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フェアリィイーター・スペリオール  作者: みたらしえくれあ
3/3

光と再会。

もう少しだけ話が進めばこの話のちゃんとした本編へ入ります。もう暫しだけ情報公開にお付き合い下さい。

宜しければ展開の推理などどうぞ。

そもそも妖精とは何なのか。

一言で言い切ってしまうのであればそれは光である。

学術名はウィスプ・スピリット。


まあニュアンスとしては妖精のような鬼火(ウィスプスピリット)だったり、由来通りに捉えるなら一握りの干草を持つ魂(ウィスプスピリット)だったりと言った感じだろうか。


偉大なる我がお母様の研究によれば、妖精の約6、70%は光の集合体であるらしい。残りの30%ほどは俗に言う核であり、その核によって発声や食事などを行うのだとか。


しかし現在わかっている事は本当にこの程度であり、より詳しいことはこれからの研究で解明していくそうだ。


()()の人間は妖精を視界に入れても見ることは不可能で、トーカーを通しても尚、光の塊としか認識できない人間が多い。


俺は、何が一体言いたいのか。


つまりは、白樺樹々(しらかばじゅじゅ)は俺と同じく通常の人間とは少し違うと言う事なのだ。




「とりあえず、入島お疲れさん。そんでさ、えっと、その、久しぶり日和。」


ラボエリアから自宅があるらしい最先端都市エリアへ向かった俺をエリアの入り口で出迎えたのは昔馴染みの少女だった。


真っ直ぐの髪をポニーテールに結い、赤いチェック柄のミニスカートからすらりと綺麗な足をみせ、その豊満な胸元を夕方とは言えこの島特有の暑さが続くせいか二つ程外すその少女こそ3年振りに会う白樺樹々である。


「樹々……!さっき白亜からサプライズな人選をしたとかなんとかメッセージが入ってたけど、そうか樹々もこの島に居たのか。」


「うん。白樺家もかなり出資したし、この島で色々やりたい事もあったから。まあ、あとは()()()のことも考えてって感じでこの島で生活してるの。」


彼女の親が社長を務める白樺建設といえば国内最大級の企業である。この島にも投資をしてたと言う話だろう。


そんな彼女の紹介に合わせて彼女の周りをひらひらと舞うのは大きさ30cm程の妖精。

妖精の中ではかなり大きい方である。ヴェーゼは特殊なので例外として、30cmを超える妖精はなかなかに居ない。


そういえば朝方に絡んできた妖精もなかなかに大きかった。

もしかしてあそこら一帯のお偉いさんだったのかもしれない。


舞うその妖精は、薄緑の艶やかな髪を持ち、髪と同じ色のドレスを優雅に、それでいて品良く着こなす。四枚の羽の速度をゆっくりと落とし、日和の目の前で止まるとぺこりと頭を下げてどこか不敵に笑う。


《お久しぶり。醜悪妖精食いさん。》


「とてもいい笑顔で、それも悪意なく言うことか?その名前。よっ、ディエーリヴァ。」


樹々にも負けない豊満なそれが強調されるような、その蠱惑的な姿を見せつける彼女の名前はディエーリヴァ。俺の事情をよく知る数少ない味方(俺寄り)の妖精である。

彼女が本気で俺を悪く呼ぶことは今のところはないため彼女のいつものブラックジョークである。


《ふふ、それは失礼。そこの主人が久々に日和に会えたから緊張してるみたいだけど気にしないであげて。》


謎の緊張ってあるから仕方ないと思う。俺も変な声が出そうになったからな。


「おうよ。まあよくわからんがわかった。」


《あとは、日和は変わらないみたいだから、きっとこの島で沢山の仲間から人気者(敵の鬼畜生)扱いされるはずだけれど頑張ってね。》


「もう既に熱っついぐらいの視線(殺害予告)を向けられたよ。」


ふふ、と心底楽しそうに口元を押さえて主人の樹々の元へ彼女は帰る。嫌な感じだなぁ。


「トーカー無しで話されるとさ、私話できないんだけどなぁ」


どうやらこちらも嫌な感じだったようで。

すっかり樹々を置いてけぼりにして話をしてしまった。

樹々は不機嫌そうに睨んでくる。


「すまん。」


こういう時はとりあえず謝るに越した事はない。

妹曰く、女子が機嫌を損ねた時はまず謝るべきらしい。


「別にいいよ。日和のそういうの慣れてるし。」


はぁとため息こそついたものの、彼女の想像よりあっさりとした返しに思わず拍子抜けしてしまう。


トーカーが今よりも普及する前から付き合いのある樹々は俺の独り言にも慣れている。だとしても、こういう時は自分の異端さが鬱陶しくならないといえば嘘だ。


「とりあえず、白亜ちゃんも待たせるし、さっさと家に向かうでいい?」


「良い。道はわからんから任せた。」


はいはいと答えて彼女は肩にディエーリヴァを乗せ歩き出した。手に四角い機械を持っていたのでどうやらトーカーを起動しディエーリヴァと会話しているようだ。内容までは聞こえない。


