D.arm's(ディー・アームズ)
本日2話目です!
明日からは1話投稿になるかもです!!
「まずはこの子たちの説明」
そういって創華さんはダンジョンに持っていける銃について語り始める。
「まずはこの子たちの総称から。D.arm's。ダンジョン兵器ってとこ」
そのまんまである。が悪くない。
創華さん曰く、D.arm'sは素材をダンジョン産のものを使用し、科学の力をほとんど使っていないそうだ。
素材はダンジョンでよくとれるダンジョン鋼というものを使用している。安価で地球にある金属の比にならないほど加工が楽で尚且つ堅く衝撃さえ逃がす優れものだ。
そして構造は基本的な銃ではあるが弾倉から薬室への弾の装填は創華さんの持つユニークスキル【魔力回路Lv.1】による自動。
【魔力回路Lv.1】は創華さんの【魔導武具職人】の専用スキルであり、温めるや冷やす、動かすなどの命令を武器や防具、道具に付与できるらしい。
命令は薬室が空になったときに弾倉の弾を薬室に動かす。これが第一の命令だ。
弾倉から薬室への弾の移動が自動であるため常に薬室に弾が込められているのが怖いところだろうか。
加えて、D.arm'sに使用する弾も特殊であり、薬莢に入っているのは火薬ではなく、魔物殺すと必ず落ちる魔石を砕いて粉にしたものだ。
魔石に火の魔力を注ぐと爆発するのは有名話ではあるものの、魔石を手に持ったまま火の魔力を注ぐバカはいるのだろうか?まあ、過去にいたからそんな情報が知れ渡っているのだろうが、今ではそんなことをするのはテロリストくらいだ。因みにこの粉はマジックパウダーと命名したらしい。
閑話休題。
弾が薬室に装填された状態でトリガーを引くと弾に【魔力回路Lv.1】による第二の命令、薬莢内のマジックパウダーを温めるが発動される。この温める際に生まれる魔力が火の魔力らしく、粉上にした魔石であると溜め時間なく爆発する。そしてその爆発によって生まれたエネルギーにより、弾丸が発射される。
そして最後の【魔力回路Lv.1】の命令である空の薬莢を薬室から排出するが発動し薬室が空になる。すると弾倉から薬室に自動装填され...と、このように完全にオートマチックの銃になっており、科学の力は爆発によって弾丸が発射されるところと銃身内部のライフリング加工が施されているところだろうか。
「よくできているな。完全に科学でなくファンタジーの産物だ」
「私もそう思う。爆発のエネルギーは魔力によるものだから大丈夫だと思っていた。ライフリング加工がダンジョンに科学と認識されなかったのが成功のカギ」
「ただの螺旋状の溝だもんな。そこがみぞなんだけど」
「フフッ」
ウケるとは思わなかったが笑ってくれて何より。
「ただ難点が一つ」
先ほどの笑みから一転。
創華さんからの顔から笑みが消え、まじめな顔付きになる。
「…なんでしょう」
思わず敬語になってしまった。
「弾に必要な魔石がもうない。ここまでのものを作るのに政府からのお金は使い切った」
「なら取ってくるまで」
「最低でもCランクの魔石じゃないと弾は作れない。銃也はDランク。Cランクのダンジョンに入れない。玉の残数は200発程度で魔石一つでも20発分の弾しか作れない。ちなみに私はEランク」
これがどれほどまずい状況なのかが手に取るようにわかった。
Cランクの魔石は一つで一万円だ。それが際限なく必要……そんな大金あるわけがない。
だがやるしかない状況だった。
「今日はもう遅い。だから明日中にDランクダンジョンを攻略してCランク昇格を目指そう。弾も節約すれば可能なはずだ」
「仕方ない。食費もあと数日分しかないからどの道避けては通れない道」
「俺もそうだな」
貧乏不遇職冒険者達によるダンジョン攻略が明日に決行されることとなった。
□
本日の天気は良好。絶好のダンジョンの攻略びよりであった。
装備などの最終調整ということもあり集合場所は創華さんのお店だ。
今回の攻略対象はDランクダンジョンである秋葉原第一ダンジョン。昨日氾濫が起こったにもかかわらず通常通り運営されている。定期的に魔物を駆除しないと魔素が溜まり今回のような異常個体が発生すると言われているのだから仕方がないことだろう。そして昨日に異常個体が倒されたばかりでダンジョンが安定化している為、今が狙い時というのもある。
「創華さん、本当にこの格好で行くの?」
「何か問題でも?」
俺と創華さんの装備は兵士が着るような迷彩服にコンバットジューズ、緑色のヘルメット。極めつけは黒い塗装の施されたアサルトライフルだった。名前はD.arm'sアサルトとそのまんまだが、かっこいいから良しとしよう。
「これじゃあ今から戦争に行く気分だ」
「何も変わらない。ダンジョン内はいついかなる時でも戦場」
「確かに」
論破された。
23歳にもなる男が自分より年下の少女に。
「てか創華さんの年齢っていくつなの」
「18歳。冒険者歴3年。倒した魔物スライム一匹」
「不安になってきた」
「隊長が守る。大丈夫」
あ、俺だよりなのね。
因みに、創華さんは俺の【部隊編成】に登録済みで、登録した途端に隊長と呼ぶようになった。
そして、俺たちは秋葉原第一ダンジョンの目の前に来た。
これから俺の……いや、俺たちの現代ダンジョン攻略が始まるのだ。
「なんだあの間抜けな恰好」
「ダンジョンに現代兵器はもっていけまちぇんよー」
ダンジョンへの一歩を踏み出そうとしたその時。
周囲から聞こえる外野の声。
それは五年前に味わったことのある痛い経験そのものであった。
また入れなかったら?
また惨めな思いをするかもしれない。
その恐怖に俺の足は震えていた。
だが、それも一瞬の出来事だった。
冷え切った俺の手を温かいものが包む。
創華さん手だ。
「隊長。私の子たちが信じれない?」
不安そうな顔で俺の顔を覗き込む創華さんの顔を見て覚悟を決めた。
あの時は一人だった。でも今は違う。俺を信じて武器をくれた創華さんがいる。
怯えることなんて最初からなかったんだ。
「ごめん。もう大丈夫だ」
「そ」
俺は創華さん手を引きダンジョンへと足を踏み入れた。
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