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第三話 プレゼントと酒盛りの代償

 綾瀬君とカレンと三人で数日間過ごし、茉莉ちゃんと楓ちゃんが帰ってくる日になった。


「ただいま、みんな。」

「ただいま。」

「おかえり、二人とも。」


 帰ってきた二人を俺が出迎える。


「あれ? いのりちゃんとカレンさんは?」

「靴はある、どうしたの和にーちゃん。」

「ああ、二人なら部屋で横になっているよ。」

「何かあったの?」

「ああ、それはね・・・。」


 要するにこうだ。

 未成年の二人がいないので思いっきり酒盛りをしようということになり、毎夜三人で飲んでいて二人が帰ってくる前夜にしばらくは思いっきり飲めないからと夜遅くまで飲んでいて、今は寝ているということだ。

 俺は適当なところで切り上げて寝たのだが二人女子会は深夜まで続いていたようで、朝起きたら酔いつぶれている二人がいた。


「「ーーー!!! あ、頭が痛い、気持ち悪い・・・。」」


 俺に起こされた二人はとても顔を赤くして一緒にシャワーを浴びて部屋で眠っているようだ。

 二日酔いするくらいまで飲んでいたようだ。


「…ということだったんだよ。」

「うん、なんだかなぁってカンジだね。」

「意味が解らない。」

「お酒を飲めるようになったら解る様になるよ。きっと。」

「あはは・・・。これを見たらなんだかなぁ。」


 確かにね。

 今はある程度片付けたが、二人とも片付けるつもりだったけども酔いつぶれたようでかなりのビール瓶とワインボトルにおつまみの袋が散らばっていた。

 しかも、部屋が酒臭い。

 換気はしているけど、多分俺や綾瀬君、カレンからアルコール臭がまだ抜けきっていないんだろう。


「和にいもお酒臭いよ?」

「・・・ごめん、以後気を付ける。」

「ううん。節度を保ってくれさえすればいいんだよ? ね?」

「和にーちゃん、お酒を飲んでも飲まれるな、だよ。

 二人にも後で言わないと。」


 ハイ、スイマセン・・・。

 帰って早々に茉莉ちゃんにお小言をもらいながら片付けてもらい、しきりに反省していた。

 綾瀬君とカレンも酔いが醒めて起きて来たが、何やら茉莉ちゃんたちにメッセージでお小言をもらったらしく、こじんまりとしていた。


「いのりん、カレン、お酒臭い・・・。」

「あはは~、まいったなこりゃ・・・。」

「・・・申し開きが出来ないわね。」

「わかってくれたならいいよ?」


 二人ともこの家の家事を司る茉莉ちゃんには頭が上がらないようだった。

 それからみんなで一息ついていると、茉莉ちゃんと楓ちゃんが何やら俺に持って来てくれた。


「二人ともこれは何だい?」

「あのね、老人ホームにお泊りさせてもらっている時にね、おばあちゃんと一緒に縫ったんだよ。」

「うん、和にーちゃんへのプレゼントの浴衣。」

「へえ、すごいじゃないか。二人とも。」

「えへへ、おばあちゃんの老人ホームでボケ防止でこういう裁縫をしているんだよ。おばあちゃんも縫っていたから一緒に教えてもらって縫ってみたの。」

「一針一針チクチクと。頑張った。ブイッ!」

「そっか、二人ともありがとう。大切にするよ。」

「でね、今度の花火大会に着てもらえたらうれしいかな?」


 上目遣いで俺にお願いしてくる茉莉ちゃん。

 うう・・・昔からこれが苦手だったんだよな。可愛くおねだりされると断れなくて、亜咲にいつも怒られていたっけ。


「うん、もちろん着させてもらうよ。後で下駄とかを買いに行かないとね。」


 横で見ていた綾瀬君とカレンが何やらヒソヒソ話をしているようだった。


「う~ん、これは・・・。」

「やられたわね・・・。デートと酒盛りと大人だからこその楽しみ方があったけど。」

「まさか、純粋な手縫いのプレゼント。威力が違うぜ!!」

