上の者と話すことになった
日間ランキング52位でした~
嬉しい限りです!
あ、5話も内容に不備が見られたので少し修正を致しました。
申し訳ないです…。
「やってやった」
俺はそう声をこぼし、ボス部屋の地べたに大の字に倒れこむ。
この五年間で死にかけることは多少なりにあった。だが、ここまで死を覚悟したのは初めてであった。
緊張の糸がほぐれ、体に力が入らない。
「隊長。おつかれ」
創華さんが駆け寄り労いの言葉をかけてくれる。
「お疲れ様。大変だったな。死ぬかと思ったよ」
「うん。でも勝った」
そういって笑う創華さん。
この笑顔を守れたという実感が今になって大きくなった。
本当にあきらめないでよかった。
だが、この戦いでD.arm'sアサルトを一丁失い、弾を使い切ってしまっていた。
守れたものもあるが失ったものある。
創華さんお店に行けば予備の銃は何丁かはある。だが、創華さんはD.arm'sを自分の子どものように思っている。きっと辛いだろう。
「隊長。勝ったのに暗い顔。どうした?」
「ほら、創華さんの銃が…壊れちゃったから辛いかなって」
「気にしない。大破しても溶かしてもう一丁作ることはできる。生まれ変わる。あと弾も何とかなりそう」
そう言って創華さんは赤毛のボスオークのドロップ品に指をさした。
俺は体を起こして成果物を確認する。
「おお、これまた大量だな」
「私もびっくり」
基本的にドロップ品は魔石と倒した魔物の毛皮や牙といったアイテムが落ちる。
だが、明らかにそれ以上のものがそこにはあった。
「Cランクの魔石に赤毛の毛皮。ボスの持ってた斧に珠?」
「うん。でもただの斧じゃない。恐らく能力が付与されてる武器。珠はスキルオーブ」
「この毛皮も希少なものだろうな」
なんといってもユニークボスの毛皮だ。
加えて、能力付きの武器にスキルオーブ。
どれも高額で高額で売れるレアアイテムなのは間違いないだろう。
「ともあれ一度冒険者ギルドに報告だ。ユニークボス討伐の件もあるしな」
「うん。今日はおなかいっぱい食べれそう」
そんなやり取りをし、ボス部屋に現れた帰還魔方陣に向かった。
これを踏むと一瞬で地上に出られる。
こうして、俺たちのDランクダンジョン攻略は成功に終わったのだった。
□
俺たちは帰還魔法陣で地上に戻った。
そして、ダンジョン入り口にて待っていたのは俺たちがダンジョンに入ることを笑った冒険者たちだった。
彼らはバツが悪そうな顔をしながら俺たちに近づいてくる。
「わるかった。Dランクダンジョン攻略おめでとう」
一人の男がそういうと。ほかのバカにしてきた冒険者たちも謝罪の言葉を口にした。
「気にするな。なあ、創華さん」
「うん」
俺たちはそれだけの言葉を残し、秋葉原の冒険者ギルドへと向かったのだった。
秋葉原冒険者ギルドに着いた俺たちはさっそくギルドにユニークボス討伐のことを報告する。
「ユニークボス討伐……ですか?」
秋葉原冒険者ギルドの受付嬢は眉を顰めた。
疑われているのだろう。が、無理もない。
Dランクになりたての冒険者と三年間もEランクの冒険者の発言だ。
信憑性は全くないといっていいだろう。
「ではこれを見てください。戦利品の一部です」
「はあ、わかりました」
俺はユニークボスのドロップ品である斧をカウンターに置いた。
受付嬢の彼女は眼鏡をクイっと持ち上げると戦利品の斧を見る。
「これは!?……能力付きの武器ですか!!豪力の戦斧…すごい、素材が鑑定できないほど上質なもの…STA増加値200!?武器再生!?……Aランク級武器じゃないですか!!」
どうやら俺たちが思っている以上の白物だったらしい。
先ほどまでクールな対応をしていた受付嬢さんも凄く取り乱しているご様子。
ちょっとだけかわいい。
「痛っ!?」
創華さんに太ももをつねられた。
何故だ。
ともあれ、受付嬢の彼女も落ち着いたようだ。
「どうですか?」
「疑ってしまい申し訳ありません。どうやらお二人の報告は事実のようですね。ですが、私の一存では処理することができないのも事実。上の者を連れてきますのでお二人は二階の応接室でお待ちください」
そういうと彼女はそそくさとギルドの奥のほうへと行ってしまった。
「創華さん応接室への行き方ってわかる?」
「うん。D.arm'sの認可をとるときに行ったことある」
困ったことがあったら創華さんに聞く。これが一番の解決への道だと悟り、俺は創華さんの後をついていくのだった。
それから、応接室に着くも一向に上の者という人物が来る気配がないので創華さんと少し会話をすることにした。
「創華さん。上の者って誰か予想つくか?」
「……創華でいい。ボス部屋で一度そうよんだ。今更戻さなくていい。」
「お、おう。わかった。」
「うん。質問への答えは、おそらくだけどギルマス」
「どんな人なんだ?」
「普通のひと」
「なるほどわからん」
ちょうど話の区切りが着いたその頃。応接の扉が開く。
扉から入った来たのはスーツ姿の男性。一見普通のサラリーマンみたいだ。
「待たせてしまってすまないね」
男はそういうと向かいのソファに腰を掛け、話を続ける。
「いやあ、この度はDランクダンジョン攻略おめでとう。加えてユニークボスの討伐。すばらしいの一言に限るねぇ」
「ありがとうございます」
「あ、羽撃くんには自己紹介がまだだったね。私は秋葉原冒険者ギルドのギルドマスターを任されている大塚昭と申します」
そう言って大塚さんは俺に笑いかけた。
創華の言う通り普通という言葉がぴったりの人であった。
俺たちは事の経緯を大塚さんに伝え、彼の判断を待つことになったのだった。
読んでくださりありがとうございます!!
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伸びがよければもう一話投稿するかも?