空回りな二人。
それは、ハルナの一言から始まった。
「ねぇ、アオイ君」
「んー?」
「アオイ君ってさぁ、私以外の女の子に優しいよね」
「………。…うん?……えっ?!」
バッとハルナの方へ顔を向けると、ハルナはアオイを睨んでいた。
「えーっと……気のせいじゃな--」
「気のせいじゃないっ!!私にだけ、めちゃくちゃ冷たい!!!彼女なのにだよ!?」
如何してあんなに冷たいのか解らない!!と怒るハルナに、それは…となにか言おうとして、アオイは黙り込む。それに、ハルナはブチ切れた。
「ほらまたっ!言いたい事があるなら言えばイイじゃんっ!!いっっっつもそう!!!私ばっかりアオイ君の事が大好きみたいで……悲しいよ…っ」
「……………」
わああと泣き出すハルナに、アオイはめんどくさい女…と思うのではなく、寧ろ泣かせてしまった!如何しよう!!状態だった。
ハルナに、他の女性には優しいのに自分に対してだけは冷たいと指摘された時、アオイは図星を突かれて動揺していた。実際そうで、アオイは不本意ながらその言動をやっては、自己嫌悪に陥るばかりだからだ。
--俺だって、大好きだよ…
只、ハルナみたいに素直に想いを告げたり出来ないだけで、気付けば愛情表現は空回り。いつも、ハルナを傷付けている。
--そもそも、素直になるってなんだろう…?
余裕のない状態で想いを告げろ、って事だろうか?でもそれだと、多分ハルナをもっと傷付ける行動に出る気がするし、なにより嫌われる危険が高い。
「……はあぁ…」
思わず出た溜息にしまった!面倒くさがってるって勘違いさせてしまう!と思うも後の祭り。
アオイはハルナの顔をちゃんと見れる自信がなくなり、思わず顔を背けた。だがそれが、更にハルナを不安にさせている事だって気付かず、火に油を注ぐ。
「っ……もう…私の事、好きじゃないんだね…」
「!?違--」
「もうイイよ。今迄無理して付き合わせてゴメンね。バイバイ」
「待っ……」
バタンと閉まる音が静寂な室内に酷く響き渡る。
アオイはハルナを追い駆けようと立ち上がろうと思うも、身体がコンクリートになったみたいに固まっていて、全く動かない。
「クソッ!立てっ!!立てよっ!?なあっ?!!」
このままじゃ本当に別れてしまう。解ってる事なのに……身体が全く動かず、アオイは焦った。
「頼む……頼むから…立てよっ!!!」
一方その頃、ハルナは--。
「追い駆けて、くれないんだね…」
やっぱり、私は愛されてないんだなぁと悲しそうに呟いて、彼氏“だった”男の自宅を暫く見つめ、待っても来てくれないと判断すると、その場から立ち去った。
何処かで期待していた。
自分にだけ優しくないのは、愛情表情が下手くそだからだと。
でも実際はそんな事なくて、他の女性に気持ちが傾いてるからなのだと判り、悲しくなった。
これ以上好きでいても、他の女性に惚れ易い男に嫉妬で苦しむぐらいなら、お別れした方がイイのではないかと考えたハルナは、アオイから距離を取る事を選んだ。お互いの為だと考えて。
それが、空回りな選択だとも知らずに。
了
後書き
名前の由来は、【青春】!
こーゆう暗い話、息抜きによく書くのですが……似たり寄ったりでも、やっぱり楽しいですね\(//∇//)\
ただ!!
書いてる途中や書きあがった後に読み直すと、なんでこんな暗い話なんか書いてるんだ!?と、自分で書いときながらツッコミを入れています(`・ω・´)((←⁉️
現場からは以上です!