「今回は素直に負けを認めましょう、いのり。」

「だよね~。お姉さんたちは楽しい方向に振りすぎちゃったよ・・・。とほほ。」


 そうして俺は茉莉ちゃんと楓ちゃんを連れてデパートの呉服屋に向かった。

 最近、四人が浴衣を購入した呉服店らしい。

 残る二人は家で片付けと掃除を茉莉ちゃんに厳命されていた。

 なんでも冷蔵庫とビール用の冷蔵庫、ワインセラーの日常用のボトルがほぼ空になっていたらしい。

 まあ、家事を取り仕切っている茉莉ちゃんから見れば怒っても仕方がないよね。


「あ、大木さん。いらっしゃいませ! 茉莉、待っていたよ。」

「百合子ちゃん、今日はよろしくね。」

「お願い。」

「うん、ちゃんと写真にあった浴衣と帯に合う用品を見繕っておいたよ。」


 なんと茉莉ちゃんの友達の百合子君がお店にいた。

 しかもしっかりと浴衣を着こなしているので、いつもの元気全開な雰囲気とはまた違っている。

 品のある和風美人だ。


「あのね、和にい。昔、百合子ちゃんのお家が没落したって言っていたでしょ?

 実は百合子ちゃんのお家は大きな呉服店だったんだけど、大きな商売が失敗してこのデパートに入るくらいにしかなくなったんだって。」

「そうなのか。というか、そんなイメージがなかったからなぁ、びっくりしたよ。」

「そうですよね。これでも小さい時からお琴に茶道、生け花、日本舞踊を習わされていたりしたんですよ?」

「陸上よりもこっちの方が実は百合子ねえは上手。

 勉強はからっきし、陸上で点数を稼いで、茶道部、華道部、日本舞踊部のエースだった。」

「だね、私も一緒に華道部に入っていたけど百合子ちゃん陸上以外でも賞をいっぱいもらっていたもんね。」

「褒めても何も出ないよ、茉莉。

 私は茉莉みたいな独創的な作品は絶対に創れないもん。」

「もうっ! 百合子ちゃん!!」


 ・・・そういうことか、うん。わかる。

 実は茉莉ちゃんの芸術センスは一人で創らせるとかなり独創的な・・・、というか意味が解らない宇宙が広がっているもんな。

 離れているうちにまともになったのかと思ったけど、変わらないか。

 だから、この間のデートの時に渋ったのか。

 そうこうしながら手際よく百合子君は浴衣と帯以外の品物を並べてくれる。

 かなり高級そうなものが多いが、確かな品々だと一目でわかるものだ。


「一応、茉莉からは採算度外視、とにかく格好良く似合うものってことで見繕っています。

 茉莉、楓、おばあちゃんと縫った浴衣持って来てるんだよね?」

「「うん。」」


 二人は俺の浴衣を百合子君に渡す。

 なにやら細かくチェックしてくれているようだ。


「うんうん、二人とも上手に丁寧に縫えているよ! 後の細かいところの直しはどうする?

 私が縫ってもいいし、二人に教えてもいいよ?」

「じゃあ、百合子ねえ教えて。私たちが縫う。」

「うん、お願いできるかな。」

「わかった。大木さん、とりあえず試着室で着替えてもらっていいですか?

 私が手直し箇所を二人に教えながら他のものを合わせていきますから。」


 着替えた俺は百合子君に着付けを直してもらい見繕ってもらった品々を合わせていた。

 なかなか品のあるチョイスだ。さすがにいろんな賞を取るだけあった百合子君のセンスは抜群らしい。

 並行して百合子君は茉莉ちゃんと楓ちゃんに浴衣の手直し部分の説明と採寸をしてくれていた。

 最終的に、百合子君チョイスの品々を購入した。

 それまでにいろいろやっている間、茉莉ちゃんと楓ちゃんが百合子君を花火大会に誘って百合子君も参加することになった。

 なんだか、だんだんと騒がしくなってきたぞ?




気に入った、続きが気になるって方は、是非!

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