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第六話 歓迎会

 カレンと大学と病院に行ってから数日が過ぎ、金曜日になった。

 今日はカレンの歓迎会をしようということでみんなが時間を合わて準備をしている。

 その間、カレンは大学で勉強と相談会に行ってもらっている。


「大木さん!そのお皿取ってきたら、この鍋直ぐに洗って!」

「わかった!」


 俺は綾瀬君の料理の手伝いだ。

 彼女は様々な料理を前日から仕込んだりして準備をしてきた。そして今、怒涛の勢いで仕上げている。

 手際よく作ってくれているので、何品もすぐ出来てきている。

 アイランドキッチンをクルクルと周りながら様々なことをこなしている。さすが今をときめく料理人がスカウトするだけはある。

 一応、俺と楓ちゃんが手伝っているが、楓ちゃんが盛り付けの手伝い、俺が雑用なのだが手際が良くない。

 綾瀬君に叱られてばかりだ。


「いのりん、次は――」


 楓ちゃんも必死に綾瀬君に指示を仰いで頑張ってくれている。


 茉莉ちゃんはというと、テーブルの準備や部屋の飾りつけをしてくれている。

 茉莉ちゃんはここ数日、カレンと一緒に大学に行ったり講義を受けたりして行動を共にすることが多く、彼女の趣味嗜好なども聞いていたようで、それに合わせて飾りをチョイスしていた。


「和にい、ちょっとどいて。

 いのりちゃん、カレンさんはピンクよりも青色系が好きだから、こっちのお皿をメインにしよ?」

「わかったヨ。大木さんそれ取って来て!仕上げる順番かえるから!」


 そんなこんなで俺たちはカレンが帰って来るまで怒涛の時間をすごし、何とか間に合わせることが出来たのであった。

 そうして時間になったのでカレンを俺が迎えに行く。今日はすこし暑いのでオープンカーで行くことにした。

 カレンは大学のエントランスで待っていた。


「よう、待たせたな。」

「いえ、時間きっかりよ和樹。」


 カレンが乗り込んでくる、高身長のカレンがオープンカーに乗り込むと様になる。

 周りの女子学生たちがカレンに見とれていた。


「結構あなた、遊び人ね。」

「? なんで? 今日は少し暑いからこれで来たんだよ。」

「ほんとこの数日で分かったわ、あなたのことは。

 とにかく鈍ちんなのね。自分と自分に関わる子たちには・・・。

 あの子たちが苦労するのが分かってきたわ・・・。」


 そう言ってフレームに肘をついて頭を押さえるカレン。

 俺は車を発進させて今の言葉の意味を考えるがさっぱりわからなかった。


 家についてカレンの歓迎会を始めることにする。

 綾瀬君は料理で汗だくだったのでシャワーを浴びたようだ。乾いた髪からシャンプーのいい香りがする。

 楓ちゃんと茉莉ちゃんがカレンの手を引いて主賓席に案内する。

 俺がカレンと綾瀬君、自分にワインを入れる。歓迎会なのでお気に入りの一本をボトルで開けている。

 茉莉ちゃんと楓ちゃんは未成年なのでジュースだ。


「それでは、カレンの歓迎会を始めたいと思う。

 カレンこれから常見とのビジネス、大学での勉強。そして長くつらいリハビリが待っている。

 けど、俺たちはカレンを応援するし、いつでも頼ってくれ。

 それでは新しい家族、カレンに乾杯!!」

「「「乾杯!!!」」」


 歓迎会が始まった。

 綾瀬君の手による料理は寿司が好きだということだったので手巻き寿司パーティー形式で各々が好きな具材で手巻き寿司を作っていく形式だ。

 それにおじいちゃんおばあちゃんが住んでいる島根にゆかりがある魚介類や料理を使ってくれているようだ。

 みんな思い思いの手巻きずしを作って楽しんでいる。

 女の子たちはいろんなことを話し合っている。互いのことや、アメリカのことを聞いている。

 俺なんて化粧とかファッション、かわいいもののことなんてさっぱりだった。


「和樹、このワインおいしいわね。ラベルを見ていると結構いいワインみたいだけど?」

「ああ、わかるか?啓介の嫁さんの里奈がいるだろ。アイツがソムリエの資格を持っているし、業務用の卸から直においしいワインを里奈経由で仕入れてもらっているんだ。ワインが好きなのか?」


 コクンと首を振る。


「なら、裏のパントリーにワインセラーがあるだろ?

 節度を持って飲む分には好きに飲んでくれていいぞ?

 俺も里奈から早く飲めって急かされているしね。

 あ、でも、有名ラベルや年代物は俺も飲みたいからそこは相談な。」

「ふふっ。ありがとう。遠慮なくいただくわ。」

「ほんと遠慮がなさそう・・・。ほどほどに頼むよ。」


 そんな話をしているとカレンが二十一歳だと思いだし、最近飲み始めたのかと聞く。

 アメリカではだいたい二十一歳から飲酒が出来、ベガスにいた時に飲み始めてビールよりもワインにハマったとのことだった。

 もちろん二十歳の時から日本帰ってきている時は日本酒、焼酎、ビールを飲んでいたらしい。

 そうして、その流れで綾瀬君をみんなでからかっていた。


「そうね、アメリカではIDを見せないとお酒を売ってくれないし、外で飲む時間も決められたりと結構厳しいわよ?下手したらブタ箱行だし。

 だから、いのりなんかが一番危ないわね。あちらから見れば日本人じゃなくて白人サイド。

わかっているでしょ!?ってなるのが落ちで、情状酌量がないわね間違いなく。

 しかも、こんなにはっちゃけていたら。なおさらね。」

「そんな!!いのりちゃん最近になってようやくお酒の味がわかってきたのに!

 アメリカだと犯罪者!!ガビーン!

 さすが禁酒法の国・・・。油断できないぜ・・・!」

「いのりん。そんなことに怯えても日本にいれば問題ない。」

「あははっ!いのりちゃんらしいよね。なんか、想像したら笑えて来たよ!!」

「もうっ!みんな!!明日の料理は黒焦げにしてやるーー!」


 そうこうしているうちに夜も更け、みんなでTVゲームをして遊んだりした。

 意外とカレンはやっていたクチらしく強かった。最近ゲームにはまっている綾瀬君といい勝負をしている。

 茉莉ちゃん、楓ちゃんの順でリタイアしていくが二人は次第に熱中していく。

 そんな中、楓ちゃんが船を漕ぎだしたので茉莉ちゃんと二階に上がり、綾瀬君もカレンと新たな年代物のワインを開けながら今はパズルゲームの対戦に熱中していた。


(茉莉ちゃんたちはまだお酒が飲めないからね。ちょっと悪いことしたかな?)


 歳がみんな近いけどお酒が飲める飲めないで結構違ってくると思い、彼女たちが早く成人しないかな。

 なんて俺は思い、二人の対戦を見ながらミニバーでカクテルを飲んでいた。

 そうして二人も酔いつぶれて眠ったので俺はブランケットを掛けてあげてからシャワーを浴びてきた。

 出てくると、カレンがいない。

 二階に行ったのかと思ったが、中庭から下の駐車場の明かりがついているのを確認してそちらに行ってみる。


 そこにはワインボトルをラッパ飲みしながらセダンののボンネットに寝転んで涙を流しているカレンがいた・・・。


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