開発がどんどん進む最先端エリアの高層ビルや大型商業施設を抜けて俺達は歩く。


ヴェーゼがさっきから静かなのは道中で約束通り買ってやったアイスを必死に食べているからでなんだか孤独感に襲われてしまった。情けない限りだけど。


まあいいかと少し前を行く樹々に追いつこうと足を早めた俺の真横をヴヴヴヴという機械的な飛行音が通った。

それは樹々の前で一回転し空中に止まる。

その赤と白の超小型飛行機(ドローン)には見覚えがある。


「白亜のスカイプテラ?!」


妹お手製のそのドローンを俺はよく覚えていた。

ちなみに名前は彼女の趣味である。


「樹々さんっ!大変!緊急事態!早く!」


スカイプテラに内臓されたスピーカーから焦っているであろう大きな声が聞こえた。


「ちょっ、白亜、うるさいってばっ。聞こえてるから落ち着いてよっ。」


「ご、ごめんなさい。」


「そうだぞ白亜。近所迷惑になっちゃうだろ?」


「に、兄さん?!ご、ごめんなさい。白亜(はー)、ちょっと焦ってたから。その……。」


「いや、気をつければいいというか、何か緊急だったんだろ?」


テンパる妹の声が聞こえたので小走りで樹々に寄り、注意を促したのだがどうやら何か焦っていた事はよく伝わっていた。


「んで?どーしたってのよ。わざわざ学校からドローンまで飛ばしちゃってさ。」


樹々の質問はごもっともである。

白亜をよく知る俺や樹々からしたら彼女が焦るなんてことは殆ど無い。

つまりかなりの緊急事態(イレギュラー)が起こったのだろう。


黒化(グラッジ)個体が出た……!人的被害ももう出てるの!」


「「!!」」


その情報は俺と樹々の顔色を変えるのには充分であった。

黒化妖精(グラッジ・フェアリィ)

妖精の核の制御機能が正しく機能せず、破茶滅茶に精霊現象(フェアリオ)を起こす、妖精の異常状態。


トーカーをつけていない場合にはその姿を見ることはもちろんできないため、簡易的な自然災害が何もないところから飛んでくるようなものであり、当然それは大きさにもよるとはいえ一般人を死へ導くことは決して少なくない。


妖精同士の生活環境の中で妖精が黒化することはほとんどなく、人間との関わりが原因とされている。


「つっても、黒化は分かってないことが普通の妖精以上に多すぎる。安全な場所に俺と樹々は逃げるからお前も」


()()()()()()()()()。樹々さんすぐに現地に向かって下さい。」


「ん。オッケー。白亜はそのままバックアップしてね。」


「わかっています。残りの人達にも声をかけてあります。」


「おい嘘だろ?やり合うってのかよ?!」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


白亜のその言葉に思わず言葉を失う。

まるでさっきとは別人のような冷静な喋り方をする妹を見たのは三年振りだった。


何にせよ、黒化妖精と対峙するのは人間の範疇を超えた奴と戦うということなのだ。

例え俺が行ってもヴェーゼは()()のせいで朝のようには力を発揮できない。


「チームプロト。作戦開始です。」


言葉を飲む俺を前に今以上の情報が叩きつけられた。

白亜、お前今なんて言った?チームプロトだと?

そのチームは解散したはずだろ。

違う。解散せざるを得なかったはずだろ。




そして白亜は静かに、俺の方を機械越しではあるもののしっかりと見てこう言い放った。


「兄さん。島にいらっしゃい。そしてお帰りなさい。勘違いしているようですが、プロトは、今もまだ活動中です。一緒に樹々さんと問題解決に向かって下さい。」


GW等がありまして前話からだいぶ開きました。すみません。


スカイプテラの見た目は文字通り翼竜型です。

ドローンってかっこいいよね。

樹々ちゃんは作者の性癖第一号です。

ヒロインかどうかは今後のレース次第であります。

白亜?妹はかわいいものでしょ。


では次回も良ければお付き合いください。

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