第六話 カレンと学園祭~私だって学生なの~
茉莉ちゃんとお昼ごはんを食べてから別の大学に進学した友達と会ってくるという茉莉ちゃんと別れ、カレンとの待ち合わせ場所に向かう。
そこには白人、黒人など様々な民族の女の子たちと会話しているカレンがいた。
そういえば今日は留学関係の世話をしていて知り合った人やサークルに顔を見せてくると言っていたっけ。
カレンも俺が来たことに気が付いたようで話を切り上げて俺の方へとやって来る。
「ごめんなさい、和樹。ちょっと知り合いの同じ留学生の子たちと会って話していたの。」
「いや、こちらこそすまないな。話している途中だったのに、タイミングが悪かった。俺は話が終わるまでそこで待っているから、終わるまでゆっくり話してきてくれ。」
「もう、こういう気だけは利くんだから。」
カレンは少し頬を染めて知り合いの所へと戻って行った。
なにやら英語で話をしている内容が微かに聞こえてくるが何やら俺のことを話しているらしい。
途中、カレンの顔が真っ赤になったり、あたふたして身振り手振りを交えながら話しているのが新鮮で可愛らしかった。
いつもは日本語での会話が主になっているのでこういうネイティブな英会話表現をしているのも目新しい。
だいたい英語で会話している時は基本、カレンの両親を交えてオンラインミーティングしている時とかだからビジネスライクな表現が多いのでこれまた新鮮だった。
しばらく話をし終わったカレンがこっちにやって来る。
話をしていた子たちは何やら俺のことを見てニヤニヤとヒソヒソ話をしていた。
こういったところはどこの国も同じなんだな。まあ、人間言葉は違っても興味関心は違わないよな。
「もう! あの子たち、和樹のことをボーイフレンドだと言って仕方がないのよ。ビジネスパートナーだって言っているのに。」
「はは、そうは見てもらえないか。」
「そうよ、おかげで一から説明してたら根掘り葉掘り聞いてくるんですもの。」
「まあ、人の性ってやつだろ。」
「むう、納得いかないわ。しまいにはお幸せにだって、もう信じられないわ!」
そう言って英会話していた時の癖が残っているのか会話構文やジェスチャーがそれのようになり身振り手振りを使って表現してくる。
「なに?」
「あ、いや。こういうカレンもかわいいって思っただけだよ。」
「!! いやっ、忘れて。なんだか子供みたいだし・・・。」
「いいじゃないか、家じゃあ一番のお姉さんかもしれないけれど、大学じゃフランクに話せる友達くらいいて、そうするのは当たり前じゃないか。
俺だって常見や啓介といる時はそんなもんさ。」
「・・・まあ、そうね。そういう事にしておきましょう。」
落ち着いたカレンがそう言って歩き出す。
「さあ、私とのデートの時間を楽しみましょう。」
「ああ。」
俺とカレンは大学のサークル展示を主に見て回ることにしていた。
一番最初に留学関連の相談に乗っていることが多い英会話サークルと国際協力サークルの展示を見に行きたいと言っていた。
「なんだか新鮮だよ。普段大学生だってのはわかっているんだけれども、どうしても仕事仲間っていう意識が強くてね。」
「ふふ、なら良かったわ、私が普通の大学生活も送っているってことを教えてあげる。」
カレンに手を引かれまず最初に英会話サークルの展示をしているブースにやって来た。
ここではこの一年の英会話を通じての交流や奉仕活動の紹介、発表をしていると言っていた。
流石に高偏差値の欧女の大学だけあってかなりレベルの高い会話を用いての活動を行っているようだ。
カレンはブースに入るなりサークルの子たちが英語で話しかけてきた位だ。
まあ、俺も日常会話、ビジネス会話程度の英語は話すことが出来るので驚きもしないが本場の人と聞き間違えるくらいの流暢な発音、発声の子が多かった。
「あら、何を驚いているの。こういったレベルの大学の子たちですもの、高校のときとかに留学していたり、帰国子女の子だって居るわ。」
「ああ、そうか。そうだよな。」
「といっても、留学したいって考えている子は現地の大学生活事情を知らなかったり、どういう事をテスト勉強しなければならないということがわからない子が多いから、私が相談相手にはうってつけだったってワケよ。」
「親父さんらしい考え方だな。」
「そうね。ほんと掌で踊らされているって思うわ。」
そんな会話をしながら、カレンは何人かの知り合いの子に話しかけて、その度に俺のことを聞かれて赤面しながら答えていた。
そうして、次の国際交流サークルのブースに行っても同じだった。
「はあ、なんだか疲れたわ・・・。」
「はは、会う人会う人に俺のことを聞かれて、彼氏?ボーイフレンド?って言われたらさすがに辟易するよね。」
「ほんとそれよ。いやになっちゃうわ。和樹との関係はそんなのではまだないのに。」
「最後の方は俺の身分証を見せて誤魔化していたよな。大学が用意した世話人だって。」
「あら、あながち外れてはいないじゃない。嘘は言っていないわよ。」
飄々と答えるカレン、頭が回るのはいいがかなりこじつけている気がするぞ?
と、こんな調子でいたら疲れてきたので軽食を摂ろうということになって出店を物色する。
カレンはその中の出店に日本ではなかなか見ない出店を見つけてこれにしたいと言ってきた。
「あら、珍しいわねフィッシュアンドチップスのお店なんて。」
「お。そうだね。パブとかそんな感じのお店にとかにしかないイメージだね。」
「私、これが食べたいわ。やっぱり出店って言ったらこれも鉄板ですもの。」
「ああ、カレンにはそうなるよな。」
「そうね。たこ焼きみたいなものじゃないかしら?」
「はは、確かにな。」
「なら、お願い。そうねケチャップとマヨネーズをたくさん掛けて来てもらって。あとナプキンもね。」
「わかったよ。」
俺は三人分くらいのフィッシュアンドチップスを頼んで一つずつにケチャップ、マヨネーズ、両方掛けてもらう。
そして、近くのベンチで待っているカレンに持っていく。
「はい、お待たせ。揚げたてだってさ。」
「ありがとう。確かに熱々ね。冷めないうちにいただきましょう。」
俺とカレンは互いにケチャップ、マヨを大量に付けたものや、両方グチャグチャにしてオーロラソース風にしたものを食べる。
「なんだか、これを食べるとお祭りって気分になるわね。」
「懐かしい味ってヤツか。」
「ええ、私の住んでいたところも夏にお祭りがあって移動遊園地とかが来て、そこの出店で売っているまさにジャンクっていう風のが好きだったわ。もちろん家のお店でも出していたし、そういうのはいつでも食べれたけれど、料理したっていうものより、ザ・ジャンク。作ったぜ、っていう感じが非日常感があって好きだったわ。」
「はは、カレンって、たまに雑なのが好きだもんな。」
「和樹!」
俺は両頬をつねられ、カレンは拗ねてしまった。
「ふぉめんよ。」
「いいわ、許してあげる。
でも、あ~んして。」
そういって俺を解放してから口を開けてくる。
最近は何かにつけてあ~んをねだることが多くなってきたなカレンは。
夜ガレージで飲んで着る時とか、二人で夜寝ながらお菓子を食べている時とかな。
「わかったよ。ほら、あ~ん。」
俺がケチャップをたっぷり付けたフィッシュアンドチップスを食べさせてあげると、カレンは口を閉じて俺の指に着いた塩やケチャップを舌で舐めとってから指を解放する。
「ふふ、和樹ったら顔を赤くして。可愛いわね。
ほら、これでおあいこね。」
そう言うカレンも頬を赤くしてはにかんでいた。
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