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第五話 欲を出せば仕損じる

 茉莉ちゃんが取り出したのは、こよりで作ったくじだった。


「このくじで先に口紅の赤色が付いたものを引いた人が先に行こうって決めてあるの。」

「そう、誰と行くかはまだ決まっていない。」

「お楽しみだネ~。」

「私達も楽しみよ?」


 そう言ってみんがそれぞれ引いていく。


「おおっ! わたしが一番の組だね。」

「私は最後の組ね。」

「私も。」

「ということは、私がいのりちゃんと一緒だね。」


 綾瀬君、茉莉ちゃんペアとカレン、楓ちゃんペアに決まったようだ。

 早速、俺たちは境内の出店に繰り出すことにする。


「ねぇねぇ、大木さん。何から食べようか?」

「う~ん、いろいろあって決められないよね。」

「あ、私、かき氷が食べたいかな?飲み物代わりにもなるし最後にすると荷物がいっぱいで持てそうにないから。」

「よしっ! じゃあ、かき氷のお店を探しつつまずは何があるかを見ていこうね!」


 俺達は気になる食べ物屋を探しつつ、気に入ったかき氷の屋台を探す。


「おおっ!! これは台湾式のかき氷じゃん!! 茉莉ちゃん、このお店にしようよ。」


 綾瀬君は台湾式のかき氷、雪花冰(シェーホァピン)の屋台に目を付ける。


「お、雪花冰か。いいセンスしているね。」

「私はまだ台湾のかき氷なんて食べたことがないや。うん、そうしよう、いのりちゃん。

 でも、和にいは良く知っているね。」

「ああ、亜咲と世界一周クルーズに行ったときに食べたんだよ。一番最初の寄港地だったし、現地について最初に口にしたのがこの雪花冰だったんだ。だから記憶に濃いんだよ。」

「そうなんだ。亜咲ねえはなんていっていたの?」

「うん、蜜がふんわりとした氷と合っていて口の中に入れた時の口触りが最高だっていっていたね。

 俺もそう思う。」

「だよね!! この氷の削り方が日本のものとは違うし、口どけがいいんだよね!!

 あとは蜜と凍らせたフルーツの付け合わせが最高なんだよ!!」


 綾瀬君はマンゴーの雪花冰に大量の凍らせたマンゴーをトッピングして、茉莉ちゃんはイチゴの雪花冰を俺は桃の雪花冰を買った。


「う~ん!!やっぱり格別だね!!」

「ああ。さっぱりするな。」

「すごい・・・。こんな口どけのいいかき氷があったんだね・・・。」


 茉莉ちゃんは感動して直ぐに口に運んでいる。

 あ、こめかみを抑える姿が可愛らしい。


「あはは!! 茉莉ちゃん、急いで食べるからだヨ!!」

「ぅう~。だって、すぐに溶けちゃうんじゃないかって・・・。こんなに儚い口どけなんだよ?」

「まあ、その気持ちはわかるよ。亜咲なんかはその逆で大切に食べようとしてゆっくり食べていたんだけど、流石に台湾は暑かったから逆に食べ損ねて拗ねていたね。」

「あはは、亜咲ねえらしいね!」

「わたしも亜咲さんとおんなじで溶かしたことあるから、よ~く気持ちが解るヨ。」


 かき氷を食べ終えた俺たちは、丁度折り返し地点に着いたのでここからは屋台を楽しみながら食べ物を買っていこうということになった。


「大木さん! ビールは最後に買うとして私は唐揚げが食べたい!」

「お! いいな。と、言いたいんだが、俺は運転があるから今日は炭酸飲料な。」

「おぉ・・・。ごめんなさい。」

「いやいや、気にせずカレンと飲んでくれよ? 俺も唐揚げとかが食べたいし。ついでに牛串なんてのもいいよな。」

「和にいはお祭りだとお肉系ばっかりだもんね。」

「亜咲や茉莉ちゃんたちがお菓子系ばっかりで甘いのしか買わないからね。たまに塩辛いとか脂っこいのが食べたくなるんだよ。」

「むぅ・・・。だって、やっぱりこういうところでしか食べられないんだよ・・・。りんご飴や綿菓子にベビーカステラ、焼き栗とかは・・・。」

「だね! いのりちゃんも食べたい!!」

「綾瀬君は両方だろ?」

「てへ! まあ、こんなことも想定してお腹は十分に空かせてきたからね! あとは体重計の数字は見なかったことにすればいいヨ!!」

「あはは・・・。私は気にしちゃうかな?」

「まあ、そうそうないことなんだし、気にせずに食べて、その時はその時で頑張ればいい。」

「もうっ! 和にいっ! 女の子は体重計の数字を気にするの!!」


 俺と綾瀬君が顔を赤くしてプンスカしている茉莉ちゃんを見て笑いあう。

 そんな話などをしつつ、みんなの分のお好み焼きや焼きそばを買いながら、遊戯系の屋台も見ていく。


「あ、和にい。私、この遊びがしてみたい!」

「いいね、わたしもやってみたいな。」


 二人が興味を示したのはスマートボールだった。

 意外と奥が深くてハマるんだよね。

 温泉地とかにたまにあるけど熱中しちゃうから、これからパチンコに流れていく人の気持ちが解る気がする。

 この屋台のスマートボールは球を発射していくつ穴に落とすことが出来たかでもらえる景品が変わるシステムだった。


「よ~し! ここはいのりちゃんが景気づけに一発当ててみせようではないか!!」


 そんなことを言いつつ思いっきりレバーを引っ張って球を一気に打ち出す。

 勢いよく打ち出されて跳ね回るが結果は・・・。

 一つしか入らなかった・・・。


「え~!! なんで! くやしい~!! おじさん!! もう一回!!」


 綾瀬君がリトライする。

 リトライはいいけど、ハマらないでね。

 綾瀬君の性格だと間違いなくパチスロとかにハマったら自滅するタイプだから・・・。

 茉莉ちゃんはというと、慎重に優しく球を発射していた。

 絶妙にゆる~く打ち出された球はなんと全部の穴に落ちた。


「やった! 和にい、見て!! 全部入ったよ!!」

「ああ、すごいな茉莉ちゃん!!」


 茉莉ちゃんは景品にお菓子の詰め合わせの大袋をもらっていた。

 それを見ていた綾瀬君が、見よう見まねで茉莉ちゃんが使った台で同じようにしてみたがそんなに入らなかった。


「とほほ・・・。なんではいらないのかな~。」


 そう言いながら景品でもらった駄菓子のゼリーを啜りながらしょぼくれている。


「まあまあ、いのりちゃん。ただの偶然、ビギナーズラックだよ。」

「そうだけど~。いのりちゃんは大袋のお菓子の詰め合わせが良かったよ~。」

「あとでみんなで食べるんだから、いいだろ?」

「良くないよ~!! やるからには大物狙いがいいもん!」


 変なところで拗ねられてしまった。本当にパチスロやギャンブルにハマらないでくれよ。

 絶対、剝がされるいいカモだから。

 そうして俺たちは楓ちゃんとカレンが待っている房へと戻るのであった。


「あら、お帰り。」

「ちょうどいい。私達も今帰ったところ。」


 二人も出ていたようでいくつかの屋台メニューの食べ物を買ってきてくれていた。

 しばらく休憩がてら食事をして、次は楓ちゃんとカレンを連れて境内を物色しに出るのであった。


気に入ってくれたり、気になった方は、評価していただいたり、感想をいただけたり。ブクマしていただけると嬉しいです。

頑張れる気がします。

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