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序章
一話目・二話目 連続投稿です
一話目です
制止の声を振り切り男性たちが部屋に押し入り女性に近づいて行く。
その先頭にいるのは女性の夫であるこの国の王太子であった。
「カサリンとシィスツサに何を言った?」
咎めるきつい物言いに女性は凛とした姿勢を崩さず口を開く。
「わたくしは間違ったこ……」
女性が最後まで言い切る前に乾いた音が部屋に響き渡った。女性が崩れるように床に座り込む。
その女性を冷たく見下す複数の目。
「その腐りきった性根、やはり治らぬか」
忌々しく告げる声には憎悪がたっぷり含まれていた。
「お前を妃にしたのは間違いであった。あの時、どうなろうとも婚約を破棄するべきだった」
王太子たちが踵を返すと、ようやく部屋にいた者たちが悲鳴をあげ動き出した。
つかれました
王太子は誰かがそう囁く声を聞いたような気がした。振り向くと床に女性が倒れていたのが見えた。
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