない致命的欠点が多すぎる。例えば、「モンスター、魔獣、盗賊」とかが全くいない!あと、日本からの転生者の偉業が既に語られていることとか。(でもこの偉業が記された本を人に見せるとなんかの宗教と勘違いされるらしい。)
まぁ、前者は人々にとっては平和ということで良いのかもしれない。でも後者の「転生者の偉業が既に語られている」を知った時は、1週間寝込むほどショックだった。
つまり、日本のラノベに憧れて転生した僕にこの世界で出来ることは前世同様妄想に夢を膨らませて転生できることへの希望を持ち死を待つだけってことだ。
才能だけはあったんだけどなー。魔法も綺麗で剣も結構できて。あっ、あと親もまぁいい人だった。
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そんなことを考えながら過ごしているとそうアストラフード学院(星のご飯?)への入学式がやってきた。まぁ、日本で言う高校かな。でも名前が壊滅級にダサい。
僕の黒髪とは異なる金髪を持つ母が、
「ほら、行くよ。準備できた?」
と声をかける。
「できたよー。」
家から学院は列車で30分そこそこだ。ちなみに僕の黒髪は多分父親譲りだろう。
ちなみに僕が行く学院は「剣術専科」と「魔法専科」と「学術専科」の3コースに分かれていた。僕は当然ただ詠唱してるだけの魔法専科にした。余談だけど、僕は上流貴族の上、様々な才能があるから外から見ると勉強熱心な優等生らしい。
この世界の人は「1番意味ないコース」とか言っている。でも転生者には憧れだよね。
そして入学式に行って見ると、かっこいいコースだったね。第一に魔法専科の教員は強そうなおじさんが多かった。
入学式自体は学長の話とかその他諸々だった。その後のクラスごとホームルームはすごかった。生徒は普通の人だが先生は、「我のブラック…」とか言っていてかっこよかった。
多分この人も魔法に憧れたけど、使い所がなくてせめて名だけでも残そうと考えた人の一部なのだろう。(この世界で魔法に憧れるとそういう結末にたどり着くらしい。)
ここの教員は見れば見るほど可哀想だ。敵がいれば輝けただろうに。僕もこの世界の真実を知るまでは何としても世界の魔法で輝こうと修行をしたものだ。だから様々な能力は、異様に高いと言えるだろう。
ホームルーム中におじさん教員が呟いた一言が帰った後も引っかかる。「あぁ、この世界に悪の組織さえいればなぁ。」
そこで僕は思った。
……確かに、敵がいないから魔法が輝かない。つまりは敵がいれば良いのだと。
なら…、僕が敵となればいいのでは?
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やばい、完璧すぎる。それだ。どうして思いつかなかったんだろう。僕がこの世界を物騒にしちゃえばいいんだ。
早速入学式の次の日から取り組み始めた。学院は一応行っておいた。またあのおじさん教員がヒントをくれるかもしれないからね。
そして放課後、僕はこの国の1番大きい森に行った。手始めに行うのは魔獣の作成。これは魔法を普通の人の200倍くらい突き詰めた結果手に入れた「生物強化」で行う。
その辺の動物にかけると、見る見る大きくなり魔獣っぽくなるという効果を持つ優れものの魔法だ。そして実際近くの猪みたいなのにかけてみた。
「おお、これが今後この世を脅かすのかぁ。」
と感心していると猪の強化版の魔獣は僕に目掛け突進してくる。その大きさ何と僕の何十倍もあるだろう。
「…っ!あっぶな!」
ギリギリで躱して後ろからひと殴りで倒した。すると大きな図体は大きな音と共に倒れ込んだ。木々を巻き込み空から地が露わになったためそこだけ太陽の光がとても当たっていた。
「まぁ、この音でとりあえず誰かは森に来るっしょ。」
と呟き僕は森を後にする。少し派手すぎたかも。次から注意しよう。
…急にあんなの大量に出現させても戦い慣れていない国々は次第に滅ぶよな。と考えながら、前世のゲームクリエイターのゲームバランスの調整は大変だったのかなぁ、とか思った。
そして次の日国内でしっかり大きな問題となった。