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第3話 最強の魔王、魔法師となる!

 披露会が終わるとすぐさまパーティ用の衣装から外出用に着替え、

 帝都ミズガルズにある軍事施設を訪れた。


 そこでやる内容は精密機械で魔力量を測定し、試験官と戦闘を行い魔法師としてのポテンシャルを測るということだ。


 なぜこのようなことをするかというと、貴族の大半というのは軍の魔法師となり戦場で多大な功績を残すものだ。

 そのため時代の流れとともに義務化されていき、七歳の社交界デビューと共にやるのが通例だ。


「あまり緊張することはない。今までの訓練を思い出し、最善を尽くすんだな」


「もちろん、そうするつもりだ」


 この俺が緊張するなんてことはない。

 まあ、人間の体で縛りプレ……ごほん。

 たとえスライムになろうと問題はない。

 魔力程度、第四階梯魔法の行使を問題ないレベルにまで成長させておいた。

 本当はもっといけるのだが、ついつい惰眠と能力封印プレ……鍛錬で上げておくのを忘れていた。


「ほほほ、では測定会場へとご案内します」


 そう言って、白衣を着た老爺は俺たちを地下へと案内した。


 にしても他の貴族の姿が見当たらない。

 おそらく貸し切りにしたのだろう。

 さすがは公爵家。


「シド、心配することはないぞ。日程もない密にしてあるし人聞きの悪い記者共も対策しておいた。結果はどうであれ応援しているぞ」


(そこまでしていたのか……)


 人間界に八年も居れば常識も身についてくるものだ。

 それでもやりすぎということはわかる。

 王であった俺でもテキトウに受け流すぐらいで済ませるはずだ……って今考えると何してたんだろう? ずっと玉座に座っていたからな。


「では、早速始めます。準備などはよろしい毛でしょうか?」


「……あ、うん」


「では、これに手をかざしてください

 測定中は過度に魔力を放出しようとしたり、秘匿しようとしないでくださいね」


 注意事項を言い終わると、さっそく電源を入れて測定が始まった。


 測定結果はS・A・B・C・Dで分類されるらしい。

 さてと、俺はどの階級かな?

 まあ、一応前世の魔王としての力は封印してある。

 だけどそれでも最強なのは間違いないだろう。


「な、な! 〈測定不可能〉ですと!?」


 おじさんは驚きのあまり目を張った。


「ふむ……」


 父に関しては少し動揺している様子だ。

 やはり実力を隠さなければ不味かったか?

 まあ、俺にそんな義務はないがな。


「クック……やはり俺の深淵の力は測りきれなかったか」


「やかましいわ! きっと故障だ。もう一度!」



 おじさんの熱気に押されて測ること十回は超えた。

 しかし結果は変わらず。


「な……これは世紀末ですぞ。若造がこれ程の記録をたたき出すとは。将来が楽しみですな」


「ああ、そうだ。私自身もここまで自分の息子が優秀だとは思わなかった。いや……」


「バケモノか?」


 後ろから声がした。

 ふと振り返るとそこには軍服を身にまとった中年の男性がいた。


「久しぶりだなユルゲン殿」


「……先程から鬱陶しい視線を感じてはいたが、まさか総督だとはな」


「はは、相変わらず口の悪さは健在だね」


 総督……それは軍部の中でも最上級の職にいる者である。

 魔法師を管轄と聞いているが何をしに来たのだ?


「貴殿の子息が測定しにくるというから、どんなもんか様子見をしに来たが……予想外な結果だ。そこの君。早期魔法師教育機関に入って軍へと入隊する気はないか?」


 ドゴォォン


 軍事施設内の壁の所々に亀裂が入る。

 それは全て父から放たれる剣気オーラによってなされたものであった。

 荒ぶるオーラが室内を満たす。


「日付は口外していないはずだが、なぜ知っている?」


「書類には目を通すさ。そして私は総督だからね」


 父と総督が睨み合っている中、俺はひっそりと中にいる研究員全員を室外へと避難させた。

 まったく、これから実力試験もあるというのに、俺を無視して話を進めるとは。


 でも父さんが牽制する理由はわかる。


 さすがにルイスター帝国を支えるヘルフォード公爵家の次期当主を、正規ではなく軍が行っている早期魔法師育成機関へと入れさせるのは如何なものかと思う。


 早期魔法師育成機関。

 ここに入る者のほとんどは魔法の才がある平民であり、生存率が三割割程にしか満たない軍事施設である。


 言い表すのならば捨て駒のようなもの。


 人材不足解消のための早期実戦投入を目的としているため、実際に生き残るものは一割から二割ほどである。


 そんなところに公爵家の子息を入れて死亡でもさせたら大問題に発展しかねない。


 俺も、もちろんそのことについては理解していた。


 だが、


「……その勧誘、受け入れます」


 俺は周囲の反対を押し切り、総督の勧誘を受け入れた。


 命の危険性は百も承知。

 だが、そのモンスターとやらの顔を俺は拝んでみたかった。


 世界最強の魔王と謳われた男なのだ。

 どんなものであろうと俺の敵ではない。

注釈:

ポテンシャル⇒潜在的能力、将来への可能性


ヾ(•ω•`)o「ずっと玉座に座っていたからな」

\(〇_o)/「ただの引き籠りやん」


是非よければブックマークや評価を押してくれると嬉しいです。

次話から本編スタートになります(第一章)。

章ごとにプロローグ、一話と順に書いていくのか、そのまま話の番号を続けていくのかどっちがいいと思いますか?

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