girls side 茉莉①
閲覧感謝です!!
ポチっとしていただけると頑張れる気がします!
年が明け、私と妹の楓ちゃんが学校を卒業し、進学するっていう時に両親が事故で亡くなった。
今まで乗っていた古い中古車を車検に出すために整備工場に持っていこうとしていた時に、それは起きた。
擦り減っていたタイヤが河川敷のカーブでパンクして、両親は車ごと下に転落。
全身を強打して死んでしまった。
今でも二人の死に顔は忘れられない。本当に傷がなく、眠っているようだったの。
ただ、体を全身強く打つだけで、人間って死んでしまうんだ。
私、深山 茉莉は山の集落に住んでいた時、豪雨災害で住んでいた集落が壊滅して、家族で被災者支援を受けこの町に移り住んできた。
家財道具や、田畑の全てを失い両親は仕事を一から探して、慣れない仕事で私たちを養ってくれていた。
そんな中で、勉強ができた私と楓ちゃんを有名私立校の欧美女学院に通わせてくれていた。
両親が頑張って私達を応援してくれて、それに応えていく。私はそれだけで幸せだった。
この春から大学に進学するのでアルバイトが解禁される。少しばかりでも生活の足しにでもって思っていた矢先のことだった。
突然知らない番号から電話がかかってきて、両親が事故死したと告げられた。
嘘だと思い、楓ちゃんと急いで病院に向かった。
残酷にも現実は変えられない。
目の前にいたのは温かさを失った両親だった。
私たちは大きな声で泣きじゃくった。
病院の人や、警察の人に引き離されるくらいに抱き着いて泣き続けた。
しかし、両親の葬儀だ遺産の処理などの物事は待ってくれない。
あれよあれよという間に物事を言われるがままに進めていかざるを得なかった。
次第に、状況にも慣れ何も感じなくなってきている私がいることを理解せざるを得なかった。
そして両親の葬儀が終わった後、追いうちを掛けるようなことが分かった。
今住んでいる住居の契約がもうすぐ切れる。
後見人のいない私達は出ていかなくてはならなかった。
一応、親権者は老人ホームに入っているおばあちゃんだけど、おばあちゃんは認知症が進んできていて法律上の親権者としての責任能力は最低限ある、故に親権者となっている状態で、まともな判断が難しい状態だった。
加えて、両親は最低限の保険にしか入っておらず、保険金ではおばあちゃんの老人ホーム費用と、私と楓ちゃんの学費の一部にしかならなかった。
だから、私はたまたま葬儀を差配してくださった高健寺のご住職様にお願いした。
私は大学の進学を諦めても構わない。だから楓ちゃんを高校に通わせてほしい。私が働くので住み込みでできるお仕事を紹介してもらえないかと。
ご住職様は、民生委員の飯田さんとあるお仕事を紹介してくれた。
それは、夜のお店。キャバクラだった。
今のご時世、訳ありの住み込みで働ける場所はそうそうないとは理解していた。
後は私が覚悟を決めるだけの話。
当然、紹介してはもらえるけど、採用してもらえるかはわからないとのことだった。
何が何でも楓ちゃんのためにも働かさせてもらわなければ。
とにかく、背水の陣で乗り切るしかなかった。
不要な家財道具をすべて処分し、少しでもお金を増やしておく。
面接の前日、そして我が家での最後の夜。
私は両親の遺影、そして昔住んでいた集落でお隣にいたお兄ちゃんの和にい、ご近所のお姉ちゃんの亜咲ねえと一緒に写ったボロボロの写真を見ていた。
和にいと亜咲ねえは物心がついた時から一緒に遊んでくれたり、面倒を見てくれていた。
この人たちと楓ちゃんが、私の全てだった。
男の人を好きになるってことを理解したのも和にいだったし、今もその気持ちに変わりはない。
女の人として、こうありたいと思わせてくれたのも、亜咲ねえだった。
二人は当然のように惹かれ、好きあっていた。
そんなことずっと一緒にいた私達は理解していた。
いつか素敵な人が現れて、この気持ちを卒業させてくれるんだって思ってた。
和にいと亜咲ねえは勉強が出来たし、要領よく物事をこなしていたから集落のみんなから頼りにされていた。
そんな二人を見ながら私と楓ちゃんは、少しでも二人に近づけるよう頑張った来たんだ。
だけど、あの災害ですべてが変わってしまった。
お隣の和にいの家族は、私たちを先に避難させてくれた直後に起きた崩落で、和にいを残して亡くなってしまった。その後和にいは病院に運ばれたらしいけど、行方が分からなくなってしまった。
ご近所の亜咲ねえも家族ごと崩落に巻き込まれて、全員病院に運ばれたって避難所で聞いたけど和にいと同じでそれ以上のことは分からなかった。
だから、いつか会える日を信じて勉強をがむしゃらに頑張った。
「ねえ、和にい、亜咲ねえ。私、頑張ったよね。二人に近づけたかな?」
最期に会った時の二人よりも年上になった今の自分が二人のように出来るかは自信がない。
でも、今回だけは力を貸してほしかった。
何としても楓ちゃんを守りたい。残された家族は私だけなんだ!
「二人とも、明日だけ、どこかから力を貸して。茉莉、一生のお願いだよ・・・」
涙を流しながら私は知らない間に眠りに落ちていた。
翌日、家を引き払うと、一緒にいてくれた飯田さんに連れられて面接に向かうことになった。
楓ちゃんには、仕事の宛を紹介してもらえたので面接に行くとだけ言って、図書館で勉強していてとお願いしておいた。
「本当に大丈夫?茉莉さん。他の方法もあるのよ?」
「いいえ、何としても楓ちゃんを欧女に通わせてあげたいんです。そのためだったら私、何だってします。」
私の決意は変わらない。
今もどこかで生きているだろう二人にお願いしてるんだ、絶対うまくいく。
とにかく僅かな光明に何とかしがみつかなければならなかった。
だけど、その時それもすぐに打ち砕かれることを私は心の隅で理解していたのだろう。
心はそれでも軋みを上げながら進むしかなかった。
でも、救いがあった。
神様って本当にいらっしゃるんだって、心の底から感謝するような出来事が起きてくれた。
和にい!!