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第二話 制服が・・・。

漸く前振りが終わりそうです。

 数日後、常見の親父さんから、位牌を持ってきてくれるとの連絡があった。

 俺たちは服装を整えて、リビングで到着を待っていた。

 茉莉ちゃんは黒を基調としたシンプルなワンピース。

 楓ちゃんは来週から通う欧美女学院高等部の制服だった。

 だが、問題はそのサイズだ。紺のシンプルなワンピースタイプの制服なのだが、何故か胸のサイズがあっていないようでパッツンとしてしまっている。

 そう、強調されているんだよ、胸が。


「楓ちゃん・・・。制服なんだけど、大丈夫?」


 意を決した俺が楓ちゃんに聞いてみる。


「大丈夫。着ることはできる。」

「ごめんなさい。私のおさがりなの。進学が重なってちょっとお金に余裕がなかったから、しばらくの間我慢してもらおうってお父さんたちとは話していたの。だけど・・・」


 そういって自分の顔から下の方を見る茉莉ちゃん。

 そうだよね、線の細い茉莉ちゃんと、肉付きがいい楓ちゃんでは・・・。


「ちょっと、和にい!?今、変なこと考えていたでしょ?」

「いやいや、そんなことはない、です。」

「お姉ちゃんは気にしてる。でも、私はお姉ちゃんみたいなほうがよかった。」


 はい、すいません。考えていました。

 でも、男として当然でしょ?

 二人とも違った方向でかわいいんだから。

 家族同然と言っても、美しいものには見とれちゃうんです。

 これ自然の摂理。


「今からでは難しいかもしれないけど、楓ちゃんの体にあった制服を用意してみよう。伝手は幸いにもあるし。それまでは我慢してくれるかい楓ちゃん。」

「和にい、一応私たちは居候させてもらっているだけだから、そこまでしてもらわなくても・・・。」

「そう、いい。気にしなくて。視線は気にならない。」

「いいや、保護者としてきちんとさせてもらいます。こういうことは我慢しなくていいんだよ。家族なんだから。

 お金は腐るほどあるし。

 他にも体操服や夏服とか入用でしょ?

 用意するよ。

 茉莉ちゃんも大学に行く服とか、必要でしょ?

 こんな調子だと、用意していないんだろ?

 時間は少ないけどあとで買い物に行こう。

 他にも入用なものがあるならきちんと教えること。いいね?」

「うぅ・・・。実は・・・。」

「それなら・・・。」


 二人からの要望はいろいろ出てきた。これまで苦労してきたんだね・・・。

 さすがに茉莉ちゃんのローファーをサイズが合わないのに使うのはどうかと思うよ。

 山の集落にいた時の生活は、それなりに裕福な方だったと思う。

 本業農家で、家や土地もあったので余裕があった。

 その生活をすべて失い、切り詰めた生活をしてきたんだ。

 これからは以前、いや、それ以上の生活をさせてあげたいと思った。


 ピンポーン


 どうやら親父さんが到着したようだ。


「おう。今日はよろしく頼む。いい機会だ、ご位牌と亜咲君やほかの皆さんのお務めもさせてもらうぞ。」

「いえ、こちらこそよろしくお願いします。」


 そんな話をしながら親父さんを案内する。

 と言っても、親父さんもお務め以外でもここに来ることもあるので慣れたものだ。


「あ、ご住職様。この度は本当にありがとうございます。何とお礼を申していいのやら・・・。」


 茉莉ちゃんが迎えたリビングで正座して、深くお礼をする。


「いやいや、気にしなくていい。立ちなさい。

 ワシは当然のことをしているだけさ。

 和樹や亜咲君のこともあったが、そんなことは関係ない。

 それに君たちは欧女の学生だ。もとより君たちの生活の、人生の責任はワシも取らなければならん立場だしの。」


 そう、この親父さん、高賢寺 常雲は彼女たちが通う欧美女学院の常任理事だ。

 さっきの話の伝手はこの人のことだ。

 やり取りの後、仏壇のある和室に移動して、お務めをしてもらった。

 この辺りの大地主である高健寺の住職は非常に多忙を極める。

 そんな人がわざわざ俺たちのために時間をとってくれている。本当にありがたいことだ。

 普段はチャランポランした人だが、物事は深く洞察しているし、様々なことを経験しているから底知れない深さ、安心感を与えてくれる。

 だからか、この人の説教、読経には説得力がある。


「さて・・・。説教の時間なのだが・・・。」


 読経が終わって、こちらに座りなおした親父さん。


「楓君、その制服は少し不味いのでは・・・。」


 やっぱりそうなるよね。親父さん・・・。


「すいません。ちょっと事情が・・・。」

「理事、お金がない。だから、お姉ちゃんのおさがり。校則では問題なかった。」

「むぅ。しかしのぉ・・・。」


 彼女たちは、理事の立場からの諫言だと思って話をしているようだ。

 だが、違うんだよ。二人とも。

 あの常見の親だけあって、この親父も相当の色事好きの生臭坊主だ。

 楓ちゃんのボディーに目が行っているんだよ!!

 そんな俺の怨嗟の視線に気が付いた親父さんはこう切り出す。


「なに、和樹には金が腐るほどある。それも余程のことをしなければ使い切れないほどのな。

 だから遠慮なく、買ってもらいなさい。ワシが手配してあげよう。入学式までには特急で仕上げるさ。

 もちろん、和樹持ちじゃし料金も手数料込々3倍くらいでの。」


 ニヤニヤしながらさらっと(のたま)う。

 たぶんその特急料金の何割かはアンタの遊興費だよな。いつも通り俺持ちで常見の店とかの。


「さて、お務めも終わったし、堅苦しいことを抜きにして啓介の店で食事でもしようかの。

 席は取ってある。今日はワシの奢りだ。楽しんでくれ。

 和樹、お前も車を出せ。どうせ寝ている車があるだろう。

 街乗りのミニバンじゃなく。せっかくなんだ服装にあった車でエスコートしてあげろ。」


 そういって親父さんは黒塗りの高級外車のセダンを駐車場から出し、俺も最近乗っていなかった白塗りのオープンカーにもなる高級外車を出す。


「ほんと、和にーちゃんはすごいお金持ち。」


 楓ちゃんが言ってくる。多分、この車のことを調べていたんだろう。


「そんなに高級なの?町でもたまに見かけるメーカーの車だよ。それに屋根もついてないし。」


 茉莉ちゃんはそんなこと言っている。

 しかし、俺が運転席で屋根を出す操作をして、自動で後部ハッチから屋根が出てくるのを目の当たりにして目を丸くしている。


「・・・。すごい!!ロボット見たい!!!」


 あー。そう来たか。亜咲もおんなじ反応だったよ。

 亜咲も機械とかこういうのに興味を示さなかったから、そんな反応だった。

 漢の浪漫が詰まってるんだよ、こういう技巧(ギミック)には!!

 まあ、楓ちゃんに本体価格耳打ちされて、顔を真っ青にしていたけど。

 でも、これフルスペックの車かつ、俺好みのフルチューンしているから価格でいえば倍近いけどね。

 恐縮して恐る恐る車に乗り込む茉莉ちゃんを楽しみながら、俺は車のギアを上げて発進する。


やっぱりギミックにあこがれますね。

自分的にはMTで加速より出だしの加速とコーナリングの安定性に重きを置いたチューンの物を考えています。

ポチっとしていただり、感想をいただけるとやる気と、つぎの展開を考える活力、助けになります。

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