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フェアリィイーター・スペリオール  作者: みたらしえくれあ
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プロローグ

可愛い妖精さんと頭のおかしい主人公の話です。お付き合い下さい。

ほんの5年程前に妖精は発見された。


そんでもってそういう類のものを研究していたうちの母親は泣きながらその存在に歓喜し、研究に勤しんだ。

特殊な環境で育った俺はその妖精さんたちのことを人よりはよく知っている。


「つーか、あっちぃなぁ。噂では聞いてたけども。」


()()()()()()の照りつける空を見上げればドーム状の天井がゆらりゆらりと陽炎で歪んで見えた。


妖精たちの存在は徐々に世界に広がって今では会話をすることができるにまで至った。人類の進歩はすごいものだ。


まあ、その半分ぐらいは自分の母親の功績だと思うとむず痒くなるというかなんだか嫌になってしまうのが思春期の息子というもの。


今俺がここに来ているのもそんな偉大なお母様の命令であった。


思考を止めずに歩いていれば、ぴちゃっぴちゃという音と共に1匹の魚が地面の穴から飛んできた。ふわりと空中を舞う魚は放物線を描いて、そして目の前に落ちた。ふむ。


「いやぁ、噂には聞いていたものの本当に魚が飛んでくるんだなぁ。」


ここにくる前の入島手続書類(ガイドブック)で読んだ通りの魚が飛んでくる(人生未体験イベント)を早速味わうことになったのだが、それよりも自分の視線は穴から小さな体を出した水色の髪を持つ小さな生き物に吸い寄せられる。それは至極美しく、4枚の半透明の羽根をキラキラと輝かせて浮いたり沈んだりを繰り返す。


「ハロー。お嬢さん。お魚返した方がいい?」


目測30cmばかしの人形じみたその生き物こそこの世で新たに確認された生き物。つまりは妖精さんである。


《あれ、あたしが見えてるだなんて珍しい人族さんです。ええ、お魚さんはあたしが取ったごはんなので返してくだ……ひぃっ……!!!!!!!》


フランクに多分昼食かなにかであろう魚の情報を返してくれた妖精さんは一目俺を見ると態度を変えた。頼むからそんな見てはいけないものを見た時のような声を出さないで欲しい。慣れてはいるけども。


《お、お前は噂には聞いてたけれどもまさか《憎悪を生む邪悪》!》


「いや聞いたことないのだけれどねその二つ名。」


また増えてるのか、二つ名。前に言われたのはなんだっけ。

頭を抱えながら思い出そうとするけれど思い出せない。

ええと……



《黙って、四回ぐらい死ね。》


かなり物騒な呪詛を吐かれた俺の目に次に映り込んだのはこの世で現在最も不可思議とされる現象がゆえのものであった。



目の前でプチプチぴちゃぴちゃと穴の下から水が物理法則を無視して駆け上がる。次第に風が集まり水と風は混ざりあってぎゅるりぎゅるりと凝縮されている。


「あー、やべ。こいつぁ終わったんじゃねえかな。」


主に俺の人生が。ついでに二つ名思い出したんだけど。

確か、(偏食家)(隣人食い)(出会うな危険)(悪魔人間)だっけか。今はどうでも良い話だけども。


逃げれるかこれ?とりあえずダッシュの姿勢を取る準備をする。走って当たったらまあその時。死にそうだけども。


妖精が世界にもたらした恩恵の大きな一つが精霊現象(フェアリオ)である。


絵本の中の、漫画の中の、そういう空想の世界の魔法のような、原理はわからん超常の力。出会って5年の人類が解析できるわけもなくただその恩恵にだけ甘えてまさしく甘い汁を啜っている超高度現象(スーパーパワー)。それこそが精霊現象である。今世の中であり得ないことが起こればその大体が精霊現象であると言われている。


水と風が混ざりあってその物体はとにかくものすごい速さで飛んでくる。それもかなりの大きさなものなのだから直感的にでなくても当たったら死ぬということはよくわかる。

危なっ。


《チッ。よく避けられたな邪悪め。》


「あいにく目はちょっと良いもんでねっ。ちなみにだけど後何発ぐらい撃てるご予定?」


《水分が無くなるまで。》


海上とかじゃ実質無限じゃんそれ。相当恨めしい目で宣言されたその情報は今の自分にとって死刑宣告同等であることを理解した。そんでもってかなり運が悪い。

ここは海上なのだから。大きな意味で。


問答無用でまた一発飛んできた。


「初対面にそんな怒んないでって。」


なんとか地面にダイブを決めることで交わして本音を叫ぶ。

コンクリよりは柔らかそうな地面でよかった。


三発飛んできた。ブチギレたらしい。

流石にこれは避けられない。煽ったつもりは無かったのだけれど相手はそう思わなかったらしい。

回避不可と判断した俺は本能に従って反射的に目を閉じたがいくら待てど痛みは襲って来なかった。


《日和。おはよー。》


とにかく怠そうに音もなく現れた少女は俺の名前と朝の挨拶を華麗に決めたのだった。


「お寝坊さんめ。助けてくれたのは感謝。」


にたぁと頬を緩ませ腰の辺りをぎゅうっと掴んできたのは真っ白な短い髪をふわりと2つにまとめた上、大きなカチューシャから爪先に至るまで全身黒で構成された明らかゴスロリ衣装の少女である。紫色の瞳をした小さな少女の名前をヴェーゼと言った。


《これで死んでしまえ!!!!!》


威力が足りなかったと思ったのか、

ざっくりさっきの10倍ぐらいはありそうなその物体を真っ直ぐ俺目掛けて放ってくる。けれども今度は逃げない。

逃げれないというのもあるが、まあ逃げなくても良いがこの場合は正解である。


「ヴェーゼ助けて。」


《はぁい。分かったよ任せて。》


てくてく、というかふらふらという方が正しいような危うげのある足取りで物体真っ直ぐに歩いてピタリと止まった彼女。



《危ないのはさよならだね。》


現象分解(ディスペル)


ばきりという音と共に飛んできた物体は文字通り崩壊したのだった。



細かな解説が無い?!次回で話すから良いんだよ。

ゴスロリ少女とディスペルはロマンだよね。

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